海外組日本人選手2021-2022シーズン前半戦総括レポート

海外サッカーも多くはウィンターブレイクに突入したので、海外で活躍する日本人サッカー選手の総括と共にFOOTBALL NOTE調べによる各ランキングを作成した。

調査対象となるのは開幕から2021年12月28日のリーグ戦での成績。なおカップ戦、リーグ杯、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、カンファレンスリーグでの成績は除く。

リーグによってレベルが違うので一概の評価は難しいが、海外組日本人選手の現在地は見えてくる。

FOOTBALL NOTE式・分析定義

「2021-2022シーズン中間分析の調査対象」
*リーグ戦で途中出場を含む10試合以上に出場している日本人選手

ヨーロッパ4大リーグ(1部)

イングランド、スペイン、イタリア、ドイツは4大リーグに分類され世界最高峰のリーグに該当する。4大リーグで活躍している日本人はそこまで多くないが、明確な結果を出してインパクトを残さないとプレーすること自体が難しくなる。

ゴールランキングトップ3

選手名 所属先(国名) ポジション ゴール数
1位 奥川雅也 ビーレフェルト(ドイツ) MF 5
2位 吉田麻也 サンプドリア(イタリア) DF 2
3位 5名 1

※3位タイ:1ゴール
南野拓実(リバプール/イングランド/MF)
久保建英(マジョルカ/スペイン/MF)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ/MF)
遠藤航(シュトゥットガルト/ドイツ/MF)
伊藤洋輝(シュトゥットガルト/ドイツ/DF)

ここまでのサプライズはビーレフェルトの奥川雅也選手で間違いない。
2020-2021シーズンの1月にザルツブルクからレンタル移籍でビーレフェルトに加入するものの13試合に出場し1ゴールと満足行く結果は出せなかった。
しかし2021-2022シーズンからは買取オプションが行使されビーレフェルトに完全移籍を果たすと、今シーズンここまで16試合に出場し5ゴール1アシストと結果を残している。

1つ気になるのは現在チームがリーグ17位と降格圏内にいること。
勝ち点3差の中に4チームもいるのでそこまで悲観することもないが、後半戦も好調を維持してチームを1部残留に導くことが最低限のノルマになるだろう。個人記録として2桁得点は狙ってもらいたいところだ。

アシストランキングトップ3

選手名 所属先(国名) ポジション アシスト数
1位 原口元気 ウニオン・ベルリン(ドイツ) MF 4
2位 遠藤航 シュトゥットガルト(ドイツ) MF 2
3位 5名 1

※3位タイ:1アシスト
冨安健洋(アーセナル/イングランド/DF)
吉田麻也(サンプドリア/イタリア/DF)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ/MF)
奥川雅也(ビーレフェルト/ドイツ/MF)

ウニオン・ベルリンの原口元気選手はインサイドハーフでの起用が新たな輝きを生み出すことになった。
昨シーズンまで在籍していたハノーファーでは、2列目の左サイドやトップ下で起用が多く得点を決めるプレースタイルが定着していたが、3-5-2の右インサイドハーフ起用がハマりここまで17試合に出場し4アシストと結果を残している。
中盤ではどうしても球際が強い選手、パスを出せる選手が起用される傾向にあるが、原口選手のようにドリブルでボールを前線に運べる選手が中盤に入ることでビルドアップの面でチームの攻撃に良い効果を生んでいると見ている。

シュトゥットガルトの遠藤航選手もインサイドハーフで起用される時は、ボールを奪ってから自身で前線まで持ち運んでからのラストパスからゴールが決まってアシストが付く傾向もあり2アシストを記録している。

客観的に見ても4大リーグの中ではドイツ・ブンデスリーガが日本人選手にとって合っているのはあながち間違いではなさそうだ。

【DMF,DF限定】1試合平均の稼働率

ゴールとアシストでインパクトを残せるのは、FWやMFに限られることもあり不公平感はある。
そこで守備の選手については出場時間がチームからの信頼度に値すると考えてランキングを作ってみた。近年ではデュエルの勝利数といった新たな評価項目も出来てきているのでディフェンスの選手に対して正当な評価が出来るようになるだろう。

2021-2022シーズン中間分析の調査対象においてFOOTBALL NOTE式・分析定義に該当する選手でインサイドハーフ、ボランチ、センターバック、サイドバックでプレーする選手。試合消化数が各リーグで異なるので「出場時間÷(試合数×90)/100」の計算式を使って稼働率を算出した。

選手名 所属先(国名) 出場数(先発) 出場時間 稼働率
1位 遠藤航 シュトゥットガルト(ドイツ) 17(17) 1,512分 98%
2位 冨安健洋 アーセナル(イングランド) 15(15) 1,295分 96%
3位 吉田麻也 サンプドリア(イタリア) 17(15) 1,438分 94%
4位 伊藤洋輝 シュトゥットガルト(ドイツ) 13(11) 806分 68.9%
5位 原口元気 ウニオン・ベルリン(ドイツ) 17(12) 1,046分 68.4%

選手が出場した試合数を元にどれだけの時間をピッチで起用されているか。起用されるということは監督に使いたいと思わせる選手だということの証明になる。それが90%を超えるのは、チームの主力であり代えの効かない選手として認められていることで間違いない。

サプライズはシュトゥットガルトの伊藤洋輝選手だ。
本来ならリザーブチームでプレーする予定だったが、プレシーズンからチャンスを掴み、リーグ開幕戦でトップチームのベンチ入りメンバーに名を連ねた。そこから徐々に出番を増やしていき、結果を残してきたことで市場価格が跳ね上がってきている。

ヨーロッパ4大リーグ以外(1部)

4大リーグ以外で日本人選手がプレーしている国となると、フランス、オランダ、ポルトガル、ベルギー、オーストリア、ロシア、スイス、スコットランドが挙げられる。

ゴールランキングトップ3

選手名 所属先(国名) ポジション ゴール数
1位 古橋亨梧 セルティック(スコットランド) FW 8
2位 三笘薫 ユニオン(ベルギー) MF 5
3位 3名 4

※3位タイ:4ゴール
森岡亮太(シャルルロワ/ベルギー/MF)
伊東純也(ゲンク/ベルギー/MF)
川辺駿(グラスホッパーズ/スイス/MF)

海外組日本人選手では古橋選手が圧倒している。
スコットランドリーグのレベルというより、裏に抜け出してから仕留める形が海外でも通用することでより自信を持ってプレーしている結果に結びついているのではないだろうか。

本職より1つ後ろの左ウィングバックでの起用ながら、ここまで5ゴールの三笘選手も忘れてはならない。守備のタスクに追われる場面もあるが、得意のドリブルはベルギーリーグでも確実に通用している。

惜しくも3ゴールでランキング入りを逃した堂安律(PSV/オランダ)と原大智(シントトロイデン/ベルギー)が後半戦で巻き返してくるか期待したい。

アシストランキングトップ3

選手名 所属先(国名) ポジション アシスト数
1位 伊東純也 ゲンク(ベルギー) MF 7
2位 森岡亮太 シャルルロワ(ベルギー) MF 6
3位 4名 2

※3位タイ:2アシスト
中山雄太(ズウォレ/オランダ/DF)
菅原由勢(AZ/オランダ/DF)
三笘薫(ユニオン/ベルギー/MF)
川辺駿(グラスホッパーズ/スイス/MF)

アシスト数は伊東選手と森岡選手が頭1つ抜け出している。
昨シーズンもそうだったがベルギーリーグでも比較的計算できる選手と認識されいると思う。さらに両選手はここまで4ゴールでゴールランキングでも3位タイと、年間で2桁ゴール・2桁アシストも射程圏内に捉えている。

【DMF,DF限定】1試合平均の稼働率

調査対象となる選手は先程と同じようにインサイドハーフ、ボランチ、センターバック、サイドバックでプレーする選手で、リーグ戦で途中出場を含む10試合以上に出場した選手に限る。

選手名 所属先(国名) 出場数(先発) 出場時間 稼働率
1位 中山雄太 ズウォレ(オランダ) 14(14) 1,248分 99%
2位 守田英正 サンタクララ(ポルトガル) 12(12) 1,064分 98.5%
3位 菅原由勢 AZ(オランダ) 18(14) 1,316分 81.2%
4位 川辺駿 グラスホッパーズ(スイス) 16(14) 1,162分 80.7%
5位 橋岡大樹 シントトロイデン(ベルギー) 18(16) 1,301分 80.3%

4大リーグ以外だとチームでの稼働率が90%を下回ると、日本代表招集は現状では難しいということだろう。タレントが豊富な2列目よりも、ディフェンス陣の方が4大リーグでも安定して出場時間を得る選手が増え、盤石の体制が整っている証拠でもある。

次点は鈴木冬一(ローザンヌ/スイス)は、13試合に出場し、出場時間は885分、稼働率は75%。シーズン開幕時はスタメン起用が多かったが、徐々に出場機会を減らし途中出場やベンチを温める試合が続いている。

ヨーロッパ2部リーグ

スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、オーストリア、スイスの2部リーグで日本人選手が奮闘している。2部リーグとはいえ、ヨーロッパでは軽視するわけにはいかない。
結果を出せば1部リーグへの移籍も可能だし、スペイン、ドイツなら来季1部昇格を掴めば、4大リーグに満を持して挑戦することができる。

ゴールランキングトップ3

選手名 所属先(国名) ポジション ゴール数
1位 オナイウ阿道 トゥールーズ(フランス) FW 5
2位 斉藤光毅 ロンメル(ベルギー) FW 3
3位 3名 2

※3位タイ:2ゴール
柴崎岳(レガネス/スペイン/MF)
板倉滉(シャルケ/ドイツ/DF)
ハーフナー・ニッキ(トゥーン/オーストリア/DF)

オナイウ選手が5ゴールでランキングトップだが、好調な時にまとめてゴールを奪えたことが要因だ。直近のリーグ戦ではゴールを奪えていないが、今シーズンのリーグ戦だけで2桁得点を達成すればFWとしての評価は1ランク上がるはずだ。

2位の斉藤選手はパリ五輪で活躍が期待されるストライカーの1人だ。昨シーズンはシーズン途中からロンメルに加入したもののノーゴールに終わっているが、今シーズンはここまで3ゴールと徐々に結果を出してきている。

アシストランキングトップ3

選手名 所属先(国名) ポジション アシスト数
1位 室屋成 ハノーファー(ドイツ) DF 2
2位 田中碧 デュッセルドルフ(ドイツ) MF 1
2位 斉藤光毅 ロンメル(ベルギー) FW 1

最近の日本代表では酒井宏樹(浦和レッズ)の影に隠れてしまっている印象を受ける室屋選手だが、チームでは右サイドバックとしてここまで2アシストを記録している。
山根視来(川崎フロンターレ)の台頭もあり、代表の右サイドバックのポジションを奪うためにはチームで結果を出し続けるしかない。

1アシストを記録している田中選手だが、前評判通りのプレーは出来ていないのではないかと思う。海外移籍1年目なのでまずはドイツリーグに慣れる必要もあるが、後半戦の巻き返しがないと厳しい立場に立たされるかもしれない。

【DMF,DF限定】1試合平均の稼働率

調査対象となる選手は先程と同じようにインサイドハーフ、ボランチ、センターバック、サイドバックでプレーする選手で、リーグ戦で途中出場を含む10試合以上に出場した選手に限る。

選手名 所属先(国名) 出場数(先発) 出場時間 稼働率
1位 植田直通 ニーム(フランス) 17(17) 1,525分 99%
2位 柴崎岳 レガネス(スペイン) 17(17) 1,460分 95.42%
3位 板倉滉 シャルケ(ドイツ) 15(14) 1,288分 95.40%
4位 室屋成 ハノーファー(ドイツ) 15(13) 1,192分 88%
5位 田中碧 デュッセルドルフ(ドイツ) 13(10) 862分 73%

日本代表ではどうしても吉田選手と冨安選手のセンターバックコンビの影に隠れてしまいがちになるが、植田選手もチームではコンスタントにプレー機会は与えらている。同様のことが板倉選手にも言えるのだが、バックアップを含めてこの先5年は日本のセンターバックは鉄壁を維持できそうだ。

アシストランキングのところで田中選手について物足りないといった理由は稼働率の低さだ。途中交代やベンチを温める理由が戦術的なものなのか、選手のコンディションなのかは定かではない。

次点のハーフナー・ニッキ(トゥーン/スイス) は、16試合に出場し、出場時間は1,038分、稼働率は72%とそこまで悪くない印象を受ける。ディフェンダーながらシーズン前半戦で2得点を決めているのは吉田選手だけなので今後に期待したい選手でもある。

【FOOTBALL NOTE式・分析レポート】

試合ごとのトラッキングデータ(走行距離やスプリント回数)デュエル、空中戦での勝率といった各選手のデータは現時点では収集不可能のため、ファン、サポーターの皆さんと同じように毎試合チェックしていれば入手できる数値データを使って分析レポートを作成した。

ランキングからの見解

今回この検証を行った理由は、サッカー日本代表が海外組の常連メンバーで構成されつつある現状に一石を投じたいと考えたからだ。

検証した結果から私の見解を述べるなら、

FWは、オナイウ阿道と古橋亨梧の2トップを軸にする。
MFは、奥川雅也、森岡亮太の招集を検討する段階ではない。
DFは、伊藤洋輝が初招集となっても驚きはない。

それでも日本代表の基本フォーメーションの4-2-3-1に当てはめると起用するポジションが難しいことがわかる。
例えば1トップだと古橋選手が1番手で問題ないが、現在の代表チームの1トップにはポストプレーが求められているため、古橋選手のプレースタイルとは異なる。
一方、オナイウ選手はフィジカルを活かせば出来ないことはないと考えられるが、お膳立てをするタイプではなく自らゴールに向かっていくスタイルなので2列目との連動性で不透明な部分が多い。

そうなると4-3-3の方が、今季海外で結果を出している選手を迷うことなく起用できるのでアジアレベルなら相手を問わず4-3-3に固定してみるのも1つの手段だ。またウルトラCとして3バック導入を本気で考えてみても良いだろう。

選手選考のジレンマ

有力選手が順当にランクインした一方で、ランキングから漏れた選手の原因もはっきりしている。

怪我で離脱した期間が4週間以上ある久保建英と堂安律は、もし離脱期間がなければゴールとアシスト数を伸ばせたかは定かではないが出場機会は与えられたはずだ。

南野拓実、鎌田大地も原因はわかっている。
南野選手はリーグ戦では出番に恵まれていないが、リーグ杯では4ゴール1アシストと結果を残している。
鎌田選手はリーグ戦では16試合に出場しているものの1ゴール1アシストと満足できる結果が出ていない。しかしヨーロッパリーグではグループリーグで3得点と結果を出しておりチームを決勝トーナメント進出に導いている。

これまで日本代表の中心としてプレーしてきた選手に限っていえば、リーグ戦で結果が出ていなくてもカップ戦など公式戦全体を通して総合的な判断が求められるだろう。
一方で日本代表が海外組の常連メンバーで固定されている弊害も少なからず表面化している。それは2022カタールW杯アジア最終予選の試合を見れば一目瞭然だ。

またクラブチームでは結果を出しているのに、最近の代表では機能していない柴崎選手も選考ジレンマの1つと考える。
代表の戦術よりクラブの戦術の方が合っているとしか思えないが、代表の中盤を長らく牽引してきた選手だけに現場レベルでの原因究明と対応が求められている。

あとがき

日本代表がほぼ海外組だけのになっているが、海外組でも常に試合に出ている選手を招集するのがベストだと考える。
2022カタールW杯アジア最終予選、次戦は2022年1月27にホームで中国代表と対戦することになっているので、ここに挙げたランキング上位の選手はプレー可能な状態なら招集してほしいと同時に納得できるメンバー選考をお願いしたい。

ウィンターブレイク中の各国リーグも2022年1月上旬から徐々に再開される予定となっている。
海外で活躍する日本人選手の情報はijaw(アイジャウ)にて随時更新していきます。

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FOOTBALL NOTE編集長。1983年6月13日生まれ。岡山県出身。フットボールをテーマにした読者の知的好奇心を刺激するコンテンツ作りに着手し「FOOTBALL NOTE」を立ち上げる。コンセプトは「世界のフットボール情報がここにある」※お問い合わせはコチラからどうぞ