海外組日本人選手の評価:2020-2021シーズン冬の移籍市場

何があってもフットボールを止めない。という強い意志を感じる。
ヨーロッパではCOVID-19感染拡大を受けて予定されていた試合が延期になることはあるが、昨年のように中断することなく試合が開催されているのは嬉しい限りだ。

そして例年通り、冬の移籍市場が開き選手の移籍が活発に行われている。近年高騰していた移籍金が現在の社会情勢を踏まえて例年より落ち着いてきた印象を受けるが、これは良い傾向だと思う。

といっても日本人選手の移籍でそこまで高額な移籍金が発生することは稀だ。
2019-2020シーズン冬の移籍市場でザルツブルク(オーストリア1部)からリバプール(イングランド1部)に移籍した南野選手でさえ、移籍金は推定725万ポンド(約10億円)となっている。

ちなみに同時期にザルツブルクからドルトムント(ドイツ1部)へ移籍したハーランド選手は推定2,000万ユーロ(約25億円)の移籍金が発生している。

最近ではJリーグ2020シーズンMVPで元柏レイソルのオルンガ選手が移籍金700万ユーロ(約8億8,000万円)でアル・ドゥハイル(カタール1部)に完全移籍している。移籍金は選手を出すクラブにとっては大きな収入になり、選手にとっては市場価値に繋がる。

さて世界的に見ても日本人選手は安価で獲得出来るのだから、それに見合うプレーして結果を残せばクラブとしても御の字だろう。

良い見本がドイツ1部のシュトゥットガルトに所属する遠藤航選手だ。2019-2020シーズンにベルギーのシントトロイデンから推定150万ユーロ(約1億8,200万円)で完全移籍している。今季のここまでのパフォーマンスを見れば費用対効果は計り知れない。

このように少ない投資で獲得した日本人選手が良い結果をもたらすことが証明されれば、移籍市場であっという間に人気銘柄になることがある。今シーズンの冬の移籍市場での動向を見ながら日本人選手の評価を編集長の見解でまとめてみた。

DFの評価が上昇中

今シーズン、イタリア・セリエAでは、サンプドリアの吉田麻也選手、ボローニャの冨安選手がレギュラーとしてセンダーバックで安定したパフォーマンス見せている。

戦術によりサイドバックでプレーすることもあるが、カルチョの国で日本人選手がスタメンでプレー出来るようになったのだから、日本人ディフェンダーの評価が自然と高くなったのではないだろうかと推測する。

ちなみに吉田選手の今シーズンの年俸が推定150万ユーロ(約1億8,600万円)冨安選手はボローニャに移籍金推定1,000万ユーロ(約12億円)で加入し、今シーズンの年俸が推定60万ユーロ(約7,500万円)とされている。

冬の移籍市場で私が1番驚いたのは、植田直通選手のニーム(フランス1部)への期限付き移籍だ。セルクル・ブルージュ(ベルギー1部)に在籍していたが、今シーズンはリーグ戦で8試合出場と苦しんでいた。開幕当初はスタメン起用されることもあったが徐々に出番は限られていった。

リーグ戦ではベンチ外が続き、古巣の鹿島アントラーズ復帰が濃厚になるかなと予想していたが、まさか5大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)に移籍することになるとは想像もできなかった。

フランスリーグは植田選手のプレースタイルに合っていると思う。高さがあって対人プレーで負けない部分を見せることができれば、ある程度やれるのではないかと期待している。

鹿島時代の元同僚でセンターバックとしてコンビを組んでいた昌子源(現ガンバ大阪)選手が、トゥールーズ(当時フランス1部/現2部)でプレーしていたが、武器であるスピードとカバーリングで対応は出来ていたし、フィジカルもそこまで負けてはいなかった。

パリ・サンジェルマン、リヨン、マルセイユの攻撃陣を相手にどこまでやれるか今から楽しみだ。

MFは試練の中

日本でタレントを多く抱えるポジションといえば間違いなくMF。特に2列目は激戦区だが、日本の至宝である久保建英選手には自然と注目が集まる。

今シーズンは保有元のレアル・マドリード(スペイン1部)からビジャレアル(スペイン1部)へ期限付き移籍していた久保選手だったが、出場機会に恵まれずビジャレアルとの契約を解除しレアル・マドリードに復帰。そこからヘタフェ(スペイン1部)に期限付き移籍となった。

ヘタフェではビジャレアルよりかは出場機会を与えられそうな感じではいるが、ゴールまたはアシストの明確な結果を出さないと、今後市場価値が大きく下がる可能性も否定できない。

新たに海を渡った選手もいる。2020Jリーグ王者川崎フロンターレから守田英正選手がサンタ・クララ(ポルトガル1部)へ完全移籍した。川崎とは2020年シーズンで契約満了だったためゼロ円移籍となったが、移籍後初出場となった試合で決勝ゴールを決めてMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた。最初にインパクトを残せたので、次戦以降のパフォーマンスに注目が集まる。

一方、ポルト(ポルトガル1部)の中島翔哉選手が、アル・アイン(UAE1部)への今シーズン終了までの期限付き移籍が発表された。ポルトとの違約金が推定3,500万ユーロ(約44億円)とされているため、他のクラブが難色を示したことは想像しやすい。買取オプションが付いているが推定4,000万ユーロ(約50億円)とあるので中東クラブとはいえ買取は難しいのではないだろうか。

日本代表で10番を背負い、ポルトガルの強豪で更なる飛躍が期待されたが今シーズンは出場機会を失っていた。プレーで存在が示せない以上、市場価値は下がり契約時に設定された高額な移籍金がネックとなっている。所属先でポジションを確立し自身のプレーで評価を覆すしかない。

今回の移籍市場で大きな動きは見られなかったが、シャルルロワ(ベルギー1部)の森岡亮太選手、ゲンク(ベルギー1部)の伊東純也選手は5大リーグへの移籍があっても不思議ではなかった。森岡選手は今季ここまで24試合全てに先発出場し2ゴール6アシスト、伊東選手は今季ここまで23試合に出場し7ゴール8アシストと明確な結果を残している。

おそらくスカウトリストには入ってると思われるが、年齢がネックになっている可能性も否定できない。伊東選手は今年28歳になるので5大リーグへの移籍希望があるならラストチャンスだろう。また森岡選手が今年30歳になるので決断に悩む時期ではある。

FWは助っ人として期待外れ

5大リーグに関して言えば、エイバル(スペイン1部)の武藤嘉紀選手、ウエスカ(スペイン1部)の岡崎慎司選手、ブレーメン(ドイツ1部)の大迫勇也選手が、在籍しているが助っ人として活躍できているかと言われれば期待外れの烙印を押されても仕方ない。後半戦の巻き返しに期待しているが、求めらるものはゴールのみだ!

この影響もあり、冬の移籍市場で日本人FWをリストに入れていたクラブがほとんどいなかったように思う。大迫選手が古巣の鹿島アントラーズに移籍するのでは?という情報も流れたが飛ばし記事だったようだ。

5大リーグを除けば、シントトロイデン(ベルギー1部)の鈴木優磨選手とパルチザン(セルビア1部)の浅野琢磨選手が二桁得点を決めて好調をキープしている。冬の移籍市場では5大リーグへステップアップは難しい現状だが、来シーズン開幕前に動きがあるかもしれない。

GKは一進一退

今シーズンはストラスブール(フランス1部)の川島永嗣選手がポジションを確保し正GKとしてプレーしている。第3GKから守護神まで駆け上がったのは並大抵のことではない。

川島選手に続く選手として期待されるのが、柏レイソルからポルティモネンセ(ポルトガル1部)へ完全移籍した中村航輔選手だ。

ロシアW杯では代表メンバーに選出されるなど将来を期待されていたが、所属する柏レイソルでは、怪我で離脱することも多く韓国Kリーグ蔚山現代から完全移籍してきたキム・スンギュ選手にポジションを奪われてしまった。現在ポルティモネンセでは第2GKの位置付けのようだが、正GKを目指すために今回の移籍を良いきっかけにしてもらいたい。

ポルティモネンセといえば、権田修一選手も所属しているが、今シーズンは清水エスパルスへの期限付き移籍と発表されている。中村選手と権田選手が入れ替わっただけで終わらなければ良いが・・・。

若手の海外挑戦とベテラン復活へ

2019年にポーランドで開催されたFIFA U-20ワールドカップに日本代表として出場した、齋藤未月選手がルビン・カザン(ロシア1部)へ期限付き移籍、鈴木冬一選手がローザンヌ(スイス1部)へ完全移籍、斉藤光毅選手がロンメル(ベルギー2部)へ完全移籍となった。ここから5大リーグへステップアップ出来るかどうかは本人次第だ。

若手も積極的に海外挑戦する一方、ベテラン選手にも復活の兆しが見えてきた。
サラゴサ(スペイン2部)を退団し、無所属が続いていた香川真司選手がPAOK(ギリシャ1部)に入団と発表された。契約期間は1年半。年俸も今季終了までが推定25万ユーロ(約3,200万円)、来季は推定60万ユーロ(約7,600万円)と報道されており、選手としての市場価値は守られたと見ている。ヨーロッパに残れたことで所属クラブで結果を残せば5大リーグ返り咲きも夢ではない。

ポジション別評価

最後に海外組日本人選手の評価をポジション別に5段階評価でまとめてみた。

【ポジション別評価】
GK:2
DF:4
MF:3
FW:2

(*評価基準)
5:とても良い
4:良い
3:普通
2:良くない
1:とても良くない

【簡易考察】
ディフェンスはセンターバック、サイドバックを含め5大リーグでもチームによってはポジションを奪えるところまではきていると思う。あとはCL決勝トーナメント常連のビッククラブでスタメンとしてプレー出来る選手が出てくるのかが今後の焦点。

攻撃的MFはもっとチームの勝利に貢献するプレーとゴールやアシストといった明確な結果を出す必要がある。日本のメディアではゴールの起点となったと取り上げられてもゴールまでの3つ前のプレーだと評価は難しい。
一方、守備的MFは今後の飛躍に期待している。フィジカルでは劣るのは仕方ないので、ハードワークで手を抜かないプレーと、球際を激しく逝けるようになればダブルボランチの1角を安心して任せられるようになるはずだ。

FWとGKはまだまだ5大リーグのレベルにはない。
選手別に見ると1シーズンだけならもっと評価が上がっても良い時期もあった、しかしFWなら継続的に二桁得点、GKなら常に守護神として君臨するような選手にならないと、日本代表がW杯でベスト8の壁を越えることは難しいと思う。

あとがき

日本人選手は100万ユーロ程度の移籍金、年俸で150万ユーロ程度がヨーロッパでの相場のようです。比較的安価な投資で日本人選手を獲得できたならユニフォーム、グッズ販売の収益も見込めます。

ただ、現場レベルで使いたい選手でなければ獲得は見送ってほしいという願いもあります。日本市場をターゲットにしてユニフォームやグッズ収益だけ見越した戦略で獲得には乗り出してほしくないですね。

よくあるのがオーナーが熱望しても現場レベルで監督が不要だと判断していた場合。さらに日本人選手は外国人枠(EU圏外枠)に当たるため、メンバー編成上、ベンチ外または登録外になる可能性もあります。そうなると選手にとって不幸な未来しか待っていません。

日本人選手の市場価値がヨーロッパで上がっていっても、選手とクラブ双方にとってマイナスになる契約が結ばれないことを願います。

※移籍金、年俸については報道により公表されている推定金額を記載しています。

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FOOTBALL NOTE編集長。1983年6月13日生まれ。岡山県出身。フットボールをテーマにした読者の知的好奇心を刺激するコンテンツ作りに着手し「FOOTBALL NOTE」を立ち上げる。コンセプトは「世界のフットボール情報がここにある」※お問い合わせはコチラからどうぞ