ヨーロッパでの新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、ドイツ・ビーレフェルトは日本代表に招集されていた堂安律選手の派遣を拒否した。
堂安選手の不参加を受けてオーストリア・ザルツブルクの奥川雅也選手を追加招集したが、ザルツブルクでも選手の数名が新型コロナの陽性反応が出た情報が流れた。結果的には陰性だったが、万全を期すために日本側が奥川選手の追加招集を見送ることになった。
このご時世なので仕方ないことが、試合数日前から開催なのか中止なのか見る側の私としても当日まで気持ちが落ち着かなかった。
パナマ代表とは2018年10月に日本で対戦している。
この時は3対0で勝利しているが、今回は接戦になるような予感だけはしていた。
◆招集メンバー(23名)
※選手名敬称略。
[GK]
1.川島永嗣(ストラスブール/フランス)
12.権田修一(ポルティモネンセ/ポルトガル)
23.シュミット・ダニエル(シントトロイデン/ベルギー)
[DF]
5.長友佑都(マルセイユ/フランス)
22.吉田麻也(サンプドリア/イタリア)
19.酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
2.植田直通(セルクル・ブルージュ/ベルギー)
3.室屋成 (ハノーファー/ドイツ2部)
16.冨安健洋(ボローニャ/イタリア)
20.板倉滉 (フローニンゲン/オランダ)
24.菅原由勢(AZ/オランダ)
[MF]
8.原口元気(ハノーファー/ドイツ2部)
7.柴崎岳 (レガネス/スペイン2部)
6.遠藤航 (シュトゥットガルト/ドイツ)
14.伊東純也(ヘンク/ベルギー)
13.橋本拳人(ロストフ/ロシア)
10.南野拓実(リバプール/イングランド)
9.鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
4.中山雄太(ズウォレ/オランダ)
25.三好康児(アントワープ/ベルギー)
17.久保建英(ビジャレアル/スペイン)
[FW]
11.鈴木武蔵(ベールスホット/ベルギー)
18.浅野拓磨(パルチザン/セルビア)
【不参加】
堂安律 (ビーレフェルト/ドイツ)
奥川雅也(ザルツブルク/オーストリア)
マッチレビュー
日本代表 1-0 パナマ代表
日本代表スターティングイレブン
【フォーメーション:3-4-2-1】
()内は交代出場した選手
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南野拓実
(浅野拓磨)
久保建英 三好康児
(鎌田大地)
長友佑都 室屋成
(原口元気) (酒井宏樹)
橋本拳人 柴崎岳
(遠藤航) (中山雄太)
板倉滉 吉田麻也 植田直通
権田修一
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【得点者】
後半16分;南野拓実(PK)
【日本代表スタッツ】
ボール支配率 :50%
シュート数 :17本
枠内シュート : 5本
パス成功率 :83%(502本)
オフサイド : 3回
フリーキック :17本
コーナーキック: 4本
【スタジアム/現地情報】
スタジアム:メルクール・アレーナ(グラーツ)
天候 :曇り
気温 :13.2℃
湿度 :80%
【編集長の考察】
スタメン発表を見て驚いた。これまでの森保監督にない大胆なチャレンジに見えた。
A代表では先月のカメルーン代表戦のように試合途中からシステム変更で4バックから3バックにしたことはあったが、スタートから3バックだったのは2018年ロシアW杯開幕前にガーナ代表との壮行試合以来のはずだ。
ワントップが南野選手になっていたが、イメージとしてはツーシャドーの三好選手、久保選手を含めた3選手が流動的に動きながらゼロトップに近い感じになるのか?という印象を受けた。
立ち上がりは日本の方が良かったかのように思えたのだが、実際はパナマがバタバタしていただけで時間が経過するに連れて、徐々にパナマが押し返してきた。
日本がサイドから崩してくるのはスカウティングに入ってただろう。ボールがサイドに流れると必ず2人はボールに寄せてきていたので、日本のストロングポイントが出せないままだった。
それでもディフェンスラインから1本のロングボールを真ん中から通すと、パナマのディフェンスがサイドをケアしすぎていた反動もあったと思うが、いつもは通らないのにすんなり通って南野選手がシュートまで持っていける場面など見せ場は少なからずあった。
それでも千載一遇のチャンスをものにしないと、試合を有利に進めることができない。相手がどうこういうより日本は自分達で流れを掴め切れず自分たちで試合を難しくしてしまった。
何度かディフェンスラインからゴールキーパーへのバックパスが多いのは気になったが、前線へのパスコースが限定されていたため出しどころがなく、何がしたいかわからないプレーに映ってしまった。
新しいチャレンジをしたのでピッチ内でバタバタした結果なのかもしれない。
後半、橋本選手に代わって遠藤航選手を投入。ここから日本がチームとして機能し始める。柴崎選手とのダブルボランチではあるが、攻撃時には縦関係になり、遠藤選手はアンカー(中盤の底)でチームの舵取り役に徹していた。
日本はダブルボランチが機能しないとチームにならない。
「日本の心臓」に欠かせない選手は柴崎選手の方かと思っていたが、2020年になり遠藤航選手が名実ともに日本の中盤で必要不可欠な選手だ。
遠藤選手が中盤に入るだけで、ボール奪取してかからの攻守の切り替えが良くなり、チームに連動性が生まれた。
各選手が自身の持つ特徴的なプレーを出せるようになり、結果として久保選手のパスから抜け出した南野選手が倒されて先制点につながるPKを獲得出来たのだと思う。
前半のバタバタが嘘のように無くなり、後半は日本のペースで試合が進んでいく。
1点リードで迎えた後半33分、途中出場の浅野選手のカウンターに相手GKが飛び出してファール覚悟のプレーだったので止められてしまったが、相手GKがレッドカードを受けて1発退場となり日本が数的優位に立ったものの、その後追加点を奪うことはできなかったことは反省材料だ。
・流れの中から得点が奪えない。
・シュートが枠に飛んでいない。
・数的優位になったのに追加点を奪えない。
これらは今に始まった課題ではない。私が日本代表の試合を見るようになってから常に思っていることだ。
試合終盤になるにつれフィニッシュの前までは完璧に崩しているのに、最後のシュートが決まらない。守備陣が無失点に抑えているから結果的に勝てているだけであって、攻撃陣には試合を締めくくるゴールを大事な時間帯で決めてほしいものだ。
次のメキシコ戦は2020年の大一番。
遠藤選手を軸に、吉田選手、冨安選手が中央に陣取ったディフェンス陣がどこまでメキシコの攻撃を抑え込めるのか。攻撃陣は流れの中から得点を奪うことができるのか。3バックの次は2トップも試してほしいものだ。