日本代表:Road to カタール(49)W杯アジア最終予選/ベトナム代表戦マッチレポート

ホームでオーストラリア代表に勝利しW杯出場に向けて首の皮一枚繋がった。11月シリーズはアウェイ2連戦の正念場になる。

欧州組がチャーター機のトラブルで合流が遅れたため調整が1日だけの厳しい状況になったが、ピッチ内外を含めて様々な困難を跳ね返せないようならW杯出場権を獲得することは難しいのではないだろうか。

マッチレポート

試合の入りはそこまで良くなかった。時間が経過するに連れて良くなっていったがそれはスタッツにも明確に現れていた。
DAZNで試合を見ているとスタッツがリアルタイムに更新される仕様になっているので、プレーを見て思ったイメージと実際に表示される数値を見て判断できるのでより確信を持てるようになっている。

この試合は最低でも勝ち点3、最高で勝ち点3プラス大量得点を取ることだった。1対0で勝利し最低条件の勝ち点3はクリアしたが、内容は決して満足できるものではなかった。

気になったポイントはチーム戦術があるのか?ということ。いくら全体練習の時間がトラブルのため予定していた時間が取れなかったといっても、オーストラリアとベトナムと対峙するのに同じ戦術で戦うことに違和感しかなかった。
それはスターティングイレブンにも現れていた。前の試合から変わったところは怪我のためベンチ外になった酒井選手に代えて山根選手を起用しただけ。対戦相手を見てるサッカーをしているのか、ただ自分たちのサッカーをしているのかわからなくなった。

5-3-2の構成だったベトナムに対して日本は4-3-3スタートだったので、日本の両サイドバックが高い位置を取ると裏のスペースへのロングボールからカウンターを狙われやすくなる。ベトナムは前線2枚をターゲットにロングボールを入れてきたことで何度か危ない場面も作られたが、吉田選手、冨安選手を中心に個の力だけで対応できるレベルだった。

両チームともカウンターの応酬になる時間もあったが、オープンな展開となりスペースが出来るとピッチ上で絶対的なスピードを持っていた伊東選手をベトナムが止める術がなかったのが日本にとって救いだった。
スピードに乗っていない段階ならファール覚悟で止められる場面もあったが、伊東選手がスピードに乗った状態でドリブルをしている時だけは得点に繋がるプレーを期待できる瞬間であり、惜しくも2点目はVARでゴール取り消しになったが、この試合のMOMは伊東選手で間違いない。

試合全体で振り返ると、入りが良くなかった前半の方がゲームをコントロールできていたと思う。
ベトナム代表のキープレイヤー、グエン・クアン・ハイ選手を封じ込めるために、日本の選手達が立ち位置を変えて意図的にグエン・クアン・ハイ選手のプレーするサイドから攻撃を仕掛けていくことで守備の負担を重くさせ相手の攻撃をきっかけを作らせない策は見事にハマっていた。

ただ、相手チームのキープレーヤーを封じながら先制点を奪う理想的な展開が描けたのなら、アウェイといえど前半だけで一気に3点とって勝負を決めるべきだった。主力がある程度固定されているため、これまでの積み上げで意思疎通が出来ているはずなので日本を代表する選手達なら何も難しいことではない。

しかし現実には前半17分に先制後、一気にたたみかけて早めに追加点を奪うことが出来なかったことが、試合時間が経過すると共に自分たちの首を絞める展開となってしまった。後半20分以降から徐々にパフォーマンスが落ちているように見えたのでコンディションの悪い選手達を起用していたと思われても仕方ない。

ベトナムを相手に最低限勝ち点3を得たことでオマーン戦へ望みは繋げたが、このままの状態だとオマーンを相手に勝ち点3を取ることは予想以上に難しいかもしれない。

マッチレビュー

日本代表 1-0 ベトナム代表

【得点者】
前半17分;伊東純也

日本代表スターティングイレブン

【フォーメーション:4-3-3】

()内は交代出場した選手
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        大迫勇也
        (古橋亨梧)

 南野拓実          伊東純也
(浅野拓磨)

    守田英正    田中碧
    (原口元気)   (柴崎岳)

         遠藤航

長友佑都 冨安健洋 吉田麻也 山根視来
(中山雄太)

        権田修一

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【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :64%
シュート数  :13本
枠内シュート : 5本
パス成功率  :82%(603本)
オフサイド  : 3回
フリーキック :12本
コーナーキック: 6本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:ミーティンナショナルスタジアム
観客数  :11,022人
天候   :晴れ
気温   :23℃
湿度   :50%

登録メンバー

[GK]

1.川島永嗣(ストラスブール/フランス)
12.権田修一(清水エスパルス)
23.谷晃生 (湘南ベルマーレ)

[DF]

5.長友佑都(FC東京)
22.吉田麻也(サンプドリア/イタリア)
2.山根視来(川崎フロンターレ)
3.室屋成 (ハノーファー/ドイツ2部)
4.板倉滉 (シャルケ/ドイツ2部)
20.中山雄太(ズウォレ/オランダ)
16.冨安健洋(アーセナル/イングランド)

[MF]

8.原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)
7.柴崎岳 (レガネス/スペイン2部)
6.遠藤航 (シュトゥットガルト/ドイツ)
10.南野拓実(リバプール/イングランド)
13.守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)
18.浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
9.鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
14.伊東純也(ゲンク/ベルギー)
19.三笘薫 (サン・ジロワーズ/ベルギー)
21.堂安律 (PSV/オランダ)
17.田中碧 (デュッセルドルフ/ドイツ2部)

[FW]

15.大迫勇也(ヴィッセル神戸)
11.古橋亨梧(セルティック/スコットランド)

[ベンチ外]

酒井宏樹(浦和レッズ)
谷口彰悟(川崎フロンターレ)
旗手怜央(川崎フロンターレ)
前田大然(横浜F・マリノス)
上田綺世(鹿島アントラーズ)

あとがき

この試合では4-3-3からスタートして、後半30分に柴崎選手を投入してから4-2-3-1にして、後半43分に原口選手を投入してから4-3-3に戻した感じに見えた。

【後半30分頃:4-2-3-1】

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        古橋亨梧

 浅野拓磨    柴崎岳   伊東純也

     遠藤航    守田英正

中山雄太 冨安健洋 吉田麻也 山根視来

        権田修一

【後半43分頃:4-3-3】

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        古橋亨梧
 浅野拓磨          伊東純也

     柴崎岳   原口元気

         遠藤航

中山雄太 冨安健洋 吉田麻也 山根視来

        権田修一

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後半立ち上がりは良かったけど追加点が奪えず苦しくなって、左サイドの南野選手と長友選手を浅野選手と中山選手の2枚代えで変化をつけてきた。

それでも1度失った流れは取り戻すことができずに、大迫選手と田中選手を代えて古橋選手と柴崎選手を投入しフォーメーションを4-2-3-1に戻した。柴崎選手をボランチではなく2列目で起用することで、得点には繋がらなかったが攻撃の変化をつけることが出来たので、次戦以降のオプションとしては可能性を残した。

試合終盤に守田選手を下げて原口選手を投入し、4-3-3に戻し原口選手をインサイドハーフ起用したのはオマーン戦への布石となりそうだ。守田選手がイエローカード累積のためオマーン戦が出場停止となるため、オーストラリア、ベトナムの2試合のような戦い方は難しくなる。

4-2-3-1に戻して遠藤選手、田中選手のダブルボランチか、4-3-3のまま原口選手をインサイドハーフで起用し、中盤から前線へボールを運びやすくすることでより攻撃的に出る4-3-3にするか悩ましいところだ。

個人的な見解だが、ベトナム戦は4-3-3でも4-2-3-1でもなく、3-4-1-2(3-5-2)をウルトラCでいきなりやってきたらチームとして見る目が変わっていたと思っている。勝ち点3で大量得点を奪うために、ベトナムが5バックで来ると想定出来ていたら2トップもありだった。

【ウルトラC:3-5-2(3-4-1-2)】

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    大迫勇也    古橋亨梧

        南野拓実
 三笘薫           伊東純也

     遠藤航    田中碧

  板倉滉   吉田麻也  冨安健洋

        権田修一

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もし欧州組がチャーター機のトラブルがなく予定通り合流出来ていたら、3-5-2を試した可能性をいろいろと妄想を含めて考察してみたが、予定通り入国していた国内組のほとんどがベンチ外となった背景から考えても限りなくゼロに近いプランだっただろう。