日本代表:Road to カタール(20)2019年6月の国際親善試合【総評】

 トリニダード・トバゴ選手はスコアレスの引き分け。
 エルサルバドル戦は2対0で勝利したとはいえ、個人的には2試合を通じて消化不良に感じた時間帯の方が多い試合でした。

 3バックということでサイドをワイドに使って攻撃的にいける一方で、空いたウラのスペースをどうケアするか。については不透明な部分が残る。

 トリニダード・トバゴ、エルサルバドルがそこまで攻め込まれた時間帯がなく、守備については評価が難しい。3バックが評価できるのかは先延ばしにしたい。

 だが、今回の国際親善試合2試合を通じて、森保体制発足後、これまでのベースに新戦力が加わり、カタールW杯アジア予選に向けて良い準備が出来たのではないか。と見ている。

◆ワントップ争い

 大迫選手は絶対的な選手になっているが、この試合で2ゴールと結果を残した永井選手も注目したい。
 ウラへ抜けるスピードは一級品だし、快足ストライカーはベンチに1人は入れておきたい。

 これまで筆者は、森保監督の教え子でもある浅野拓磨選手を推してきた。
 しかし、怪我もありコンスタントに出場機会を得られずコンディションが思わしくない。

 永井選手のゴールシーンをみると、3-4-2-1システムの時、浅野選手をワントップに置くプランが森保監督にあったのではないかと思える。特に後方からのロングボールでウラを狙う攻撃は効果的だった。

 ここからは推測だが、大迫選手を2シャドーの1角で起用できれば、バイタルエリアでボールキープできるので、さらにサイド攻撃の威力が増すのではないだろうか。

 大迫選手と同じポストプレーヤータイプの選手が不足しているので、ワントップに快足FWを起用するのも新たなオプションとして計算できる目途は立ったのではないだろうか。

 そうなるとワントップの候補として、東京五輪世代でもある、松本山雅FCの前田大然選手も候補の1人として入ってもおかしくない。

☆ワントップ争い☆
1番手:大迫勇也
2番手:浅野拓磨
3番手:永井謙佑 or 前田大然

◆ボランチコンビの1番手は?

 この2試合で1番不安を残したのは、ボランチだと見ている。
 攻撃的な選手と守備的な選手とバランスよく構成されているが、パフォーマンスには満足できない。

 攻撃型の柴崎選手、小林選手だが、チームの攻撃を活性化出来ただろうか。
 この2試合だけで判断するなら、小林選手を繰り出したパスの方がバリエーションもあって攻撃に変化を与えていたように見えた。

 その差は、今シーズンのクラブチームでの出場時間数が大きくパフォーマンスに影響しているのは間違いない。
 柴崎選手は所属するスペイン1部のヘタフェで構想外のような扱いを受けていた。

 コンスタントに出場していない選手を代表に招集して先発フル出場させるものは、いかがなものか。
 特にボランチはチーム全体のパフォーマンスに影響を与えかねない。

 守備型の守田選手、橋本選手もまずまずのプレーだったが、今回は怪我もあり招集が見送られた遠藤航選手以上のパフォーマンスだったかと言われれば判断が難しい。

 ボランチはチームのかじ取りを担う部分もあるので、個人的には中盤の底からチームを鼓舞するタイプの選手が理想だと考えている。

☆ボランチ構成☆
1番手:小林祐希、遠藤航
2番手:柴崎岳、守田英正 or 橋本拳人

◆3バック?4バック?

 フル代表では4バックが慣れているので、ある程度選手起用は見えてくるのだが、問題は3バックの時のWB(ウィングバック)をどうするか。

 トリニダード・トバゴ戦は、左に長友選手、右に酒井選手と本職がSB(サイドバック)の選手を起用。
 エルサルバドル戦は、左に原口選手、右に伊東選手と本職がSH(サイドハーフ)の選手を起用した。

 どちらの組み合わせが良かったかは断言できない。
 攻撃的にいくなら、原口選手、伊東選手の組み合わせが良いが、守備的にいくなら、長友選手、酒井選手の方が安定するだろう。

 筆者の結論としては、本職がWBの選手が出てこない限り、基本的にフル代表は4バックをベースにするのが最適解だと見ている。

 ただし、アジア予選では完全に引いて守備を固めてくるチームもあるので、そういった相手に得点を奪う時に限り、3バックにしてサイドで高い位置を取り、ピッチをワイドに使って攻撃に出る。というオプションを持っておくのは賛成だ。

 次の戦いは、ブラジルで開催されるコパ・アメリカ。
 日本の初戦は6月18日、チリ代表と対戦することになっている。
 コパ・アメリカはメンバー構成を見ると、東京五輪世代がメインとなっているので、おそらく3バックがベースになるだろう。

 フル代表メンバーで参戦できないのは残念だが、攻撃に関しては中島選手と久保選手の連携が深まれば、もしかしたら本気の南米チームを相手に一矢報いることは出来るかもしれない。と淡い期待を抱いている。