カタールW杯出場権を獲得し、グループリーグで対戦する国もある程度決まって迎える6月の代表戦4試合。ネーションズリーグの関係でヨーロッパの国とマッチメイクできないのは残念ですが、フィナリッシマ(※)2022でアルゼンチンがイタリアを3対0で勝利したように、南米勢との対戦で見えてくるものもあります。
簡単に例を挙げるなら、イタリアの守備をアルゼンチンがどのように攻略していたかを参考にする。日本の守備は南米勢を相手に機能するのか?日本の攻撃はアジア以外ではどこまで通用するのか?などが出てきます。
日本で開催される国際親善試合なので、相手チームのプレー強度がどこ高くなるかわかりませんが、日本代表選手達に求めることは本大会メンバー入りに向けてどこまでアピール出来るかの1つだけです。
※フィナリッシマ[FINALISSIMA]とは?
UEFA(欧州サッカー連盟)とCONMEBOL(南米サッカー連盟)の共催によって新設されたユーロ覇者とコパ・アメリカ覇者が対戦する大会のこと。
フィナリシッシマ2022は、EURO2020を制したイタリア代表とコパ・アメリカ2021を制したアルゼンチン代表の対戦となった。
マッチレポート
4-3-3はどちらかといえば守備的なフォーメーションだが、日本代表はチームとして攻撃的な構成と守備的な構成を準備しているのかもしれない。
中盤3枚の構成がどうなるのか気になっていたが、スタメンで起用されたのは今季ブンデスリーガでコンスタントに出場機会を得ていた原口元気選手、遠藤航選手、鎌田大地選手の3選手だった。初めての組み合わせだったので連携面での不安が感じたが、このレベルになると時間が進むにつれて自然と連携が取れていた。
これまでの遠藤選手、守田英正選手、田中碧選手の3選手での構成はどちらかといえば守備的な構成になっていたが、原口選手と鎌田選手を起用することで攻撃への比重が比較的に高かったように見えた。
全体的に見れば選手の距離感はそこまでコンパクトでは無かったが、ドリブラーの選手にはある程度スペースを与えている位置取りは良かったと思う。個の力で突破が計算できる選手が増えたことで、人数をかける位置をゴール前に集中させれば結果的に厚みのある攻撃を仕掛けられるようになる。
前半を2点リードで折り返したので、後半はパラグアイの怒涛の攻撃が見れるかと思ったけど、親善試合らしいオープンな展開のままだった。パラグアイがカタールW杯出場しないこと、新チームでの初陣だったことを考えるとチームの成熟度が違っただけかもしれない。
それでも自分達のミスから失点したところは3点差をつけて日本が勝利したといっても見逃すことはできない。最終ラインからのボールを自陣でカットされるシーンは前半からも見られていた。ドイツ、スペインが相手だったら確実に失点につながる致命的なプレーになっていたでしょう。
【フォーメーション:4-3-3】
()内は交代時間と交代出場した選手
浅野拓磨
(HT,前田大然)
三笘薫 堂安律
(82,古橋亨梧) (71,久保建英)
鎌田大地 原口元気
(61,田中碧)
遠藤航
(HT,板倉滉)
伊藤洋輝 山根視来
吉田麻也 谷口彰悟
(HT,中山雄太)
シュミット・ダニエル
日本の守備について
現在の日本代表のストロングポイントは安定感の守備。メンバーを入れ替えても90分を通して安定していたと思う。
それでもフォーメーションの配置的にアンカーの両脇を攻められるとピンチを迎える場面が多かったが、遠藤選手の守備範囲の広さで凌いでいた印象を受ける。
遠藤選手のピッチでの存在感が強まる一方で不在になった時の一抹の不安は残るが、代わって入った板倉選手も遜色ないプレーは見せていたのでバックアップとしては及第点だと思う。
日本の攻撃について
1トップにポストプレイヤー不在なら両サイドに起点を作る狙いがあったように見えた。右サイドでプレーした堂安選手が機能したことで攻撃の起点が出来ていた。
堂安選手がボールをキープすることでインサイドハーフとサイドバックが上がる時間を作れるので攻撃に厚みを加え、アタッキングサードで起点が出来れば連動することで特定選手による個の力に頼らない攻撃は出来ていた。
マッチレビュー
日本代表 4-1 パラグアイ代表
【日本代表:得点者】
前半36分;浅野拓磨
前半42分;鎌田大地
後半15分;三笘薫
後半40分;田中碧
【日本代表スタッツ】
ボール支配率 :56%
シュート数 :26本
枠内シュート :10本
パス成功率 :86%(593本)
オフサイド : 2回
フリーキック :15本
コーナーキック: 6本
【スタジアム/現地情報】
スタジアム:札幌ドーム
観客数 :24,511人
天候 :屋内
気温 :21.8℃
湿度 :60%
招集メンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
---|---|---|
GK | 1 | 川島永嗣 |
12 | 権田修一 | |
23 | シュミット・ダニエル | |
28 | 大迫敬介 | |
DF | 5 | 長友佑都 |
22 | 吉田麻也 | |
3 | 谷口彰悟 | |
2 | 山根視来 | |
4 | 板倉滉 | |
20 | 中山雄太 | |
16 | 冨安健洋 | |
26 | 伊藤洋輝 | |
27 | 菅原由勢 | |
MF | 8 | 原口元気 |
7 | 柴崎岳 | |
6 | 遠藤航 | |
14 | 伊東純也 | |
10 | 南野拓実 | |
13 | 守田英正 | |
9 | 鎌田大地 | |
15 | 三笘薫 | |
21 | 堂安律 | |
17 | 田中碧 | |
11 | 久保建英 | |
FW | 18 | 浅野拓磨 |
19 | 古橋亨梧 | |
24 | 前田大然 | |
25 | 上田綺世 |
パラグアイ戦:ベンチ外
DF.冨安健洋
DF.菅原由勢
MF.柴崎岳
MF.南野拓実
MF.守田英正
あとがき
選手に合わせてシステムをはめるのか?それともシステムに合わせて選手をはめるのか?
今日の試合はシステムに合わせて選手を起用していたが、今後もこれがベースとなるでしょう。
選手のレベルが年々上がっているので、選手達がシステムが機能するようにプレー出来ていたのは明確だった。チームとしての約束事などは監督・コーチが作り、決まった枠組みの中で選手達が個の力を遺憾無く発揮できればコスタリカとニュージーランド、どちらが来ても良い試合はできると思った。
ただし、ドイツ、スペインにはまだまだ及ばない。その理由はこのテンションのサッカーを公式戦で90分続けることができるのか未知数だから。
おそらく75分まではドイツ、スペインを相手にしても互角の戦いはできるはずだ。しかし後半30分を過ぎた頃から日本のプレー精度が落ち始めた時に守備が耐えられるのか、点を取られても取り返す勢いが残っているのか、その課題の解決策はこの試合では見ることは出来なかった。