日本代表:Road to カタール(56)国際親善試合/ブラジル代表戦マッチレポート

6月2日に開催された国際親善試合でホームの日本はパラグアイを4対1で勝利、ブラジルはアウェイで韓国と対戦し5対1で勝利して、この試合を迎えました。

カタールW杯を半年後に控えて、ブラジル代表も現時点でのベストメンバーを揃えてくれましたが、日本がどこまでブラジルを本気にさせることが出来るのかにかかっています。

マッチレポート

前半は日本の守備が耐えた形になった。強豪を相手にした時はこういう展開になるのは仕方ない。防戦一方ではなく効果的にカウンターを見せるなど出来ることはやっていたが、自力の差は明確だった。

また前半から耐える場面が多かったので、後半30分以降に運動量が落ちる懸念もあった。国際親善試合のため選手交代が6人まで認められていることもあって、選手のパフォーマンスが目に見えて下がる場面は無かったが、公式戦でも同じような戦い方が出来るとは限らない。

パラグアイ戦でも課題に挙げられていた最終ラインからのビルドアップは改善しないと守備から攻撃への切り替えが上手くいかない。マイボールになってもすぐに奪われてしまったら守備の時間が増えるだけで消耗していくだけ。
90分を通して日本の守備は通用することはわかったが、それでも0対1で敗れたことに変わりはない。結果は僅差だったがスコア以上の差はあった。

【フォーメーション:4-3-3】
()内は交代時間と交代出場した選手

        
        古橋亨梧
       (67,前田大然)
  南野拓実          伊東純也
(72,三笘薫)        (72,堂安律)

     田中碧    原口元気
   (81,柴崎岳)  (HT,鎌田大地)

         遠藤航

中山雄太           長友佑都
              (81,山根視来)

     吉田麻也   板倉滉

         権田修一

日本のベンチワークについて

後半32分に先制を許した後、後半36分に選手交代を行い、フォーメーションを4-2-3-1にして攻めに行く姿勢は見せたが、ベンチの采配は後手後手だった。

先制点を取りにいくなら後半開始から鎌田選手を投入した段階で4-2-3-1にシステム変更しても良かった。前半はブラジルを相手に及第点の評価だったが、後半はベンチワークの差が明暗を分けたといっても過言ではない。

試合前から交代出場する選手がある程度決まっていたかのような印象を受けた。試合展開に合わせて柔軟な対応が出来ないと勝ち進むことは厳しいと思う。

日本の守備について

前半は前線の選手まで最終ラインまで下がってきて守備していたことで無失点で耐えることが出来た。GKと4バックの関係性は組織化されていて、W杯優勝候補を相手にも鉄壁の守備は機能していたので、選手構成やゲームプランはある程度計算できるものになった。

その中でも中盤でボールを奪われたり、ブラジルが高い位置からハイプレスをかけてきてショートカウンターで危ない場面を作られていたので、中盤の底でボールを奪われないためにボールを持ちすぎないことや選手同士の距離感など工夫する必要がある。

先制された直後に後手後手に回ってしまったところは修正が必要だと思う。ブラジルが追加点を狙いに来ていたのは明らかだったし、失点直後にさらに失点してしまうとトドメを刺されてしまうところだった。

日本の攻撃について

カウンターやセットプレーから何回かチャンスがあったが決定的なシーンを作ることが出来なかったのは、前線の選手のパフォーマンスというより日本の両翼が完全にブラジルに封じられていた。

伊東選手にはアラーナ選手がスピードを警戒した間合いの詰め方で伊東選手の良さは完全に消されていた。長友選手のオーバーラップから連動して右サイドを崩す場面はあったけど、伊東選手がスピードに乗った状態で爆発的なプレーは交代するまでほとんど見ることはなかった。

後半27分から途中出場となった三笘選手だったが、ブラジルは三笘選手が投入される前に先手を打ってきた。センターバックでプレーしていたミリトン選手を後半26分にダニエウ・アウベス選手を交代させた時に右サイドバックへ回し、センターバックにはチアゴ・シウバ選手を投入して守備のバランスを維持した。

三笘選手はミリトン選手とのマッチアップになったが、いつもなら得意のドリブルで三笘選手が抜き切っていたところも、ミリトン選手のスピードと体の入れ方で封じ込まれてしまった。

戦術伊東も戦術三笘も世界のトップレベルを相手にしたら通用しなかった。W杯本番で対戦国は同じような対策を取ってくることが予想されるので、新たな攻撃の切り札を探さなければならない。

マッチレビュー

日本代表 0-1 ブラジル代表

【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :48%
シュート数  :5本
枠内シュート :0本
パス成功率  :82%(413本)
オフサイド  : 3回
フリーキック :11本
コーナーキック: 7本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:国立競技場
観客数  :63,638人
天候   :雨
気温   :17℃
湿度   :90%

招集メンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 川島永嗣
12 権田修一
23 シュミット・ダニエル
28 大迫敬介
DF 5 長友佑都
22 吉田麻也
3 谷口彰悟
2 山根視来
4 板倉滉
20 中山雄太
16 冨安健洋
26 伊藤洋輝
27 菅原由勢
MF 8 原口元気
7 柴崎岳
6 遠藤航
14 伊東純也
10 南野拓実
13 守田英正
9 鎌田大地
15 三笘薫
21 堂安律
17 田中碧
11 久保建英
FW 18 浅野拓磨
19 古橋亨梧
24 前田大然
25 上田綺世

ブラジル戦:ベンチ外

GK.大迫敬介
DF.冨安健洋
MF.守田英正
FW.浅野拓磨

チーム離脱

DF.菅原由勢(怪我のため)

あとがき

ブラジルが前半早々に先制し、前半の内に追加点を奪って2点リードで折り返す。後半にダメ押しゴールを決めてブラジルが3点リードになったところから試合終了までボール回しを見る展開にならなくて良かった。

というか私はこの展開を予想していた。日本が予想を裏切ってくれたおかげで接戦になり、最後までブラジルが攻めに来てくれたおかげで負けたけど収穫のある試合になった。

守備はある程度計算できる。課題はW杯優勝候補と対戦しても得点を奪うこと。失点した後にどうやって攻撃に出ていくのか、選手の個の力頼みで解決するのか、攻撃の切り札をサプライズ招集するのか。あと半年で最適解を見つけ出せないとグループリーグ敗退がより現実的になってしまう。

ブラジル戦で枠内シュートが0本だったこと。これで勝ち点を取るにはスコアレスドローに持ち込むしかない。カタールW杯でドイツ、スペインと対戦し勝ち点1が取れただけでも世界は震撼するかもしれないが、日本がグッドルーザーとして大会を去るエンディングにはしたくない。