グループリーグを1位で通過した日本代表。
決勝トーナメント1回戦ではサウジアラビアと対戦する。
正直、このカードが1回戦から実現するとは考えていなかった。
負けたら終わりの決勝トーナメントで求められるのは、内容よりも勝つことだけだ。
マッチレビュー
<決勝トーナメント1回戦>
日本代表 1-0 サウジアラビア代表
<スタジアム/現地情報>
スタジアム:ザイード スポーツ シティ スタジアム
観客数 :6,832人
天候 :晴れ
気温 :19.5℃
湿度 :30%
日本代表のフォーメーション
※選手名敬称略
()内は交代出場した選手
フォーメーション:4-2-3-1
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武藤嘉紀
(北川航也)
原口元気 南野拓実 堂安律
(伊東純也) (塩谷司)
遠藤航 柴崎岳
長友佑都 吉田麻也 冨安健洋 酒井宏樹
権田修一
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【得点者】
前半20分;冨安健洋
【編集長の考察】
序盤は完全にサウジアラビアのペースで、日本がボールを持つことができない苦しい時間帯が続いていた。
そんな中、セットプレーのチャンスを確実に得点に繋げて、先制できたことは日本にとって良かった。
コーナーキックから柴崎選手の正確なセンタリング、エリア内での駆け引きを制し、打点の高いヘディングで代表初ゴールを決めた冨安選手。
先制点を取れてなかったら、勝敗はどうなっていたかわからない。
この試合のボランチ(柴崎選手、遠藤選手)は良かった。
サイドバックが上がって生まれたウラのスペースを、上手くカバーしていた。
試合の立ち上がりを守備から入って、相手にボールは持たれても主導権を渡さなかったことは大きかった。
欲を言えば、先制した後、2度は追加点を取れるチャンスはあった。
1点差のまま試合が進んでいったので、守備陣は集中力を切らさずに良いプレーを見せていたが、攻撃陣がもう1点とって少しでも楽な展開にもっていければ、チームとしてさらに強くなるだろう。
主役が選手ではなく主審
ただ、この試合のMVPを挙げるなら主審のラフシャン・イルマトフ氏だろう。
ウズベキスタン出身の方で、AFC最優秀審判に選ばれたこともあり、これまで日本戦も担当したことはある。
[日本戦担当:アジアカップ2011/カタール大会]
・日本対サウジアラビア(グループリーグ第3戦)
・日本対オーストラリア(決勝)
ちょっとした接触プレーでもファールを取って試合を止めすぎていた印象はあった。
サウジアラビア側が少し倒れただけで、笛を吹くのはちょっと…という感じを持ったのは、特に日本が守備に追われている時間帯で起こっていたから。
しかし、日本に対してファールがあった時はしっかりと取ってくれたので安心した。
『中東の笛』という可能性も頭をよぎった。
主審の判定に疑問を持っていたが、前半39分に武藤選手がイエローカードを出されたシーンは、完全に武藤選手のファールだった。スローで見るとボールではなく完全に相手の足に行っているので…。
前の試合で1枚もらっている状況、大迫選手が怪我で出場が微妙な状況の中、ワントップのフォワードとして、あの位置でカード対象となるファールはちょっと考えられない。
ウズベキスタン戦での同点ゴールがかすんでしまうくらい、残念なプレーだった。
後半はより一層、日本のファール数を取られる回数が増えた。
日本が攻撃に移る時に、接触があればすぐにファールを取ってサウジアラビアボールに代わる。
これが繰り返される。
日本の選手も終盤になるとアピールをするのを止めていたのは、賢い判断だ。
後半途中から主審が試合の主役になっていた。
前線で起点もカウンターへの移行も審判により封じられ、守備に追われる時間帯がほとんどだった。
一部スタッツを記載しているが、ボール保持率の低さに注目が集まると思うが、あれだけファールで日本ボールが奪われると、この数字を見ても不思議ではない。
【スタッツ一部紹介】
日本 | サウジアラビア | |
ボール保有率 | 23.7% | 76.3% |
ファール数 | 27回 | 13回 |
シュート数 | 5本 | 15本 |
枠内シュート | 2本 | 1本 |
それでも日本が守りきることができたのは、サウジアラビアの決定力不足とゴール前での精度の差だった。
負けたら終わりの決勝トーナメントで不利な判定にも関わらず、勝ち切ったこと。
準々決勝進出を決めたこと。これが全てだ。
サウジアラビア代表について
ポゼッション型のサッカーを確立していて、前半の早い時間帯は完全に日本を圧倒していた。
またサイドをワイドに使うことで、中央のスペースを空け、スピードのあるパファド選手に縦パスを入れる攻撃パターンが出来ていた。
足元の技術が高い司令塔タイプの選手が現れたら、チーム力が一段とレベルが上がるだろう。
筆者にとってサウジアラビアは、W杯に出場するたびに脆さを露呈するチームという印象を持っている。
・2002年の日韓大会ではドイツに8失点完敗。
・2018年のロシア大会では開幕戦でロシアに5失点完敗。
それでもアジアでは中東の古豪と位置付けられていて、一筋縄ではいかない相手だ。
W杯アジア予選では対戦する可能性も残しているが、対戦することになればどんなチームになっているのだろうか。
あとがき
振り返っても、不完全燃焼に近い試合だった。
特に後半は「フットボール」とはいえない。
アジアのレフリングのレベルがこの程度なら、2022年カタールW杯も不安でしかない。
日本が勝ったから、サウジアラビア戦のことをここまで振り返ることができただけ。
一旦リセットして、準々決勝で対戦するベトナム戦のことを考えようと思う。
準々決勝は、日本時間1月24日(木)22時キックオフで行われる。