EU圏外のフットボールプレイヤー・英国労働許可証の壁

 2017年12月29日、ガンバ大阪の井手口選手のイングランド2部リーグ、リーズ・ユナイテッドへの完全移籍が決まった。しかし労働許可証が発行されず、加入後すぐにスペイン2部リーグのレオネサへレンタル移籍となった。レンタル期限は2018年6月までとなっている。

 これまでも日本人選手が英国リーグ(イングランド・スコットランド・ウェールズ、北アイルランド)に挑戦する際には必ず英国労働許可証(ワークパーミット)の問題が大きな壁となって立ちはだかっている。

英国労働許可証の基準について

EU圏外の選手がイングランドでプレーするために必要な労働許可証は、まず第一に代表チームのFIFAランキングに応じて変更される。その発行条件は以下の通りだ。

・1~10位:過去2年の国際Aマッチ公式戦で30%以上の出場
・11~20位:過去2年の国際Aマッチ公式戦で45%以上の出場
・21~30位:過去2年の国際Aマッチ公式戦で60%以上の出場
・30~50位:過去2年の国際Aマッチ公式戦で75%以上の出場

※21歳未満の場合は、対象期間が過去12か月に短縮される。対象期間においてのAマッチで公式戦の割合が30%未満であった場合、親善試合を計算に含める。

[参照サイト]サッカーダイジェストWeb
http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=33801
引用元:サッカーダイジェストwebより引用

 とある。今回はこの基準に該当しなかったため労働許可証が発行されず出場機会を求め、スペイン2部のレオネサへのレンタル移籍となった。ただし、英国のEU離脱問題もあり今後どうなるかは不透明。

労働許可証が発行されなければレンタル移籍。特例での発行もある?

【特例で発行された例;宮市亮選手】

 高校在学中の2010年12月にアーセナルと5年契約を結んだ。しかし、この時は英国労働許可証の基準を満たしていなかったので、2011年1月にオランダ1部のフェイエノールトにレンタル移籍が決まった。2011-12シーズン開幕前の8月9日、英国の労働許可書が特例で発行されたことでアーセナルでプレーすることが可能となった。特例で発行された理由として「たぐいまれとなる若手選手」に該当したことが挙げられているが定かではない。

【発行されなかった例;浅野拓磨選手】

 浅野選手は2016年7月にアーセナルへ完全移籍と発表されたが労働許可書が発行されず、当時ドイツ2部リーグだったシュツットガルトにレンタル移籍した。今季1部リーグに昇格したシュツットガルトで2年目のシーズンを送っている。

あとがき

 この記事を書きながら、自分自身も「英国労働許可証の基準について」学ぶことができた。
今後、現行の制度が続いた場合、日本人選手が英国リーグに移籍した時に労働許可証が発行されやすくなるためには、下記2つの条件が必須となるだろう。

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1、A代表がFIFAランキングで上位[10位以内]に入ること(※2018年1月最新のランキングでは56位)
⇒現行の算出方法になってからの日本代表のFIFAランキング最高は19位(※2011年12月)

2、選手が代表戦に毎回招集され出場すること。(※親善試合含む)

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 日本代表チームとしても強くならないといけないし、選手個人の力もつけないと英国リーグでの挑戦は難しい。2018年1月現在、英国リーグのクラブに所属しているのがレスターの岡崎慎司選手、サウサンプトンの吉田麻也選手の2名だけ。1番レベルの高いイングランド・プレミアリーグでプレーする難しさを、労働許可証の壁という観点から考えさせられた。

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