続:ハリルホジッチ氏記者会見の真意を読み解く

 4月27日、サッカー日本代表前監督ハリルホジッチ氏の会見が行われたが、そこで出た言葉の意味の捉え方が十人十色に思える。

 会見後、様々なスポーツ番組でサッカージャーナリストの見解を聞き、WEBメディアの記事を読んだ。

 一部メディアで、今回の会見の意味としての取り上げ方、とあるOB選手の発言について疑問を持つこともあった。

 またWEBメディアでは悪意のあるタイトルがついた記事も。

 「タイトルで釣る」という行為はアクセスを稼ぐために必要な行為だが、ライターがそのように感じて書いた記事なら、書いたライターの人格を疑ってしまう。

 今回のコラムでは、ハリルホジッチ氏の記者会見を受けて、FOOTBALL NOTE編集長の見解ついて軸を明確にしたい。今後もこの軸がブレない記事を掲載していきたいと考えている。

FOOTBALL NOTE編集長の見解に関する軸

 ハリルホジッチ氏解任をテーマに記事を書くとき、軸となるのがこの3つです。

1.監督解任は仕方ないという認識

 近年の日本代表監督は最長でも4年というのがベースというイメージ。岡田氏、トルシエ氏、ジーコ氏、ザッケローニ氏はW杯後の辞任となっている。

 ハリルホジッチ氏もロシアW杯後に退任すると予定されていたので監督が変わったこと自体は既定路線と捉えている。そもそも日本サッカー協会との契約もW杯終了までとなっていた。

2.問題は監督解任の時期がW杯2ヶ月前だったこと

 監督解任の時期、これが1番の問題だと認識している。

 W杯2ヶ月前に監督を変えただけで、チームとして機能するのだろうか?

 選手への影響を考えなかったのか?

 ロシアW杯はあきらめたのか?

 など、疑問しか出てこない。

 私は選手選考、戦術について不満を持っていた方だったが、この時期まで来たのだから、ロシアW杯はハリルホジッチ氏と心中と腹をくくっていた。

3.協会の発表した解任理由が不明確だった

 唯一の解任理由が選手とのコミュニケーションだった。

 しかし、ハリルホジッチ氏の記者会見を聞き、選手とのコミュニケーションは取れていた。という発言を私は支持したい。それには解任後、選手から監督を擁護するコメントが多かったから。

 1番コミュニケーションが取れてなかったのは監督と協会だった。というのが私の結論だ。

記者会見の真意を追う

 記者会見後、すぐに掲載した前回の記事(サッカー日本代表前監督ハリルホジッチ氏の会見。真実は?)から研鑽を積んでいったが、私の中で大きく結論が変わることはなかった。

 前回掲載したコラムに補足するのなら、以下の文章を追加したい。

「今回の会見を行ったのは解任に反論したいわけではない。解任理由の真実が知りたかっただけ。ハリルホジッチ氏は、協会に解雇権があるので解雇については問題にしていない。ただ、監督に対するリスペクトがないことは問題。またコーチ仲間に対しても同じ思いがある。」

【不満を持っていた選手がいたことについて】

 この件に関しては少し続報など調べた。

 『ロシアW杯出場を決めたオーストラリア戦後に2人の選手が不満を持っていたことを明らかにした』

 この部分だけ取り上げてしまうと問題発言になるのだが、ハリルホジッチ氏の発言をそのまま載せると「歴史的な勝利でオーストラリアに勝ってW杯予選を通過した試合の後ですら、試合の後に2人の選手はガッカリしていました。それまでは何度も試合に出ていたのです。だからガッカリした様子が残念でした。」となる。

 会見後、この話題を取り上げた各媒体の記事にはアクセスが集中していた。記事の中にはその試合のスタメン、ベンチ入りメンバー全員を詳細に掲載したものまであり、犯人探しが一気に加速してしまった。

 この件に関して私は自身のTwitter(@ijaw_rensyugi)で下記のようにつぶやいた。
※個人アカウントでのつぶやきです。

「一部の選手との確執?W杯出場を決めたオーストラリア戦後に2名の選手が出れなかったことに落胆。とあるが、本田選手、香川選手ではないと信じている。」

「思い返してみてほしい。2017年8月のことを。本田選手はパチューカに移籍するも怪我のため調整が遅れていた。香川選手も脱臼から復帰したばかりでコンディションに問題があった。試合も日本がリードする展開だったのもあり、出番がなかっただけ。」

「そもそもこの2選手は、何かあれば直接監督と議論するだろう。ザックジャパン時代は通訳日記にも記載されているように、納得するまで話し合いが行われていた。」

 不満を持っていた選手が2人いたのは本当だとしても、それが今回の監督解任劇に繋がっているとは思えない。

 しかし、日本のメディア、一部のサポーターに対して怖いと感じることがある。

 それは「不満を持っていた選手がいる」が「監督解任のために造反した選手がいる」にすり替わってしまっているところだ。

 ハリルホジッチ氏は会見後、別のインタビューで不満を持っていた選手の名前を言うつもりはないと発言している。犯人探しもここで終了した方が良いと考える。

あとがき

 今回のハリルホジッチ氏解任はただの監督解任ではない。

 アシスタントコーチのジャッキー・ボヌベー氏

 フィジカルコーチのシリル・モワンヌ氏

 ゴールキーパーコーチのエンヴェル・ルグシッチ氏

 ハリルホジッチ氏のコーチングスタッフ3名もW杯を前にして突然の解任となった事実を忘れてはならない。

 解任は本当に突然のことだった。解任を知らされた同時刻、各コーチはそれぞれの場所(ドイツやイングランド)で海外組の視察で仕事をしていた。

 4月24日、日本サッカー協会は3コーチと接触し、形式的に書類にサインして契約解除となった。

 4名のプロフェッショナルに対して不義理をしてしまったこと。世界各国のフットボール関係者の間で日本サッカーに対する負の歴史として語られることになるだろう。

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