2018:海外組が増える一方で感じる懸念事項(1)

 海外で活躍する日本人選手が増えている。
 サッカーに関しては特に2018年になってから一気に増えたように感じている。

 ロシアW杯でベスト16という結果を出しただけではない。
 どちらかいえばW杯での成績は、2018年夏の移籍市場にはあまり関係が無かったように思う。

 日本代表のスターティングイレブンを見た時、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では、昌司選手を除く10人の選手がヨーロッパのクラブチームでプレーしていた。というのは事実だ。

 では、増えた要因は何なのか?というと若手選手が積極的に海外リーグに挑戦しているのが1番だろう。Jリーグでの個人タイトルを獲得する前にどんどん海を渡っているのが現状だ。

 若いうちからどんどんチャレンジするのは良いことで、選手である以上目指す場所が日本代表なら海外移籍して結果を出せば、日本代表に招集される確率はJリーグよりは高いというのも納得せざるを得ない。

 しかし、私が今思っている懸念事項は「移籍先となる海外クラブチーム」についてだ。
 4大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア)の1部リーグに所属する日本人選手が年々減ってきている状況に危機感を抱いている。

4大リーグに所属する日本人選手

【イングランド】
・岡崎慎司 / レスター
・吉田麻也 / サウサンプトン
・武藤嘉紀 / ニューカッスル

【スペイン】
・乾貴士 / べティス
・柴崎岳 / ヘタフェ

【ドイツ】
・長谷部誠  / フランクフルト
・香川真司  / ドルトムント
・大迫勇也  / ブレーメン
・原口元気  / ハノーファー
・浅野拓磨  / ハノーファー
・宇佐美貴史 / デュッセルドルフ
・久保裕也  / ニュルンベルク

【イタリア】
なし

※2018年9月20日現在。12選手。

【フランス】
・酒井宏樹 / マルセイユ
・川島永嗣 / ストラスブルク

 仮に4大リーグに匹敵するフランスリーグを追加しても14選手。
 一時期はマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、インテル、ACミラン、ローマ…とビッククラブに所属している選手もいたが、現在では極端に少なくなってしまったのは悲しいものだ。

日本人選手が増えたベルギーリーグ

[2018-2019シーズン、ベルギーリーグ所属の日本人選手] ・森岡亮太 / アンデルレヒト
・遠藤航  / シント・トロイデン
・鎌田大地 / シント・トロイデン
・関根貴大 / シント・トロイデン
・冨安健洋 / シント・トロイデン
・小池裕太 / シント・トロイデン
・豊川雄太 / オイペン
・植田直通 / セルクル・ブルージュ

 今夏の移籍市場では、ベルギーのクラブチームに多くの日本人選手が移籍していった。
 ベルギーリーグが4大リーグへのステップアップの場ということなのだろうか?

 確かにベルギーリーグから4大リーグにステップアップとなった実績はある。
 2017-18シーズン、オイペンに所属していたセネガル代表のムサ・ワゲ選手が、ロシアW杯での活躍が目に留まり、スペイン1部の強豪バルセロナに移籍が決まったので、ステップアップとしてはこれ以上申し分のない良い移籍だ。

 ちなみにだがムサ・ワゲ選手はロシアW杯での日本戦で1対1と同点の後半26分に一時勝ち越しとなるゴールを決められた選手である。

 日本人選手だと久保裕也選手が該当する。
 スイス1部リーグのヤングボーイズから海外生活がスタートし、ベルギー1部のヘントに移籍。今夏の移籍市場でドイツ1部リーグのニュルンベルクへレンタル移籍で加入した。
 ニュルンベルクでここまで出番は与えられているので良い移籍だったと現状ではいえるだろう。

 ステップアップを考えるなら10代後半の選手や、20代前半の選手が積極的に挑戦するなら良い。
 ただし、出場機会が得られずくすぶってしまったら日本代表への道も閉ざされてしまうだろう。

 安易に海外移籍が良いとはいえない時代となったようにも感じている。
 そして「日本人選手が所属している海外クラブチームが、近年そこまで良い成績を残していない」という不安材料も存在する。

 結果として、UEFA主催のヨーロッパ最高峰の大会(CL,EL)に参加している日本人選手も少なくなっているの現状をおわかりいただけるだろうか。

 2018:海外組が増える一方で感じる懸念事項(2)に続く。

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