日本代表:Road to カタール(52)W杯アジア最終予選/サウジアラビア代表戦マッチレポート

カタールW杯アジア最終予選グループBが混戦になったのは日本代表が不甲斐ない試合をしてきたから。ここに来てやっと前評判通り、日本、サウジアラビア、オーストラリアの三つ巴の争いに落ち着いた。

そしてホームでサウジアラビア代表との一戦を迎える。
アウェイでは0対1とミスから失点し敗れたためホームで負けることは許されない。

マッチレポート

先日の中国戦とは異なり、非常に緊張感のある中で立ち上がりとなった。日本の試合の入りが悪かったわけではないが、前半を通して主導権を握れたとは思えなかった。

ホームの利を活かせずに五分五分の展開が続く中で、活路を見出したのが個の力だった。
前半31分、伊東純也(ゲンク)のセンタリングを大迫勇也(ヴィッセル神戸)がスルー、そこに南野拓実(リバプール)が走り込み、ワンフェイントから左足を振り抜いて見事に先制点を決めた!

大迫選手のスルーも南野選手のシュートも良かったが、伊東選手がスピードに乗ってギリギリで上げたセンタリングが先制点のポイントであり、起点となった右サイドバックの酒井宏樹(浦和レッズ)から出た高速パスも伊東選手以外では追いつけないパスだった。

先制したことで主導権を握った日本は前半を1点リードで折り返すと後半5分、長友佑都(FC東京)のプレスからボールが転がってきたところを伊東選手が右足を振り抜いて追加点となるゴールを決めた!伊東選手の4試合連続ゴールが決まり、後半早々の追加点にホームの後押しもあり流れは完全に日本に傾いた瞬間だった。

2点をリードしたことで余裕が出てきたのか守備でも連動を見せ始める。
前半は相手ゴールキックの際に選手の立ち位置をゴールキーパーに近いところに立って早めにプレスをかけにいく、イングランド・プレミアリーグの守備を参考にしたようなプレスをしていたが上手くハマっていなかった。

その原因は大迫選手だけでプレスに行ってたから。1人でプレスに行ってもボールを回されてしまえば意味がないのだが、後半からは伊東選手、南野選手の両サイドも連動して前線からボールを奪うことが出来たのでプレスがハマった。
さらに守田英正(サンタクララ)、田中碧(デュッセルドルフ)の両インサイドハーフも連動したプレスをかけることで守備の強度は一層に上がり、サウジアラビアは為す術もない感じに見えた。

アウェイでの借りを返した日本代表だったが、この試合で気になる点が2つあった。

1つは前半21分に板倉滉(シャルケ)選手が簡単にイエローカードをもらった場面。ゴールに直結する危ない場面でのカードなら仕方ないが、五分五分の時間帯での軽率なプレイでのカードだったのでもったいない印象を受けた。
無失点で抑えたとはいえ、不動のセンターバックコンビの吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(アーセナル)の間を割って入るには難しいかもしれない。

もう1つは後半からプレスがハマって守備の強度が上がったが、短いスプリントを繰り返すことでスタミナは削られ後半30分までしか機能していなかったように思う。
選手交代で前線の選手を入れ替えることで前からのプレスは試合を通じてかけにいってたが、海外組の選手がほとんどの割合を占める日本代表において世界基準で見ると、90分間守備の強度を保つことが出来なかったことが勝利よりも大きな宿題として残った。

マッチレビュー

日本代表 2-0 サウジアラビア代表

【得点者】
前半32分;南野拓実
後半 5分;伊東純也

日本代表スターティングイレブン

【フォーメーション:4-3-3】

()内は交代出場した選手
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        大迫勇也
        (前田大然)

 南野拓実          伊東純也
(浅野拓磨)          

    守田英正     田中碧

         遠藤航
       (原口元気)

長友佑都 谷口彰悟  板倉滉 酒井宏樹
(中山雄太)

        権田修一

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【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :41%
シュート数  :10本
枠内シュート : 3本
パス成功率  :74%(402本)
オフサイド  : 3回
フリーキック :10本
コーナーキック: 1本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:埼玉スタジアム2002
観客数  :19,118人
天候   :晴れ
気温   :7.6℃
湿度   :34%

登録メンバー

[GK]

1.川島永嗣(ストラスブール/フランス)
12.権田修一(清水エスパルス)
23.シュミット・ダニエル(シントトロイデン/ベルギー)

[DF]

5.長友佑都(FC東京)
19.酒井宏樹(浦和レッズ)
3.谷口彰悟(川崎フロンターレ)
22.山根視来(川崎フロンターレ)
2.植田直通(ニーム/フランス2部)
16.中谷進之介(名古屋グランパス)
4.板倉滉 (シャルケ/ドイツ2部)
20.中山雄太(ズウォレ/オランダ)

[MF]

8.原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)
7.柴崎岳 (レガネス/スペイン2部)
6.遠藤航 (シュトゥットガルト/ドイツ)
10.南野拓実(リバプール/イングランド)
13.守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)
14.伊東純也(ゲンク/ベルギー)
21.堂安律 (PSV/オランダ)
17.田中碧 (デュッセルドルフ/ドイツ2部)
11.久保建英(マジョルカ/スペイン)

[FW]

15.大迫勇也(ヴィッセル神戸)
18.浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
9.前田大然(セルティック/スコットランド)

あとがき

日本サッカー協会の強権を発動してまで実現した埼玉スタジアムでのホーム開催となった今回のW杯アジア最終予選の2連戦を2連勝で終えた。
サウジアラビア戦のような試合が出来ていれば最終予選をここまで苦戦することは無かったと思います。まだカタールW杯出場権を獲得したわけではないので安心できません。