フランス リーグ・アン/トゥールーズ対マルセイユ現地観戦記②日本人対決レポート

 トゥールーズの昌司選手、マルセイユの酒井選手揃って先発出場となり、日本人対決となった試合をトゥールーズFCの本拠地「スタジアム・ミュニシバル・ドゥ・トゥールーズ」にて観戦してきました。

 昌子選手はセンターバック、酒井選手はサイドバックということもあり、マッチアップというわけではありませんが、ヨーロッパ主要リーグの1つ、フランスリーグで日本人対決が実現したのは感慨深いものです。

 試合は、2対5でアウェーのマルセイユが大勝しました。
 私は、バックスタンド側のゴール付近で観ていましたが、酒井選手のゴールとアシスト、マルセイユの4点目に繋がるエンジ選手と昌司選手のマッチアップなどを目の前で見ることができました。

 日本人対決ということでどちらを応援したら良いのか悩ましい複雑な内容でしたが、両チーム合わせて7ゴール生まれる試合を間近に見れたので、トゥールーズまで足を運んで良かったです。

スタンドレポート

 トゥールーズは、点が入れば勢いで乗っていけるが、1度ほころびが見え始めるとなかなか粘れないチームという印象を受けた。

 1部リーグ残留が目標のチームではあるが、前線の3選手、7番のグラデル選手、10番のレヤ・イセカ選手、14番のドセヴィ選手は、マルセイユ守備陣を相手にも個で仕掛けていき、結果として2ゴールは奪っている。21番のドゥルマズ選手も攻撃に絡みだすと、もっと得点力は上がると見ている。

 先制点を奪った後は、勢いもあったのでさらに追加点が狙える時間帯はあった。
 ポストに阻まれたりと不運だったかもしれないが、決めきれないのは攻撃陣の課題。

 対マルセイユ戦は5失点だったので、守備陣に批判の矛先は向くだろうが、私は、最終ラインより中盤に問題があると見ている。

 トゥールーズの守備機会になると、どうしても1番に昌子選手を注目する。
 この試合は4-2-3-1のセンターバックの1角で先発フル出場した昌子選手だったが、守備はセンターバックだけで全て跳ね返すことは難しいという教示のような内容だった。

 もう1人のセンターバックは、ディフェンスリーダーでもある6番のジュリアン選手。
 マルセイユのカウンターを昌子選手と2人で必死に守るのが印象的だった。センターバックは固定できているので、あとは組織でどれだけ守れるかが課題だと感じる。

 終盤にカウンターからダメ押しゴールを立て続けに決められたが、センターバックにだけ責任を取らせるのは酷な展開。
 せめて守備的MFが1人、戻って3対2と数的優位を作れないと、守りきることは難しい。

 マルセイユのトバン選手、エンジ選手のカウンターが速かったのもあるが、それなら両サイドバックがもっと気を利かせる必要もある。
 トゥールーズの両サイドバックが守備で機能していないのは、ダメ押しとなった5点目を奪われたシーンを見れば一目瞭然だった。

 一方、マルセイユは、選手のメンツが揃っているのになぜ?ってサッカーをしてた。
 トゥールーズの守備陣を考えれば、もっと試合全体を支配するかな。というイメージを持っていたから。

 しかし試合が始まってみると、チーム全体がチグハグした印象を受けた。
 ドリブルやワンタッチで相手を交わせる技術は高く、トゥールーズ守備陣を翻弄しているのにゴールにつながらない…。まさに今シーズンのマルセイユを象徴しているシーンに思えた。

 それでも自力ではマルセイユの方が上だった。
 前半26分に先制されるも、その3分後にサンソン選手のビューティフルゴールですぐさま同点に追いつき、流れをトゥールーズに渡さなかった。

 このゴールは座っている席から遠い側のゴールのため、肉眼でははっきりと見えなかったので、後で映像を確認しましたが、リフレクションがありながらもダイレクトボレーできっちり合わせるのは技術の高さを表している。

 後半5分に酒井選手の左足での勝ち越しゴール、さらに2対2と同点になってからのエンジ選手の勝ち越しゴールをアシストするあたり、試合前のウォーミングアップから集中した表情で何かやってくれそうな気配は漂わせていた。

 ハマれば攻撃の破壊力はあるマルセイユは、パリサンジェルマンに次ぐ攻撃力はあるチームだと思っている。
 この試合ではメンバー外だったバロテッリ選手がワントップに控えているとなると、フランスリーグの上位チームのレベルの高さは、際立っているのかもしれない。

 ただ、中盤での球際をもっと厳しくいく必要はあるかな。と感じた。
 特にデュエルの部分では、物足りなさもあった。

 パス回しで翻弄している場面もあったが、グスタボ選手のところでボールを奪われてショートカウンターを何度もくらう場面もあった。

 格上チームと対戦する時に、中盤の底とディフェンスラインの間でボールを奪うとチャンスになるということを、この試合で学びながら、日本人対決をどっちを応援すれば悩みながらのスタンド観戦となった。

昌子選手について

 昌子選手にとって、自分より大きくて速いFWを相手に来シーズンどう対処するのか。
 Jリーグにはいないタイプのアタッカーをどのように止めるのか、来シーズンのプレーにも注視したい。

 1つ気になったのは、コーナーキックの時はカウンターに備えてセンターサークル付近に陣取るだけになっていたこと。
 セットプレーからのカウンターを防ぐためのポジション取りとしては完璧なのだが、この試合で酒井選手が高い位置まで上がってゴールを決めたこともあり、ディフェンダーといえどもヨーロッパでは得点力も必要とされるのではないかと思った。

 セットプレーの場面で昌子選手は身長が高い方ではないのでボールを入れるターゲットにはならないかもしれない。
 しかし、ゴールまで約30メートルの位置からこぼれ球をミドルシュートで狙うことが出来たなら、プレーヤーとしての伸び代は計り知れない。と勝手に思っている。

酒井選手について

 酒井選手は1ゴール1アシストの大活躍!
 ゴール、アシスト共に席の近くだったので肉眼ではっきりと見ました!

 日本代表戦でも攻撃参加の時にペナルティエリア内まで侵入するプレーが増えてきているな、と漠然には思っていた。
 まさか自分が観に行った試合、それも昌子選手との日本人対決となった試合で、利き足ではない左足でのゴールを観れるとは全く想像していなかった。それだけサイドバックの選手のゴールは珍しい。

 守備での安定感も増してきている。
 トゥールーズのグラデル選手と自陣のペナルティエリア内でフィジカルコンタクトがあった場面で、その衝撃の瞬間、接触プレーの音が座っている席まで届いてきたのだ。スタジアム内の波動がそうさせたのかもしれない。
 ちなみにこのプレー、酒井選手は体勢を崩されることなく、デュエルでも負けていなかった。

 あと、跳躍力が以前より増しているというか、空中戦でも負けていなかったように見えた。飛ぶタイミングをズラして「競り合わず勝つ」意識でプレーしているのかもしれない。

サポーターについて

 トゥールーズサポーターは、どこにでもいる普通のフットボールサポーターという感じ。
 ただ、スコアが2対4になってから帰り出したトゥールーズサポーターがたくさんいたけど、サポーターとしてのブライドは「1部リーグ」を感じさせた。

 マルセイユサポーターは、アウェーの試合なのにまるでホームのような空気感を作りだしていた。
 ホームサポーターとは数では勝てなくても、それ以外は圧倒していたので、どちらのチームのホームゲームかわからないような錯覚に陥った。
 この試合の時点で来期のCL、ELの出場権は逃していたが、古豪チームサポーターのあるべき姿を見た気がする。

【※現地観戦記①はコチラから↓】
 フランス リーグ・アン/トゥールーズ対マルセイユ現地観戦記①試合開始前