前回、W杯本大会登録メンバーのシミュレーション選考を行いましたが、リストの中にはこれまで招集された実績のある選手と私の個人的な見解から何名か注目選手を載せました。
選手選考にはいろんな意見が出るので、これが正解というのはありません。正式に登録メンバーが発表されるまで、どういった選手構成になるのか予想できるのは、W杯開幕までの1つの楽しみと思っていただければ幸いです。
前回のシミュレーション選考
前回コラム「カタールW杯組み合わせ決定!日本代表が解決しなければならない課題」
まずはシミュレーション選考リストのおさらいです。本大会登録メンバーが23人枠なら、ポジション別での選手候補数は以下のようになると考えました。
4-3-3 :FW(6)、MF(6)、DF(8)、GK(3)
4-2-3-1:FW(2)、MF(10)、DF(8)、GK(3)
W杯本大会登録メンバーが23名のままなのか、26名に変更される可能性も残されているようなので、バックアップメンバーも考慮して2022年4月現在で「30名」のメンバーリストをシミュレーションしています。
[マーク説明]
◎当確 ○有力 △当落線上 ※注目
ポジション | 評価マーク | 選手名 |
---|---|---|
GK | ◎ | 権田修一 |
○ | 川島永嗣 | |
△ | シュミット・ダニエル | |
△ | 谷晃生 | |
DF | ◎ | 長友佑都 |
◎ | 吉田麻也 | |
◎ | 酒井宏樹 | |
◎ | 板倉滉 | |
◎ | 冨安健洋 | |
○ | 植田直通 | |
○ | 中山雄太 | |
△ | 谷口彰悟 | |
△ | 山根視来 | |
※ | 伊藤洋輝 | |
MF | ◎ | 遠藤航 |
◎ | 伊東純也 | |
◎ | 守田英正 | |
◎ | 田中碧 | |
◎ | 三笘薫 | |
○ | 原口元気 | |
○ | 南野拓実 | |
△ | 柴崎岳 | |
△ | 旗手怜央 | |
△ | 堂安律 | |
△ | 久保建英 | |
※ | 中島翔哉 | |
FW | ○ | 大迫勇也 |
○ | 浅野拓磨 | |
○ | 古橋亨梧 | |
○ | 前田大然 |
シミュレーション選考解説
GKは権田修一選手、川島永嗣選手の2選手は、これまでの起用内容や経験を含めほぼ当確だと思っています。
シュミット・ダニエル選手はベルギー1部リーグでも守護神としてプレーしているのもあるが197cmの長身も魅力で、ハイボールの処理を含めると正守護神の座を奪う可能性もあるので、現地点では当落線上の△にしています。
ただ谷晃生選手は少し心配している。東京五輪大会では守護神として日本のゴールを守っていましたが、A代表では第3GKの立場から変化がなく、今シーズンは所属クラブが残留圏内に落ちていることもあり当落線上の△としました。
DFはアジア相手ではまだ守備は機能しているので大きく変更することはないと考えます。年齢は数字なのでパフォーマンスを見れば、4バックで行くなら顔ぶれを変える必要はないと判断し自信を持って当確の◎を打ちました。
ただ、冨安健洋選手が怪我の再発を繰り返す負のサイクルに入ってしまっているので、板倉滉選手にはセンターバックとボランチのユーティリティを考慮して当確としていましたが、しばらくはセンターバックとしての起用がメインになるかもしれません。
今の日本代表の武器は守備ですが、当確選手を除けば控え組は横一線。アジア最終予選でも試合に出場すればそれなりの結果を残しましたが物足りない部分も多く、スタメン組との差は明らかになりました。
センターバックの1角を争う植田直通選手と谷口彰悟選手で、植田選手には有力の○、谷口選手には当落線上△をつけましたが、決め手は国内組と海外組の経験値の差です。
植田選手はフランス2部リーグでプレーしていますが、速くて強い選手と日頃からやりあっていることは大きなアドバンテージ。フィジカルの強いセンターバックは1枚でも多い方が良いのは、終盤のパワープレー対策として起用しやすいからです。
一方谷口選手もJリーグ屈指のセンターバックの1人ですが、ドイツ、スペインを相手にした時にどこまでやれるか未知数です。板倉選手とはアジア最終予選でコンビを組んだのである程度計算できますが、吉田麻也選手または冨安選手とコンビを組んだ場合にどうなるか現時点ではっきりしないため当落線上の選手という評価にしました。
守備的MFは遠藤航選手、守田英正選手、田中碧選手の3選手は当確の◎で異論は出ないと思います。右サイドの伊東純也選手、左サイドの三笘薫選手も同様で怪我以外で選考外にする理由が見当たりませんでした。
問題なのは控え組です。4-3-3で行くなら遠藤選手、守田選手、田中選手の中から誰か1人でも欠けると機能しなくなる可能性が高く、特に遠藤選手が抜けると守備的に戦うこと自体が厳しくなります。先述した通り、遠藤選手の代わりを務めれそうな選手は板倉選手しか思い浮かびませんでした。
球際で戦えてドリブルで違いが出せる原口元気選手は、所属クラブで右インサイドハーフとしてプレーしているので状況によっては田中選手とレギュラー争いが可能な位置まできているので、対抗の○をつけています。
所属クラブでは主に左インサイドハーフとしてプレーしている旗手怜央選手はユーティリティ性も高いので対抗の○をつけも良かったのですが、代表戦で格段のパフォーマンスをまだ見れていないため保留の意味を含んで当落線上の△にしました。
なお攻撃的MFは現時点では横一線。4-2-3-1か4-3-3によって選手の顔ぶれが大きく変わる可能性があるので当落線上の△にしています。
前回当確が付けれなかったFWですが古橋亨梧選手が一歩リードしたと思っています。怪我には苦しみましたが2021-2022シーズンのリーグ戦で12ゴール、リーグ杯では5ゴール、ヨーロッパリーグで5得点と公式戦で20ゴールと明確な結果を出しました。4-3-3なら3トップの中央で計算できるし、問題はパスの出し手との関係性だけかと思います。
一方、大迫勇也選手は当落線上にまで評価は下がっていると予想します。いくら常連メンバーとはいえ、今シーズンのJリーグで1ゴールでは説得力に欠けますし、調子が上がってこないのも不安要素です。ポストプレーや前線からの守備などゴール以外のプレーでの貢献度を考慮しても今のパフォーマンスは代表でスタメン起用は疑問が残ります。
前回リストを作成した時にMF登録していた選手を何人かFW登録に回せないかと考えるようになりました。例えば4-3-3なら南野拓実選手をFW登録するのはどうでしょうか?
前線からの守備に関しては所属クラブでもやっていることだし、いつも練習している相手はワールドクラスの選手達ばかり。懸念材料を1つ挙げるとすれば、プレー時間をコンスタントに確保できていないこと。ビッグクラブのリバプールだから出場機会を得るだけでも大変ですが、それでも準備を怠らず出番が回って来た時に、ゴールという結果事期待に応えることが出来るのはまさしくストライカー。有力の○を付けていますが、本来なら当確の◎で問題ない選手です。
比較分析
6月に行われる国際親善試合4試合に臨む日本代表メンバー28名が発表されました。
ポジション | 選手名 | 所属クラブ |
---|---|---|
GK | 川島永嗣 | ストラスブール |
権田修一 | 清水エスパルス | |
シュミット・ダニエル | シント・トロイデン | |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | |
DF | 長友佑都 | FC東京 |
吉田麻也 | サンプドリア | |
谷口彰悟 | 川崎フロンターレ | |
山根視来 | 川崎フロンターレ | |
板倉滉 | シャルケ | |
中山雄太 | ズウォレ | |
冨安健洋 | アーセナル | |
伊藤洋輝 | シュトゥットガルト | |
菅原由勢 | AZ | |
MF | 原口元気 | ウニオン・ベルリン |
柴崎岳 | レガネス | |
遠藤航 | シュトゥットガルト | |
伊東純也 | ゲンク | |
南野拓実 | リバプール | |
守田英正 | サンタ・クララ | |
鎌田大地 | フランクフルト | |
三笘薫 | ユニオン | |
堂安律 | PSV | |
田中碧 | デュッセルドルフ | |
久保建英 | マジョルカ | |
FW | 浅野拓磨 | ボーフム |
古橋亨梧 | セルティック | |
前田大然 | セルティック | |
上田綺世 | 鹿島アントラーズ |
現時点でカタールW杯本大会メンバー入りに最も近い28名ですが、ここでシミュレーション選考との比較分析を行います。
常連組
4-3-3で行くならスターティングイレブンはほぼ固まっているのではないでしょうか。シミュレーション選考で当確の◎をつけた選手は順当にメンバー入りしているので、怪我やコンディション不良を除けばカタールW杯メンバー選出はほぼ間違いないと断言できます。
またベンチ入りを含んだ構成を想定しても、W杯アジア最終予選を戦ったメンバーが中心となっています。そうなると本番までに戦術や連携面での積み上げ作業に入っていく感じになるのでしょうか。
しかしそれだとチームとして2段階も3段階も大きく飛躍することは期待できません。ドイツ、スペインを相手に大敗の未来しか見えてこないのです。
新戦力
現日本代表の力を2段階も3段階も引き上げてくれるのは新戦力の台頭ではないでしょうか。
今回日本代表に初招集されたのは、ドイツ・ブンデスリーガ、シュトゥットガルトでプレーする伊藤洋輝選手です。今季リーグ戦では29試合に出場し1ゴール1アシストの結果を残しています。チームの1部残留を決めるゴールをアシストしたこともあり、シーズン終了後すぐにレンタルから完全移籍となりました。
シミュレーション選考で注目の※をつけていましたが、ファン。サポーターの1部からは待望論もあったので満を持しての招集ではないでしょうか。センターバックまたは左サイドバックでの起用になると思いますが、守備でチームにどれだけ安定感をもたらすことが出来るのかに注目です。
代表復帰組
代表復帰組の中で注目されているのは鎌田大地選手と堂安律選手。
鎌田大地選手は所属するフランクフルトでUEFAヨーロッパリーグのタイトル獲得に貢献しました。ELでは5ゴール1アシストと結果を出していて、決勝トーナメントではバルセロナ、ベティスのスペイン勢を撃破しているため、ドイツ、スペインと同グループに入ったことで軽視することはできません。
ブンデスリーガでは今季4ゴール3アシストと昨シーズンよりもパフォーマンスを落としていたこと、4-3-3ではポジションが無いと思いシミュレーション選考リストにも掲載しませんでしたが、嬉しい悩みが1つ増えました。
堂安律選手は所属するPSVでポジションを掴み、オランダKNVBカップではタイトルを獲得しました。カップ戦では2ゴールを決めチームの優勝に貢献すると、リーグ戦では8ゴールを奪いチームはリーグ戦を2位で終えています。
攻撃面での戦術が選手個人によるものになってしまっている攻撃陣の中で、連動しながら崩していくために鎌田選手、堂安選手がキープレーヤーになってくれたら面白くなりそうです。
比較考察
全体的に俯瞰して見た場合、当落線上の△をつけていた選手達に動きがありました。本番までに何試合か国際親善試合が組まれる予定ですが、入れ替わりがあるなら当落線上の選手ということになると予想しています。
6月の代表戦招集メンバーとして大きく外してしまったのは、有力の○をつけていた植田直通選手の落選でした。有力ではなく当落線上だったということでしょうか。また攻撃の切り札として注目していた中島翔哉選手の復帰も叶わずと、私の行ったシミュレーション選考に点数をつけるなら70点ぐらいの評価にせざるを得ません。
6月の代表戦が終わったら総括をしつつ、新たなシミュレーション選考リストを作成します。ここまでドイツ、スペインを相手した場合の想定が多いですが、プレーオフでコスタリカ対ニュージーランドの結果が出てからはっきりとした方向性を示せればと思います。
あとがき
様々な角度から選手のシミュレーション選考、予想フォーメーションなどいろいろと試行錯誤しましたが、現時点ではドイツ、スペインに敗れる未来しか想像できないのが悔しいです。
今後の日本代表スケジュール(予定)
国際親善試合
6月 2日(木)国際親善試合:パラグアイ代表 / 札幌ドーム
6月 6日(月)国際親善試合:ブラジル代表 / 国立競技場
6月10日(金)キリンカップ:対戦相手未定 / ノエビアスタジアム神戸
6月14日(火)キリンカップ:対戦相手未定 / パナソニックスタジアム吹田
E-1サッカー選手権
7月19日〜27日(※日本開催に変更)
強化試合
9月19日〜27日 対戦相手未定 / 海外遠征?
カタールW杯
◆日本代表スケジュール(試合時間は日本時間)
11月23日22時:ドイツ
11月27日19時:ニュージランドorコスタリカ
12月 2日 4時:スペイン
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