日本代表:Road to カタール(60)国際親善試合エクアドル代表戦マッチレポート

アメリカ代表に2対0で勝利した日本代表。結果も内容も伴った良い試合だったがテストマッチの要素が多かったため手放しで喜ぶわけにはいかない。
エクアドル戦はW杯本大会メンバー発表前のラストマッチになる。アメリカ戦からスタメン11人を入れ替えて臨む一戦になった。

マッチレポート

日本は4-2-3-1、エクアドルは4-3-3でスタート。相手が4-3-3で来る時、日本は4-3-3で迎え撃つのではなく4-2-3-1で戦うことは2試合を通じて理解できた。
それでも日本の4-3-3がアジア以外でどこまで通用するか確認したかったが、グループリーグ初戦のドイツ戦まで温存した可能性も考えられるし、6月のチュニジア戦で3失点を喫したから使わない可能性も否定できない。

エクアドルは前半から激しいプレスから縦に早い攻撃を仕掛けてきた。日本にボールの取り所の目星をつけらえないようにボールを動かしていたので日本のプレスは全くハマらず、ジリジリとラインを下げてしまい守備に回る時間帯が多かった。
日本のマイボールの時間帯もあったけど、バックパスや消極的な横パスばかりで興ざめだった。苦し紛れに蹴り出す縦へのロングボールだけでは相手の守備は崩すことは出来ない。

後半、日本は上田選手を投入して前線で起点を作れるようになってからは徐々に攻撃の形を作れるようになってきた。しかし最後のところで決定力不足を露呈し得点には繋がらなかった。
この試合、1番の見せ場を作ったのはシュミット・ダニエル選手。後半38分のPKを止めてスコアレスドローに持ち込み守護神争いに名乗りを上げた。

【フォーメーション:4-2-3-1】
()内は交代時間と交代出場した選手

        
        古橋亨梧
      (45,上田綺世)

  三笘薫    南野拓実    堂安律
(67,相馬勇紀) (67,鎌田大地) (84,伊東純也)

     田中碧   柴崎岳
          (67,遠藤航)

長友佑都           山根視来
(84,吉田麻也)

     伊藤洋輝  谷口彰悟

     シュミット・ダニエル

見えない攻撃の形

アメリカ戦のスタメンと比較すると、エクアドル戦のスタメンの方が攻撃力は上だと思って見ていたが、守備の強度が低いところを攻められて防戦一方になり攻撃の形を作れていなかった。

日本の4-2-3-1は、1トップと2列目の組み合わせが悪いと機能しないのかもしれない。1トップにボールが収まることで2列目が連動して攻撃の形を作れていた時期が現体制発足時は確かにあったので、その時の良い印象がそのまま残っている可能性もある。

当時と同じメンバーでプレー出来るならそれでも良いかもしれないが現状では難しくなっている。新たな攻撃パターンを準備していると思っていたが、どうやら選手の配置や構成を変化させて選手のアイデアによる攻撃しかないと判断しても良いかもしれない。

その結論に至った根拠は、アメリカ戦で見せたようなワンタッチ、ツータッチでボールを動かしながら攻める形がエクアドル戦でほとんど見れなかったからだ。

求められる守備の強度

前半、前線からのプレスが全くハマらなかったのは、ダブルボランチのところでボールを拾えなかったのが最大の要因だと考える。柴崎選手と田中選手の組み合わせは初めてだったと思うが、こぼれ球を拾えずフィジカルでも圧倒されていた。

柴崎選手の守備強度についてはアジア最終予選からも懸念されていたはずだ。トップ下なら司令塔としての役割を期待できるが、ダブルボランチとしての起用は今後も難しいと断言する。コンビを組んだ田中選手が守備面でフォローすればとも思ったが、ダブルボランチの間を狙われて崩される未来しか想像できない。

次にサイドでの守備が軽い印象を受けた。右サイドの堂安選手、左サイドバックの長友選手は1対1でも体を張って守備をしていたので良かったが、左サイドの三笘選手、右サイドバックの山根選手はあっさり抜かれるシーンが目立った。三笘選手と山根選手が攻撃面で結果を残せていても、守備の強度が低いとW杯本大会でのスタメン起用は難しい。

収穫と課題

収穫はシュミット・ダニエル選手が守護神争いに名乗りを上げたこと。これまで権田選手が絶対的守護神として君臨していたが、怪我で負傷離脱した緊急事態を無失点で切り抜けた。

課題は全部で3つ。
1つ目は、ダブルボランチの組み合わせ次第では別のチームになること。遠藤選手、守田選手のどちらかがピッチにいないと中盤でボールを奪えなくなってしまうのは問題だ。

2つ目は、エースストライカー不在。
この試合のようにスコアレスのまま試合終盤に突入した時、1点勝負になった時に頼れるエースがいないのは期待感を持てない。交代カードを切り、1トップから2トップに変えてチームとして得点を奪いに行く姿勢は見せたが、最後はやはり個の力に頼らざるを得ない。

3つ目は、先制された後の試合運び。
日本は先制した試合の勝率は高いが、先に失点した試合の勝率は低いというデータもある。W杯本大会でドイツ、コスタリカ、スペインと対戦するが、先制点を奪われる可能性は高いと予想しているので、ビハインドの場面でどういう試合運びをするのかテストマッチで確認しておきたかった。

マッチレビュー

日本代表 0-0 エクアドル代表

【スタッツ】

日本代表 エクアドル代表
ボール支配率 52% 48%
シュート数 9本 12本
枠内シュート 4本 2本
パス成功率 458(82.3%) 447(80.5%)
オフサイド 1回 3回
フリーキック 14本 16本
コーナーキック 3本 7本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:デュッセルドルフ アレーナ
観客数  :4,321人
天候   :雨(屋内)
気温   :15.4℃
湿度   :52%

招集メンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 川島永嗣
12 権田修一
23 シュミット・ダニエル
30 谷晃生
DF 5 長友佑都
22 吉田麻也
19 酒井宏樹
3 谷口彰悟
2 山根視来
20 中山雄太
16 冨安健洋
28 伊藤洋輝
4 瀬古歩夢
MF 8 原口元気
7 柴崎岳
6 遠藤航
14 伊東純也
10 南野拓実
13 守田英正
15 鎌田大地
27 相馬勇紀
18 三笘薫
24 旗手怜央
21 堂安律
17 田中碧
11 久保建英
FW 9 古橋亨梧
25 前田大然
26 上田綺世
29 町田修斗

エクアドル戦:ベンチ外

GK.権田修一 ※怪我(背部打撲)のため離脱
DF.冨安健洋 ※クラブ事情のため離脱
DF.瀬古歩夢
FW.前田大然

あとがき

招集した選手は全員起用の可能性も示唆していたが実現するのは難しい。
残念だがアメリカ代表、エクアドル代表の2試合で起用されなかった選手は落選濃厚となった。