目次
2. 試合総評:編集長の視点。
試合開始2時間前ということもあり、まだスタジアムにはそこまで人が入っていなかった。
とりあえず自分の席を確認すると、前から2番目とピッチが目の前という好条件だったのだが、サイドラインのチケットだったのでシャルケサポーターの応援席も近くという場所だった。
シャルケのチャントの方がよく聞こえるくらいだ。ドルトムントのユニフォームを着ていると「Hey,Shinji」と声をかけられた。背中には「KAGAWA 23 DORTMUND」と入っていたのだから当然だろう。どう反応したよいかわからず「声をかけた人の目を一瞬見る」という行動しかできなかった。
それには理由がある。
直接行き来は出来ないが、ホーム側とアウェー側の席が近いところのスタンド内の通路の間にはすでに警備員がずらっと列を作っていた。揉め事を起こしたら試合が観れなくなる。というリスクを回避したかったのが1番の原因だ。ちなみに警備員はビデオを使って監視していた。問題を起こしたサポーターがいたら後で出入り禁止などの措置をするためなのかな…。
まだ時間もあるのでスタジアムの売店へ。早い時間だったので並んでないから余裕で買えると思ったが、プリペイドカードを購入しないとスタジアム内の飲食物は購入できない。ということだった。売店前にそプリペイドカード販売員らしき人がいたので、カードをもらって10ユーロ払ってチャージしてメンチカツパンとビールを購入した。ドイツ語表記しかなかったから読み方に焦った…。
軽食を終えたころ、選手が練習のためピッチに出てきた。スタメンはまだ発表されていませんでしたが、直前練習を見てると香川選手のスタメン出場を確信できた。というのもおそらこの試合のスタメンだろうと思う11人の中に入り同じようにアップしていて、ベンチ入りメンバーだろうと思う選手達がボール回しをしていたからだ。
開始1時間前には、スタジアムはあっという間にファン、サポーターで埋まっていた。
まだ開始前だというのにものすごい熱気に包まれていた。スタメン発表。予想通り香川選手のスタメン出場!ドイツまで来てよかった!!
いよいよ試合開始!!
今回はドルトムントのホームということで、ドルトムントのファン目線で試合を見ていました。しかし全体的な内容としてはシャルケの方が優勢だったと思います。守備的なフォーメーション「3-5-2」で、しっかり守ってカウンター。というチームコンセプトが選手に伝わっているように感じました。
[香川選手について]
取り上げるメディアによって評価が分かれるプレー内容だったと思います。
攻撃面では繋ぎの役割としてパスを供給していたし、中盤でボールを失うと守備にも奮闘。一方でバックパスが多い、シュートを打たない。など批判的な意見も出ると思います。「BVBの小さな魔法使い」と称させた香川選手のプレーとはかけ離れた内容だったとしても、右インサイドハーフのポジションなら及第点の内容だと私は判断します。ただ、前半にバイタルエリアで前を向いてボールを受けた時に、ボールが足につかなかったのはマイナス点ですね。あそこで持ち味が出せばゴールに近づいたかもしれない場面がありましたから。しかも私がいた席の前で観れた惜しいプレーだったためテンションMAXでした!!
[チーム全体として]
この試合のドルトムントのフォーメーションは「4-1-4-1」のようだった。
左サイドは完全に個人技での打開しか戦術がなかったようなイメージを持った。ドリブルで仕掛けてもボールを奪われる回数が多いからオーパメヤン選手にもパスが入らない。右サイドは香川選手を中心に、サイドハーフのプリシッチ選手、サイドバックのピシュチェク選手の3人で連携して仕掛けたり守ったりしていたので、このトライアングルは悪くはなかった。どちらかというと香川選手はバランスを重視していた感じには見えた。
スコアレスの試合展開の中、後半26分に1枚目の交代カードで、パスラック選手に変えてゲレイロ選手を投入。そのまま左サイドバックの位置に入る。もともとサイドバックの選手だったがドルトムントでは中盤で使われることが多かったので、これが本来のポジションということだろう。攻撃的なサイドバックを入れたことで「左から攻めろ」というメッセージだったと思う。後半34分には2枚目の交代カードで香川選手に変えてシュールレ選手を投入。この時「攻撃の起点は左サイドから」という強烈なメッセージを感じた。後半42分に最後の交代カードで、ローデ選手が投入される。香川選手が交代したことで、中盤でバランスを取れるのがバイグル選手だけになっていた。中盤の構成が変わったことでチームバランスが崩れてしまう予感もあったが、まさにそこのポイントをシャルケに突かれ危ない場面が増えたこともあり、ローデ選手を投入して中盤のバランスを修正を行ったのかもしれない。この試合はシャルケの方がドルトムントよりチームとしての完成度が高く、カウンターでやられるリスクも想定したからこのような試合展開になったのかなと思う。
[試合が終わって振り返る]
試合はスコアレスの引き分けに終わったので、ゴールした時のスタジアムの熱狂度を伝えることが出来なかった。その点だけは悔いが残る。ハーフタイムだった。シャルケサポーターがこっちを煽っている。ドイツ語なので何を言っているのかははっきりわからないが、ジェスチャーだけで良い言葉ではないことがわかる。ホーム側に座っている人は挑発に乗らない、相手にしない方がほとんどだったのだが、誰かが煽り返したのかな?目の前をビールの入ったコップが飛んできた。幸いに私にはかからなかったがコップが頭にぶつかった人を見てしまったので、後半が始まる前から戦いは始まっているのか…なんて思ってた。
後半はさらにヒートアップしていた。サポーター同士もやりあっている。2階席の方だった。中身が入ったままの飲み物のコップが宙を舞っている。発煙筒が焚かれることはなかったが、0対0とスコアレスの試合で得点が生まれそうな瞬間になると興奮度が一気に加速していくのを肌で感じていた。気温10度を切る環境の中、アウターで着ていたジャケットを脱ぎ、ユニフォームの下に長袖のアンダーウェアだけ着て応援していても寒さを感じないくらい熱くなっていたのだと思う。日本では味わえない奮起を本場ドイツで、それも「レヴィアダービー」で経験出来たことは間違いなく私の財産です。
※前回の記事(現地観戦記1)はコチラからどうぞ↓
ドイツ・ブンデスリーガ/ルールダービー現地観戦記①(2016年10月29日)
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