既にカタールW杯出場権を獲得している日本代表にとって、予選最終戦となったベトナム代表との一戦は消化試合になってしまったが、ここまで固定メンバーで戦ってきた中でこの試合は先発メンバーを大きく入れ替えて来た。
オーストラリア戦後、遠藤航選手と板倉滉選手が所属クラブの要請に伴いコンディション調整のため代表チーム離脱が決定した。ここまでダブルボランチの1角やアンカーとして中盤の守備の要であった遠藤航選手が抜けたことで基本フォーメーションを含めて戦い方がどのように変わるのか注目したい。
マッチレポート
選手に合わせてシステムをはめるのか?
それともシステムに合わせて選手をはめるのか?
90分を通して見極めるには難しい試合だった。
スターティングラインナップを見た時にこれまでの4-3-3より4-2-3-1の方がしっくり来るのではないかと思った。
【予想フォーメーション:4-2-3-1】
上田綺世
三笘薫 柴崎岳 久保建英
旗手怜央 原口元気
中山雄太 谷口彰悟 吉田麻也 山根視来
川島永嗣
しかし試合が始まって選手の並びを見てみると、オーストラリア戦と同じフォーメーションに、入れ替えたスタメン9人がただ並べただけのように感じた。
【前半フォーメーション:4-3-3】
上田綺世
三笘薫 久保建英
旗手怜央 原口元気
柴崎岳
中山雄太 谷口彰悟 吉田麻也 山根視来
川島永嗣
このシステムだと中盤3枚でボールを奪ってショートカウンターを仕掛けないと機能しないのだが、中盤とディフェンスラインの間を狙われてしまい中盤が機能していたとは言い難い内容。
ドリブルが持ち味の原口選手、パスセンスに優れ司令塔の役割が出来る柴崎選手、ユーティリティさがウリの旗手選手を並べていたが、これはシステムに選手をはめていたことになる。結果として守備は機能していなかった。
ベトナムは前半から引いて守るためではなく高い位置からプレッシングをかけて来たので、日本にとって自分たちのやりたいことが出来ない時間帯が多かったように見えた。その中で前半19分にセットプレーから失点してしまい先制点を与えてしまったことは残念だった。
後半開始から旗手選手に代えて伊東選手を投入し、システムを4-2-3-1に変えてきた。立ち位置を代えたことや前半から飛ばしていたベトナムの運動量が落ちたこともあって日本が主導権を握った。
【後半フォーメーション:4-2-3-1】
()内は交代出場した選手
上田綺世
三笘薫 久保建英 伊東純也
(南野拓実)
柴崎岳 原口元気
(田中碧) (守田英正)
中山雄太 谷口彰悟 吉田麻也 山根視来
川島永嗣
後半9分に吉田選手のゴールで同点に追いつき、後半16分から南野選手、守田選手、田中選手を投入したが、後半開始時の11人をもう少し見ていたかった気持ちもある。ビハインドの展開だったら交代もやむ無しだが、同点に追いつきリズムも悪くなかったように思えたので後半30分くらいまでは引っ張っても良かったかもしれない。
その理由は、試合を振り返った時にやっぱりいつものメンバーで良かったという結論にしかならないから。オーストラリア戦から先発を9人代えたことの検証をするためには少しでもプレー時間が長い方が良い。いつも交代策に消極的なのだが後半早い段階から動いたということは事前から交代プランが決まっていたのかもしれない。
FIFAランクで判断するならホームでベトナムと引き分けたことは消化不良としかいえない。アジア最終予選、先制された試合はここまで全敗だったので、先制されてから同点に追いついたところだけはこの試合の収穫だったと思う。そして『DFW(DF+FW)吉田麻也』はカタールW杯で攻撃の切り札になるだろう。
マッチレビュー
日本代表 1-1 ベトナム代表
【得点者】
後半9分;吉田麻也
日本代表スターティングイレブン
【フォーメーション:4-3-3】
()内は交代出場した選手
===================
上田綺世
三笘薫 久保建英
(南野拓実)
旗手怜央 原口元気
(伊東純也) (守田英正)
柴崎岳
(田中碧)
中山雄太 谷口彰悟 吉田麻也 山根視来
川島永嗣
===================
【日本代表スタッツ】
ボール支配率 :67%
シュート数 :26本
枠内シュート : 8本
パス成功率 :84%(751本)
オフサイド : 3回
フリーキック : 8本
コーナーキック: 6本
【スタジアム/現地情報】
スタジアム:埼玉スタジアム2002
観客数 :44,600人
天候 :曇り
気温 :7.6℃
湿度 :48%
登録メンバー
[GK]
1.川島永嗣(ストラスブール/フランス)
4.谷晃生 (湘南ベルマーレ)
12.権田修一(清水エスパルス)
23.シュミット・ダニエル(シントトロイデン/ベルギー)
[DF]
5.長友佑都(FC東京)
22.吉田麻也(サンプドリア/イタリア)
19.佐々木翔(サンフレッチェ広島)
3.谷口彰悟(川崎フロンターレ)
16.山根視来(川崎フロンターレ)
2.植田直通(ニーム/フランス2部)
20.中山雄太(ズウォレ/オランダ)
[MF]
8.原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)
7.柴崎岳 (レガネス/スペイン2部)
10.南野拓実(リバプール/イングランド)
13.守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)
14.伊東純也(ゲンク/ベルギー)
21.三笘薫 (サン・ジロワーズ/ベルギー)
15.旗手怜央(セルティック/スコットランド)
17.田中碧 (デュッセルドルフ/ドイツ2部)
11.久保建英(マジョルカ/スペイン)
[FW]
18.浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
9.上田綺世(鹿島アントラーズ)
6.林大地 (シントトロイデン/ベルギー)
[招集辞退]
大迫勇也(ヴィッセル神戸):負傷のため
酒井宏樹(浦和レッズ):右足第5中足骨骨挫傷
前田大然(セルティック):コンディション不良
[途中離脱]
遠藤航 (シュトゥットガルト/ドイツ):コンディション調整のため
板倉滉 (シャルケ/ドイツ2部):コンディション調整のため
[メンバー外]
中谷進之介(名古屋グランパス)
あとがき
選手に合わせてシステムをはめるのか?
それともシステムに合わせて選手をはめるのか?
この答えはまだ出ていないが、この仮説はW杯メンバー23人を決める上で重要な軸になることは間違いない。