駆け込みで大型移籍が成立したわけでもビッグネームが動いたわけではなく例年と比較すると静かな移籍市場だったと思う。
日本人選手の移籍はベルギーとスコットランドにまとまってしまった印象を受ける。移籍した国のリーグが良い悪いではなく、移籍先のクラブでどこまで活躍出来るかが選手としての今後を左右すると考える。
欧州でプレーして結果を残せば4大リーグからのクラブからオファーが来る可能性は日本でプレーするよりも格段に上がるが、ここのところ日本人選手の評価は年々下がってきているのではないだろうか。
目次
4大リーグでの評価は低い
残念なことに今回の移籍市場で日本人選手がステップアップ移籍をすることは無かった。飛ばし記事も出なかったことは、4大リーグにおいてそれだけ日本人選手の評価が低いことを意味する。
4大リーグといっても、UEFAチャンピオンズリーグで過去に優勝経験のあるクラブや、決勝トーナメント常連クラブへの道は果たしなく険しい。
イングランド・プレミアリーグの強豪リバプールには南野拓実(日本代表)が所属しているが、リーグ戦では出場機会が限定的のため放出される可能性があると記事に出ていたものの今シーズンは残留となったようだ。
サディオ・マネ(セネガル代表)、モハメド・サラー(エジプト代表)、ロベルト・フィルミーノ(ブラジル代表)、ディオゴ・ジョタ(ポルトガル代表)の牙城が崩せていない中、今回の冬の移籍市場でリバプールは、ポルトガル1部リーグのポルトから移籍金約58億円でFWのルイス・ディアス(コロンビア代表)選手を獲得した。
アフリカネーションズカップでサラー選手、マネ選手不在の中で行われたリーグ戦で怪我によるコンディション不良もあったとはいえ、これまでと起用法が変わらなかった経緯から今シーズンの残り試合でベンチに入れるかどうかより厳しい立場に立たされている。
一方で名門のアーセナルに所属する冨安健洋(日本代表)は今シーズンの夏にステップアップ移籍を果たし、右サイドバックのポジションでレギュラーを掴み現地での評価を上げている。冨安選手が良い前例を作ったので、この流れに乗る選手がもっと出てきてほしいものだ。
中長期的なクラブ戦略
今回の冬の移籍市場ではこれまでと異なった、クラブの中長期的な計画の一部を垣間見ることが出来た。
日本人選手を例にするなら川辺駿(グラスホッパーズ/スイス)の契約だろう。スイス1部のグラスホッパーズからイングランド1部のウルヴァーハンプトンに完全移籍した。
今回の移籍はクラブオーナーが共通していることが大きい。ウルヴァーハンプトンのオーナーは中国企業のFuson Groupでグラスホッパーズのオーナーは香港企業のChampion Union HK Holdings Limitedと異なるが両者はグループ会社の関係にある。
クラブオーナーが同グループ会社だったこともあるが、それでもグラスホッパーズに移籍してわずか半年でステップアップ移籍を実現させたのは川辺選手が所属クラブで結果を出したことが評価の全てだ。
ちなみに2021-2022シーズンはグラスホッパーズでプレーすることになる。ウルヴァーハンプトンからグラスホッパーズへレンタルという形で落ち着いた。
選手名 | 所属先 | 移籍先 | 推定移籍金 | 契約満了日 |
川辺駿 | グラスホッパーズ | ウルヴァーハンプトン | 50万ポンド(約7,800万円) | 2025年6月30日 |
類似の前例としては、三笘薫(ユニオン/ベルギー)が上げられる。イングランド1部のブライトンに完全移籍したがベルギー1部のユニオン・サン=ジロワーズへレンタルに出されているが、ブライトンとユニオンのオーナーはトニー・ブルーム氏でありクラブとして中長期的なプランが伺える。
日本人選手がイングランド・プレミアリーグでプレーするためには労働許可証の問題をクリアしなければならない。取得条件がポイント制になったことで従来のルールよりは柔軟になったが、2022-2023シーズンには、イングランド・プレミアリーグで4人の日本人選手がプレーすることはあるのだろうか。
海外組のJリーグ復帰
1番驚いたのが鈴木優磨選手の鹿島アントラーズ復帰だった。
ベルギー1部のシント・トロイデンで、2020-2021シーズンに34試合に出場し17ゴール3アシストと結果を残し、ステップアップ移籍も見えていたのだが実現せず残留したことで歯車が狂ってしまった印象を受ける。
2021-2022シーズンの開幕こそ移籍問題もあってベンチにすら入れない試合もあったが、徐々に出番を与えられるようになりシーズン前半戦は11試合に出場し2ゴールとコンディションを上げているように思えた。
だが今冬に移籍金推定2億円で古巣鹿島アントラーズへ復帰となった。FWの選手は特にモチベーションを下げるとゴールが取れなくなってしまうので、日本で一度リセットするのも良いかもしれない。
今冬の移籍でスコットランド1部のセルティックに期限付き移籍した前田大然選手も2019-2020シーズンにポルトガル1部のマリティモでプレーしていたが、国内に復帰し横浜F・マリノスで2021シーズンには36試合に出場し23ゴールと結果を残したことで再び海外へ挑戦する道が開けた。
鈴木選手もJリーグで結果を出して希望する海外リーグへ移籍が叶う可能性も残されているので、海外帰りの日本人選手に注目してJリーグを楽しむのも良いかもしれない。
選手名 | 所属先 | 移籍先or入団先 | 備考 |
権田修一 | ポルティモネンセ | 清水エスパルス | 完全移籍へ移行 |
鈴木優磨 | シント・トロイデン | 鹿島アントラーズ | 完全移籍 |
齋藤未月 | ルビン・カザン | 湘南ベルマーレ | ガンバ大阪へレンタル |
若月大和 | シオン | 湘南ベルマーレ | レンタル満了 |
日本人選手移籍動向一覧
【欧州リーグ】
(オランダ)
選手名 | 所属先 | 移籍先 | 推定移籍金(円) | 契約満了日 | 備考 |
前田直輝 | 名古屋グランパス | ユトレヒト | 非公開 | 2022年6月30日 | レンタル.買取OP付き |
(ポルトガル)
選手名 | 所属先 | 移籍先 | 推定移籍金(円) | 契約満了日 | 備考 |
田川亨介 | FC東京 | サンタ・クララ | 非公開 | 2023年6月30日 | レンタル |
(ベルギー)
選手名 | 所属先 | 移籍先 | 推定移籍金(円) | 契約満了日 | 備考 |
橋岡大樹 | 浦和レッズ | シント・トロイデン | 約2,000万円 | 2023年6月30日 | 買取OP行使.完全移籍移行 |
香川真司 | PAOK | シント・トロイデン | 0円 | 2023年6月30日 | フリー移籍 |
渡辺剛 | FC東京 | コルトレイク | 非公開 | 2025年6月30日 | 完全移籍 |
町田浩樹 | 鹿島アントラーズ | ユニオン | 非公開 | 2023年6月30日 | レンタル |
坂元達裕 | セレッソ大阪 | オーステンデ | 非公開 | 2022年6月30日 | レンタル.買取OP付き |
(スイス)
選手名 | 所属先 | 移籍先 | 推定移籍金(円) | 契約満了日 | 備考 |
瀬古歩夢 | セレッソ大阪 | グラスホッパーズ | 非公開 | 2025年6月30日 | 完全移籍 |
(スコットランド)
選手名 | 所属先 | 移籍先 | 推定移籍金(円) | 契約満了日 | 備考 |
前田大然 | 横浜F・マリノス | セルティック | 170万ポンド(約2億5,500万円) | 2022年6月30日 | レンタル.買取OP付き |
旗手怜央 | 川崎フロンターレ | セルティック | 100万ポンド(約1億5,000万円) | 2026年6月30日 | 完全移籍 |
井手口陽介 | ガンバ大阪 | セルティック | 85万ポンド(約1億2,750万円) | 2026年6月30日 | 完全移籍 |
あとがき
近年ではベルギーとスコットランドに日本人選手が集まる傾向にあるようだ。しかしそこから4大リーグへステップアップ移籍した選手は数えれるくらいしかいない。ヨーロッパと日本の差は広がっていると考えるのが現実的だ。
Jリーグからいきなり4大リーグへ移籍した選手も年々少なくなっているが、ビッグクラブへ移籍してもレンタルで出されるくらいなら行かない選択肢があっても良い。
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