ロシアW杯に出場したメンバーも招集され、怪我人を除いて現時点で考えられるベストメンバーを揃えた日本代表。
「若手との融合」がテーマになった10月は、パナマ代表、ウルグアイ代表と親善試合を行う予定になっている。
パナマ代表に3対0で勝利し、勢いに乗る日本代表はロシアW杯でベスト8に入ったウルグアイ代表をホームで迎え撃つことになった。
ウルグアイ戦レビュー
日本代表 4-3 ウルグアイ代表
<スタジアム/現地情報>
スタジアム:埼玉スタジアム2002
観客数 :57,239人
天候 :曇り
気温 :21.5℃
湿度 :57%
日本代表のフォーメーション
※選手名敬称略
()内は交代出場した選手
フォーメーション:4-2-3-1
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大迫勇也
中島翔哉 南野拓実 堂安律
(原口元気)
柴崎岳 遠藤航
(青山敏弘)
長友佑都 吉田麻也 三浦弦太 酒井宏樹
東口順昭
【得点者】
前半10分;南野拓実
前半36分;大迫勇也
後半14分;堂安律
後半21分;南野拓実
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【編集長の考察】
日本代表チームに対して「どうした!?」と思いながら試合を観戦していたのはあまり記憶がありません。もちろん良い意味でのことです。
格上のウルグアイに対して、日本(ホーム)で開催された親善試合とはいえ、4得点も決めて勝ち切ったこと。ゴールシーン全て流れの中から得点が生まれたこと。については素直に称賛したい。
「ロシアW杯出場組と若手との融合」が上手くいったといえるのではないでしょうか。
攻撃面について
日本代表のシステムを見てみると、攻撃で良い時間帯は4-2-3-1をベースに、両サイドバックがかなり高い位置を取っていた。
これだけでかなり厚みのある攻撃が出来ていた。
ピッチをワイドに使っていたので、ボールの取りどころがウルグアイにとっても難しかったように思う。
2列目で起用された中島選手、南野選手、堂安選手が流動的にどんどん動きながらプレーしているので、ウルグアイのディフェンス陣も対応しきれていなかった。
理由の1つとして考えられるのは、中島選手のミドルシュートだろう。
ペナルティエリア外からでも積極的に狙ってくるので、ディフェンスはボールにプレッシャーをかけないといけない。その結果、キーパーとディフェンスラインの間に大きなスペースが生まれていた。
ミドルシュートが枠内に飛ぶことで、キーパーの弾いたこぼれ球を蹴り込むパターンから2つのゴールが決まったところを見ると、勝敗のカギはミドルシュートにあったと見ている。
そこに至るまでの過程として、長友選手、酒井選手の両サイドバックのオーバーラップは欠かせない。
瞬間的に2対1と数的優位を作り、ウルグアイのディフェンス陣にプレーの選択肢を増やすことで、対応が1歩遅れていた。結果としてドリブルが効果的になり、日本らしい素早い攻撃が機能していたように見ている。
守備面について
守備陣形は4-4-2でブロックを作ってコンパクトにしていたことで、ウルグアイも中盤でのスペースを使いずらかったように思う。
だが、フィジカルの部分では日本の中盤は負けていた。
中盤でボールの奪いになると、柴崎選手のフィジカルではカバーニ選手には歯が立たなかった。日本人選手がヨーロッパの主要リーグでボランチとして活躍できないのは、やはりフィジカルの差だ。
この試合、ボランチで光ったプレーを見せていたのは、遠藤選手。
2列目とディフェンスラインの間でリンクマンのようなプレーに見えた。
攻撃の時はパスの供給地として縦パスを入れたり、守備の時はスペースを埋めながらウルグアイの攻撃を遅らせたり、日本型のボランチは潰し屋タイプというより、つなぎ役タイプの方が合うのかもしれない。そんな可能性を見た。
柴崎選手は所属チームでの出場機会が増えないと、厳しいと考える。特に前半は試合勘が欠如しているのか?と見られるプレーもあった。
失点シーンを振り返ると、前半28分に同点に追いつかれたシーンは、セットプレーから高さを活かした攻撃にやられたことだった。ロシアW杯でベルギーと対戦したときフェライニ選手に決められたシーンが少し頭をよぎる。
2点目は完全なミス。3点目を与えてしまったシーンは、2点をリードしていたこと、選手交代もあり集中力が少し切れてしまったように感じたが、この2つの失点はすぐに修正できるだろう。
チーム全体として
前半からかなり飛ばしていたので、最後まで体力が持つのか心配な面もあったが的中してしまう。
後半28分、4対2で日本が2点リードの場面で、ウルグアイが1点を返し4対3と1点差に詰め寄られてしまう。
「ん?なんかいやな展開だな…。」
と頭をよぎったのは、ロシアW杯でベルギーに2点差をひっくり返された場面。
『日本代表にとって格上との対戦で2点リードはセーフティーリードではない』と身に染みてわかっていたはずだ。
「日本は90分のうち75分は良いフットボールをする」と言われていた頃もあった。残り15分で逆転されたら、75分良い試合をしていたとしても負けは負け。
格上のチームと対戦する時、試合時間残り15分の戦い方は今後の課題になるだろう。
だが、この試合に関していえば、4対3と1点リードしたまま逃げ切って勝利した。
親善試合に関わらず、日本が使った交代枠は2つだけ。あくまで公式戦をイメージして采配を行ったと見て良いだろう。
前線からあれだけチーム全体でハードワークをして、90分保てるプレーが出来たのは大きな収穫だ。
2022年のカタールW杯でベスト16の壁を越えるため、世界の強豪国と渡り合うため、日本代表の武器がカタチとして見えたように思っている。
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