【マリ戦総評】日本代表:2018ロシアW杯特集(15)負けに等しい引き分け

 3月23日マリ代表との一戦は、1対1の引き分けに終わった。仮想セネガルとして十分な試合だった。だが、こんな試合をしていたらロシアW杯は3戦全敗でグループリーグ敗退だろう。

日本代表フォーメーション

※選手名敬称略
()内は交代出場した選手

フォーメーション:4-3-3
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       大迫勇也

宇佐美貴史        久保裕也
(中島翔哉)       (本田圭佑)
       森岡亮太
       (小林悠)

    大島僚太  長谷部誠
    (山口蛍)  (三竿健斗)

長友佑都 槙野智章 昌子源 宇賀神友弥
               (酒井高徳)
       中村航輔

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【編集長の考察】

 代表デビューの中島選手のシュートが決まり、土壇場のロスタイムで同点に追いついたが、内容を含め負けに等しい引き分けだったとみている。

 中島選手、三竿選手、中村選手と若手の新戦力も出てきた。本田選手、宇佐美選手の復帰組もそこまで悪いプレーではなかったように思う。

ポジション別に考察

(GK)
 前半の1対1場面を抑えたのは良かった。失点はPKによる1失点のみなので、及第点ではないだろうか。

(DF)
 センターバックはこれまで不動の存在だった吉田選手が負傷のため招集外となってしまったが、槙野選手、昌司選手の2人は守備面ではほぼ安定していたように見える。問題はビルドアップかなとみている。

 サイドバックは酒井宏樹選手が負傷のため代表辞退となり、右サイドバックの人材が手薄であることが一気に深刻化した。本職が左サイドバックの宇賀神選手を右サイドバックで先発で起用せざるを得ないのが苦しい台所事情を物語っている。後半開始から出場した酒井高徳選手は及第点だったが、それが酒井宏樹選手の偉大さを改めて痛感させられた。コンディションさえ整えば内田篤人選手の逆転でのW杯メンバー入りあるかも…。

(MF)
 今までは守備的な選手を3人並べることが多かったが司令塔タイプの選手を2人入れたパターンはハリルホジッチ体制になって初めての印象を受けた。大島選手が怪我で前半途中に負傷交代となり、ゲームプランは変わってしまったかもしれないが、ウクライナ戦も中盤はこのタイプでチャレンジしてもらいたい。

 また改めて長谷部選手の代わりとなる選手が見当たらないのも明確となった。

 フォーメーションは4-3-3となっていたが、試合展開では4-2-3-1にしてトップ下とダブルボランチの陣形に。さらに4-4-2の2トップ気味にするなど、中盤の構成を変幻自在に変化させていたのは、私の中では高評価だ。

(FW)
 マリ代表は4バックだったので、ワントップでは相手センターバック2人にマークされることになる。その中でも正確なポストプレーや前線からの守備。少し下がってからのボールさばき、チャンスがあればゴールを狙う…それだけ大迫選手のプレーが際立ってみえた。

 一方で、大迫選手のバックアップになるような同タイプの選手が見当たらない。ポストプレーが出来て得点能力が高い選手となると、本田選手のワントップが現実味を帯びてくるかもしれない。

 後半途中から小林選手を入れて4-4-1-1みたいな感じで、大迫選手と小林選手でタテ関係の2トップのようなシステムに見えたが、この戦術を取るなら所属クラブで主戦場としている岡崎選手のW杯メンバー入りも現実的になるかも…。

試合全体をチームとして振り返る

 前半早々に2点は取れた試合だった。

 マリ代表は試合への入りが集中力に欠けていたし、日本代表がつけ入るスキは十分にあった。だが得点が奪えないことで主導権も取れず次第に流れはマリ代表へ。前半30分以降、マリ代表はしっかりブロックを作っていたし、組織的な守備で日本のパスコースがほとんど無かった。特に日本のディフェンスラインからボールを出すところがなく、ボールを供給できない場面が多かったのが気になった。

 前半は日本のディフェンスラインから相手のウラのスペースへのロングボールが多かったので、ゲームプランとしてあったのかもしれない。しかし、そこを抑えられてから次の手がないのは問題。

「堅守速攻」ということでタテに速いサッカーが裏目に出たのかもしれない。ゲームを落ち着かせることができる『遠藤保仁選手』のようなピッチ上の監督が必要なのではないか。

「デュエル」の部分でもほとんど負けていたように思う。五分五分のボールを取れなかったこと。セカンドボールをマイボールに出来なかったところ。さらに試合が進むにつれ次第にマリの選手達の個人技についていけなくなった。特に3人で囲んでも突破されるようではW杯が不安だ。

 中村選手、中島選手、リオ五輪に出場した若手もどんどんA代表でプレーするようになってきた。チームが停滞している時に若手の活躍はチームの勢いを加速させられるので、W杯までにベテラン、中堅、若手選手が融合し、プレーの連携面で成熟度を高め、チームとしてまとまっていってほしい。

あとがき

 私はこれまでサッカー日本代表の記事において、監督の選手選考、試合の采配、試合後の発言などでにおいて批判的なことを記載していたが、今日の試合を観ていて思ったのは、選手の方にも問題があるということだ。

 海外組が入ってE-1選手権の時のように言い訳はできない試合だったが、その中でもピッチ内で戦っていた選手は何人いただろうか?個人名は伏せるが、前半開始早々、決定的な場面でシュートを外して悔しがる素振りもない選手もいた。そんな選手に次の得点チャンスが来るわけない。

 日本代表としての誇り、魂という系譜は受け継がれていないのだろうか?27日に行われるウクライナ代表との試合は、W杯での躍進が期待できるような試合をみせてもらいたい。

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