日本代表:Road to カタール(58)国際親善試合[キリンカップ決勝]チュニジア代表戦マッチレポート

キリンカップ準決勝でガーナと対戦し4対1で勝利した日本代表だったが親善試合の雰囲気を払拭出来なかった。カタールW杯アジア最終予選では出番が少なかった選手も多く起用されているが、W杯を半年後に控えた今の段階になってもアピールが不足しているようにも感じる。

ゴールやアシストの明確な数字も大切だが、空いたスペースへフリーランニングを繰り返す選手、球際で戦える選手が少ないこと、ピッチ上で強烈な存在感を放つ選手がいないことが気がかりだ。チュニジア戦はキリンカップの決勝でありタイトルがかかった試合になるため、結果も内容も求められる。

マッチレポート

W杯出場国同士の対戦となると、どこの国と対戦しても拮抗した展開になることを予想していたのだが、前半はスコアレスで折り返すも後半にPKで先制を許し、前がかりになったところを突かれて追加点、さらに後半アディショナルタイムにダメ押しゴールを奪われてしまい結果も内容も完敗だった。

チュニジアが日本対策として遠藤航選手のところでボールを奪ってくることは十分想定できたはずだ。今の日本代表の軸は遠藤選手のところで間違いない。
中盤の底に入る攻守のキーマンを消しにきた相手に対して、日本は準備していなかったのか修正するまでに時間が必要だった。

遠藤選手のところをマークされると2つの問題が発生する。
1つは守備のカバーが遅れること。遠藤選手にマークがつくことで相手選手に引っ張られてしまい、本来ならカバーに入らなければならないスペースへの対応が後手になってしまいスペースを作られてしまう。

もう1つはパスの供給源が潰されてしまうこと。中盤の底から前線への縦パスもそうだが、最終ラインから中盤に入る縦パスも封じられることを意味する。遠藤選手がボールを奪われたらショートカウンターから失点する可能性は高くなってしまう。

こうなった場合には、最終ラインから縦へのロングボールが選択肢に入ってくるが、そこまで回数が多いプレーではない。精度がそこまで悪いわけではないのでもう少し多用しても良いのだが、相手にボールを奪われるリスクを考えれば消極的になるのが今の日本のサッカーなのかもしれない。

遠藤選手1人を機能不全にされただけで、日本がチームとして機能しなくなった。悔しいけど日本の心臓が狙い撃ちされたら諦めるしかない試合だったかな。

【フォーメーション:4-3-3】
()内は交代時間と交代出場した選手

        
        浅野拓磨
       (60,古橋亨梧)
  南野拓実          伊東純也
(71,久保建英)        (71,堂安律)

    鎌田大地     原口元気
   (60,三笘薫)    (HT,田中碧)

         遠藤航

伊藤洋輝           長友佑都
              (82,山根視来)

     吉田麻也   板倉滉  

      シュミット・ダニエル

日本の守備について

自分達のミスから失点しているのが残念だった。チームとしてここまで大きく崩された失点はそこまでなかったから勿体無い印象だ。

先に失点してしまい、得点を奪いに行くためには攻めるしかない状況だから守備のバランスは崩しても仕方ないのだが、追加点もダメ押しゴールも自分達のミスが失点につながってしまった。

守備がある程度計算できるのは拮抗している時間帯だけに修正が必要だ。今まで積み上げてきた組織的な守備もこの試合で全て崩れてしまったのかもしれない。

日本の攻撃について

先制された後に選手交代で得点を奪いに行く姿勢は見せたが、枠内シュートが0本では得点を期待する方が難しかった。

結果論だけど、全て選手個人の力でしか攻撃の打開策が無いのが最大の問題。連動して崩しているシーンはほとんど無かったし、フリーランニングから裏のスペースを狙って相手のディフェンスラインにプレッシャーをかけ続けた選手もいなかった。

ビルドアップの部分も解決されないままだったように思う。足元にパスを通すだけではなく、ワンタッチ、ツータッチとタッチ数を少なくして前線に運ぶことで仕掛けるなど工夫も欲しかった。組織的な守備戦術が出来るなら組織的な攻撃戦術も構築してほしいくらいだ。

マッチレビュー

日本代表 0-3 チュニジア代表

【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :63%
シュート数  :8本
枠内シュート :0本
パス成功率  :86%(655本)
オフサイド  :4回
フリーキック :16本
コーナーキック:7本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:パナソニックスタジアム吹田
観客数  :31,292人
天候   :雨
気温   :19.6℃
湿度   :90%

招集メンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 川島永嗣
12 権田修一
23 シュミット・ダニエル
28 大迫敬介
DF 5 長友佑都
22 吉田麻也
3 谷口彰悟
2 山根視来
4 板倉滉
20 中山雄太
16 冨安健洋
26 伊藤洋輝
27 菅原由勢
MF 8 原口元気
7 柴崎岳
6 遠藤航
14 伊東純也
10 南野拓実
13 守田英正
9 鎌田大地
15 三笘薫
21 堂安律
17 田中碧
11 久保建英
FW 18 浅野拓磨
19 古橋亨梧
24 前田大然
25 上田綺世

チュニジア戦:ベンチ外

GK.大迫敬介
DF.中山雄太

チーム離脱

DF.菅原由勢(怪我のため)
MF.守田英正(怪我のため)
FW.上田綺世(怪我のため)

あとがき

現在のA代表と五輪代表の兼任体制になってからタイトルを取れていないことが試合前の気がかりだった。2019アジアカップ準優勝、2019コパアメリカ1次リーグ敗退、2020東京五輪ベスト4(2021開催)、キリンカップ2022準優勝と、ここまでタイトルに無縁のチームというのは勝負弱さを示しているようなものだ。

4試合を通してわかったこと。2トップと3バック議論はする必要がない。フォーメーションは4-3-3をベースにオプションとして4-2-3-1を持っておくぐらいだろう。

そしてある程度選手選考はもう終わっていると予想します。本大会登録メンバーが23人から26人に枠が増える可能性が残されているので、追加枠に入る3選手が誰になるか予想した方が楽しいかもしれない。

これまでの積み上げが期待できない以上、残念だがグループリーグ3連敗も想定しないといけない。