サッカー日本代表に蔓延する不協和音:崩壊の序章から第2章へ

サッカー日本代表はどこへ行くのだろう。2022カタールW杯アジア最終予選中だというのに、地上波ではホーム開催の試合しか放送されない。

有料スポーツチャンネルDAZNではホーム&アウェー全試合ライブ放送してくれるので、コアなサッカーファンとしてはお馴染みのコンテンツで試合を見ることはできる。それでも新規または1度離れてしまったファン層は置いてけぼりのような扱いもあり、4年に1度のW杯に向けて盛り上がっているようには感じない。

崩壊:序章

サッカー日本代表チーム崩壊の序章。
これが表面化してしまったのが、2022カタールW杯アジア最終予選の初戦ホームでオマーン代表に敗れたことだ。
W杯ベスト16と五輪ベスト4が日本代表の限界なのか?」のコラムに代表チーム崩壊の序章についての根拠は掲載している。

これまで積み上げてきたものが間違っていたのだとしたらそこには絶望しか残らない。サッカー日本代表にとっての絶望は2022カタールW杯本大会出場を逃すこと。2002年の日韓開催を含め1998年フランス大会から6大会連続で出場しているW杯を逃すことは日本サッカー界に大きな損失を生み出すだろう。

崩壊:第2章

2022カタールW杯アジア最終予選の第4戦ホームでオーストラリア代表に勝利し、なんとか首の皮一枚残ったが崩壊の第2章は既に動き出している。

2018ロシアW杯後から新体制となったが、これまでチームの軸だった選手のパフォーマンスが低空飛行のままだということ。
本来なら主軸の選手たちが若い世代を引っ張ってW杯予選を戦っていかないといけないのだが、日本代表チームの状態の悪さから、これまで代表常連だった長友佑都(FC東京)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)、柴崎岳(レガネス)の3選手については特に厳しい批判が出ている。

長友選手については、無所属の期間があったことと年齢によるコンディション面が不安視されている。年齢による衰えは仕方ない部分もあるが、年齢だけを理由に戦犯の槍玉に上げられることに私は納得できない。

スポーツ医学・科学は日々進化しているので、選手寿命は以前と比較すれば確実に伸びている。ピッチでのパフォーマンスに納得できず批判することは仕方ないが、年齢だけで選手の限界を外野が勝手に決めることは間違っている。
最終予選で4試合全て先発出場を果たしサイドバックとしては及第点の評価で落ち着くはずだが、ベストだった頃と比較するとストロングポイントだった運動量は以前より落ちて来ている印象は受ける。

大迫選手については前所属のブレーメンでFW起用されていなかったことがここに来て響いているのではないか。日本代表では常に1トップで起用されるが、ブレーメンではインサイドハーフでの起用が多かった。ヴィッセル神戸に移籍してからはFW起用されるようになったが、クラブチームで圧巻のプレーは見せているとはいえない。

ポストプレーヤーとしては日本でトップクラスだが、オーストラリア戦でも決定的なシーンでシュートが枠外と本調子とはいえない。さらに怪我で離脱となっているので、これまで放置していた1トップ問題が再浮上してくることになる。古橋亨梧(セルティック)、オナイウ阿道(トゥールーズ)と代わりを務めてくれそうな選手が頭角を表しているが、両選手ともポストプレータイプではないので戦術の見直しを急ピッチで行う必要がある。

柴崎選手について、オマーン戦とサウジアラビア戦についての批判は私も同じ考えだ。

ボランチとして攻撃の起点になれるから起用されていることに理解は示すが明らかに守備はお粗末だった。アジアレベルであの守備強度しかないならボランチでの起用は諦めてトップ下へコンバートしないと、試合終盤でリードしている場面で途中投入されボランチでプレーされたら怖くて見ていられない。仮に自陣後方から前線へ正確なロングボールを入れるためだけに交代カードを1枚使ってでもピッチに投入することは考えたくない。

森保監督は、2019アジアカップ、2020東京五輪(2021年夏開催)と怪我やコンディション不良、出場停止がない限りほとんどメンバーを固定して戦ってきた経緯がある。指揮官の決断次第だが、舞台裏で着々と進んでいる日本代表崩壊第3章が表面化する恐れも可能性も否定できない。

崩壊:第3章(予告)

現在の日本代表には代えの効かない選手が多い。特に吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(浦和レッズ)、遠藤航(シュトゥットガルト)の3選手が1人でも抜けるとチームとしての安定感は落ちる。

今最も危惧していることは3選手の蓄積疲労だ。この3選手に共通していることは、2021年夏に開催された2020東京五輪でサッカー男子のオーバーエイジとしてフル稼働していたこと。ヨーロッパで2020-2021シーズンを戦い終え、W杯アジア2次予選のためにA代表でプレーし、オーバーエイジとしてU-24代表で五輪大会を戦い、オフシーズンもほとんどなく所属先に合流して2021-2022シーズンを戦っている。

現実に酒井選手がオーバーワークを考慮されて休養のためオマーン戦後に代表チームを離れて中国戦を欠場したことがあった。吉田選手、遠藤選手にも同じことが起こる可能性はゼロではない。直近の試合では画面越しでも疲労感が伝わってくる場面も見られたので、キャプテンと中盤の守備の要を両方失ってしまったら日本代表チーム崩壊の第3章が幕を開けることになってしまう。

ウィンターブレイクのオフで少しでも回復することを望んでいるのだが、ヨーロッパでも各国リーグによって中断期間に差があるのでなんとも言えない部分だ。
例えば、イングランドはリーグ戦、カップ戦、リーグ杯があるためシーズン中に中断期間は設けられていない一方、イタリア、ドイツはクリスマス前から年始まで2週間程度の短い中断期間を得てリーグ戦が再開される予定だ。

またW杯アジア最終予選が2022年1月27日に中国代表、2月1日にサウジアラビア代表と対戦する予定になっている。ホームでの2連戦となるが、これにより国内組から選ばれる選手は前倒しでの調整が求められることになった。

現時点ではっきりした日程は発表されていないが、2022シーズンのJリーグ開幕が2月だったとしても海外組と国内組とのコンディションの差は大きいことが予想される。クラブごとにキャンプはスタートしていると思うが、国内組の新戦力は呼びにくい状況になり、代表常連組も海外から国内へ復帰した選手も多いためまた1つ難しい問題が追加されてしまった。

クラブに代表にこれだけハードスケジュールだとコンディションを一定に保つのは不可能に近い。代えの効かない選手が多いので、ローテーション起用を行うのが理想だが、現在の勝ち点と順位を考えるとそういっている場合でもないのが余計に問題をややこしくしている。

あとがき

日本代表の悪い流れは第2章で止まってくれれば良いのだが、崩壊の第3章の火種は既に巻かれている可能性が高い。
これまで中心だった選手が怪我やコンディション不良を理由に揃って離脱しまった場合、大きな空洞が生まれてしまい現体制のチームとして機能することはないだろう。

サッカー日本代表崩壊の根源は日本サッカー協会にもある。現場で戦っている監督や選手だけの問題で片付けるのは違うと私は考える。人気スポーツになればなるほど協会のゴタゴタが世に出やすいように、代表チームの低迷は協会にも責任があるということだ。

選手と協会の間に溝が出来ればストライキが起きる可能性だってある。
2016リオ五輪ではU-23ナイジェリア代表選手への給与未払い、移動手段の手配不備などのお家騒動が記憶に新しい。グループリーグ初戦でU-23日本代表と対戦することになっていたので、試合が無事行われるのかどうか直前まで日本でも大きく取り上げられていた。

お家騒動が日本に限って起きないといった可能性はゼロではない。ロシアW杯開幕2ヶ月前に当時の日本代表監督だったハリルホジッチ氏を電撃解任したことは、世界から見たらお家騒動以外何者でもない。

最新の話題では、この後に及んで2022年のアジア最終予選ホームゲームを勝率の良い埼玉スタジアム2002での開催に動いていることだ。
同時期に埼スタでは芝の張り替え工事が予定されているのは協会として把握しているはずだが、協会権力を使った圧力に近い要望を出したのはいったい何のアピールなのだろうか。
11月シリーズのアウェイ2連戦で連勝出来なかったら、ホームゲーム埼スタ開催論争など言ってる場合ではなくなるのに呑気なものだ。

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