Jリーグの現在地(2018年8月時点)

 Jリーグでは今夏の移籍がシーズン中にも関わらず積極的だ。オフシーズンのように選手の動きが大きい。中断期間にもある程度の動きはあったが、中断明けリーグ再開後になっても積極的な補強が行われている。

 移籍の動向で今後注目しておきたいのは、海外リーグに挑戦している日本人選手で出場機会を失っている選手だ。

 例えば、フランクフルトの鎌田選手、リーズの井手口選手。
 ヨーロッパで活躍した実績がないので所属するクラブのリザーブチームでしかチャンスが与えられていないのが現実で、ヨーロッパの他のクラブからのオファーが来なければ、Jリーグに戻ってくる可能性も否定できない。

 アンデルレヒトの森岡選手は、ポーランド、ベルギーでの実績があるのでヨーロッパのクラブ、特にベルギーからはオファーがありそうだが…。

 2018シーズン、J1~J3の追加登録期限は2018年9月14日(金)となっている。
 この日までに更なる大きな動きがあるのかもしれない。特にJ1残留争いをしているチームは尚更だろう。

 それでも選手やチームの評価は、試合結果でしか判断できない。
 今夏大型補強で注目度が上がっている、ヴィッセル神戸、サガン鳥栖の試合(第21節/8月11日開催分)について、大型補強に見るチームの変化などを取り上げていきたい。

イニエスタとポドルスキのホットライン

[ヴィッセル神戸 2-1 ジュビロ磐田]

 この試合は、前半15分のイニエスタ選手のゴールに対する注目度が高かった。
 トラップだけで相手ディフェンダーを抜き去り、ゴールキーパーとの1対1を制してのゴールだった。

 ただ、昨年までバルセロナに所属していた選手だったと冷静に振り返れば、いつものイニエスタ選手のプレーだった。そこまで驚くことようなプレーではなかったが、日本のメディアの過剰な取り上げ方に違和感を覚えた。
 選手、クラブに加えてメディアも成長しなければならないという現実も忘れてはならない。それはロシアW杯の時の日本代表関連のニュースでも思い知らされたばかりだ。

 最近の試合を観ていて思うのは、イニエスタ選手からのキーパスやキラーパスは、主にウェリントン選手に供給されている印象を受ける。ポドルスキ選手が少し下がり目でプレーしているのもあるが、イニエスタ選手から決定的なパスが通ったシーンが少ないのがもどかしい。

 また、ポドルスキ選手以外の選手にパスをする時に、ややスピードを落としているように感じているのは、私だけだろうか。
 日本人選手とのリズムが違うのか、まだパスのズレがあるのか、完全にフィットするまでにはまだまだ時間が必要なのかもしれない。

 ポドルスキ選手のポジションが個人的には少し気になるが、これがヴィッセル神戸での現状ベストポジションなのかもしれない。
 右サイドにはって、そこでボールを受けて中へのカットインからの左足は脅威だ。時間帯によってはイニエスタ選手とダブル司令塔のようにプレーしている時もある。
 ワールドクラスの選手によるゲームメイクは豪華だが、宝の持ち腐れとも思えてしまう。

 それでもJリーグではこの2人が同時にピッチに立っているだけで相手には脅威だろう。
 しかし、本当のワールドクラスのプレーとなるホットラインは「イニエスタ⇒ポドルスキ」の流れだ。それはイニエスタ選手がチームにフィットした時に証明されるだろう。

 それよりJリーグで、イニエスタ選手とポドルスキ選手が同じチームで同時にピッチに立っているなんて、まだ夢を見ているように思えてしまう…。

トーレスがチームで機能するためには

[サガン鳥栖 1-0 浦和レッズ]

 この試合の個人的な注目は、トーレス選手と槙野選手のマッチアップだった。マンマークではなかったが、スペースの奪い合いは見物だった。
 日本代表としてロシアW杯に出場した槙野選手に簡単に負けてほしくなかったのが、私の率直な意見。

 浦和の守備はここ最近ずっと安定しているので、トーレス選手といえど個人技で簡単に崩すことは難しい。
 今の鳥栖の問題は、トーレス選手に良い形でボールが入らないこと。ロングボールを蹴ってトーレス選手が競って…というポストプレーだけなら、そこまで相手に対して脅威ではない。

 司令塔の原川選手から足元またはウラへのスルーパスが供給できないと、トーレス選手を活かしきることは出来ない。フリーキック、コーナーキックでのターゲットにはなっているが、それだけでだと守る方は楽だ。

 唯一の希望は、金崎夢生選手が鹿島アントラーズから移籍したきたこと。これは完全に予想外の移籍だった。
 トーレス選手と2トップを組んでいるのが、現状でベストの選択だと見ている。この2人だけで崩せる関係になったら、鳥栖の攻撃力は相手にとって脅威になるのは間違いない。
 試合での距離感もバランスが良いので、ショートパスから個人技で崩してシュートまでに行く展開は近いうちに見れるかもしれない。

 FWの選手は1点取ると一気に動きが良くなるから、トーレス選手がリーグ戦でゴールを決めてから鳥栖の逆襲が始まるような予感がしてならない。コンビを組み金崎選手にも良い相乗効果が生まれれば、Jリーグ屈指の2トップになるだろう。

 鳥栖の原川選手、浦和の岩波選手は、共にリオ五輪日本代表だったので、個人的には期待しているのだがJリーグではもっと圧倒的な存在感を出してほしいと願っている。それぞれのチームにお手本となる選手がいるのだから。

表面化してきた日本人審判のレベル

 ここまでこの2試合を取り上げたのは、イニエスタ選手、トーレス選手のこともあるが、レフリーのジャッジに疑問を感じる場面があったからだ。

 例えば、ポドルスキ選手の大きなサイドチェンジからのヴィッセルの攻撃が面白い展開となっていた場面だが、直前のプレーでヴィッセルの選手がファールをもらっていたのでプレーがストップ。アドバンテージを取っても良さそうだったが、試合を止めすぎているのはどうも気になる。

 次にペナルティエリア内でジュビロにPKを与えてしまった場面。
 イニエスタ選手がジュビロの山田選手をひっかけたというジャッジだが、ペナルティエリア内とはいえ、この程度でファールを取っていたらJリーグはPKの取り合いになる。

 最後は、浦和レッズの李選手のゴールが取り消しになった場面。
 これは李選手がGKを少しひぱっていたため、ファールの判定となりゴールが認められなかった。

 審判がよく見ていたというのか、あからさまにユニフォームを引っ張ていないし、そこまで故意に見れない接触プレーにも思えた。不可抗力の場合もあるが、この程度でファールと判定されるなら、Jリーグでの接触プレーは全てファールが取られてしまうようになるのではないか。と不安を覚えてしまう。

 例えば、審判もヨーロッパから何人か連れてきて、日本人審判の判定レベルを少しでも世界基準に近づける作業も必要なのではないかと思っている。

あとがき

 ミッドウィークに開催されたヴィッセル神戸対サンフレッチェ広島の試合で、イニエスタ選手が個人技からのミドルシュートを決めた!
 普通ならばあれだけ組織的に守っている場合なら、サイドにパスを散らして崩してから仕留める。というのがいままでのJリーグだった。イニエスタ選手のゴールはヨーロッパのプレーレベルのベースを示してくれた。

 1つ前のプレーでポドルスキ選手も左足でミドルを狙っていたが、ゴールが見えなかったかスペースが無かったのだろう。だからイニエスタ選手に横パスを出した。ペナルティエリアやや外でもゴールが見えれば、ワールドクラスの選手にとってはシュートレンジだ。

 この試合は1対1の引き分けに終わったが、首位の広島が押していた印象だ。決定機を決めきれていたら間違いなく広島が勝っていただろう。サッカーは1人、2人のワールドクラスがピッチにいても勝てないときは勝てないのだ。

 Jリーグの現在地、それは大型補強でファン・サポーターが盛り上がるパーツは揃った。
 ただ、試合内容は大型補強に似合ったものではない。
 審判のレベルで試合結果に大きく影響を及ぼした試合も1試合どころではない。

 「クラブ運営が黒字で集客も良く満足度が高いリーグ」それが私の考える2018年8月時点でのJリーグの現在地だ。Jリーグのクラブチームはアジアで見てもそこまで強くはない。ACLで苦戦しているのがそれを証明してくれている。

 ワールドクラスの選手が来てくれているのだから、1つも2つも上のレベルを目指せる状況は整った。ACLでJリーグのクラブが連覇する時代を作り上げてもらいたい。と願っている。

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