サッカー日本代表:カタールW杯メンバー入りをかけたラストサバイバル

日本代表は9月に海外遠征を行いドイツ・デュッセルドルフで、アメリカ、エクアドルと2試合を行いました。詳細は各マッチレポートに記載しています。

アメリカ代表戦マッチレポート

エクアドル代表戦マッチレポート

カタールW杯本大会メンバー発表前の最後の代表活動ということもあり、メンバー入りをかけたラストサバイバルになるものと思われましたが、新しい選手を積極的に起用するというよりはW杯本番に向けたテストマッチの要素が多く、既にW杯に連れていく選手は20名程度決まっているような采配にも感じました。

ラストサバイバルではなかった

コラムのタイトルを「カタールW杯メンバー入りをかけたラストサバイバル」としましたが、W杯本大会メンバー入りのサバイバルは、海外組を含む常連組にとっては6月の国際親善試合、国内組にとっては7月のE-1選手権で終わっていたのかもしれません。

選手の起用法を見ると、W杯本番仕様に適応する選手を見抜いているような作業の印象を受けました。連携面を考えた時の選手をフォーメーションに当てはめるやり方に終始したことで、サバイバルでは無く序列の確認作業が強かったのではないかと思います。

久保建英選手を左サイド、冨安健洋選手を右サイドバック、原口元気選手を右ウィングバックでの起用と、これまで代表では全く見せなかったパターンを試したことが、サバイバルよりもポジション別に序列の確認作業を行ったことをより強調することになりました。

今回選ばれたメンバーの中で、アメリカ戦、エクアドル戦に出場機会を与えられなかった川島永嗣選手、谷晃生選手、瀬古歩夢選手、旗手怜央選手ですが、第3GKとして川島選手と谷選手のどちらかがW杯メンバーに入ると思いますが、瀬古選手と旗手選手は厳しい立場になりました。

瀬古選手は怪我で離脱している板倉滉選手の代役として、旗手選手にはインサイドハーフやサイドバックなどのユーティリティ性を評価されての招集だったはずです。しかし実際に手元で比較した時に守備強度なら板倉選手、ユーティリティ性なら原口選手の方が上という判断に至ったのだと予想します。

E-1選手権で結果を残しチャンスが与えられた相馬勇紀選手、町野修斗選手ですが、少ないながらもプレー時間は与えられはしましたがインパクトに残るプレーは無かったように思います。相馬選手と上田綺世選手の連携に得点の可能性を感じたため、相馬選手はなんとか当落線上に踏みとどまったはずですが、序列を覆すまでには至らなかったように思います。

個人的にW杯アジア最終予選から継続して招集されている常連組を除くと、アピール出来たのは上田選手と相馬選手だけでした。軸が決まらない1トップに飽和状態の2列目に新戦力が出て来る。これがW杯本大会メンバー入りをかけたラストサバイバルにふさわしい展開だと考えます。選手の序列に関してはメンバー発表後でも遅くないかと思います。

本大会登録メンバー選出の伏線

カタールW杯本大会出場登録メンバーの枠は「26」ですが、今回の背番号を見て当落線上の選手が一目瞭然でした。厳密に言えば24から30の番号だった選手が選ばれるかどうかの瀬戸際にいたのではないかという仮説を立てました。

背番号.24〜30の選手

24.旗手怜央(セルティック)
25.前田大然(セルティック)
26.上田綺世(セルクル・ブルージュ)
27.相馬勇紀(名古屋グランパス)
28.伊藤洋輝(シュトゥットガルト)
29.町野修斗(湘南ベルマーレ)
30.谷 晃生(湘南ベルマーレ)

アメリカ戦、エクアドル戦の2試合を終えて全員がそういうわけではなさそうですが、当落線上にいる選手が多いのは間違いではなかったようです。

この中から抜け出したのは伊藤洋輝選手。4バックではセンターバックの1角、3バックの左に、左ウィングバックまでこなせるユーティリティ性もそうですが、ロングフィードのボールも蹴れるので最終ラインから攻撃のスイッチを入れることが出来る選手は重宝したくなります。

当落線上の選手は背番号が示している。この仮説が間違っていなければ残り枠は2枠。怪我やコンディション不良のため招集外となった大迫勇也選手、浅野拓磨選手の動向次第になりますが、W杯本大会登録メンバーが発表される2022年11月1日14時を待つだけです。

常連組から落選が出る可能性も?

W杯メンバー発表は毎回ドラマティックな展開になるのは大手メディアがそういう扱いにしているからです。ドラマのような予想外の展開を望んだ場合、私が脚本家なら常連組から2名外す展開に持っていきます。

常連組から2名外れるとすれば柴崎岳選手と山根視来選手です。理由は攻撃で可能性を見せてくれるが、守備が代表レベルにないためメンバー入りしても起用するポジションがないから。

エクアドル戦だけで白黒つけるわけではないが、インテンシティ(プレー中の激しさ・強さ)を持った相手に対して守備で全く役に立っていませんでした。攻撃に関しては柴崎選手はアイデアのあるパス、山根選手はサイドバックにも関わらず前線のフリースペースに走り込んだり特徴を出していましたが、守備に関しては簡単に交わされていたり、強度が足りなかったりと失点に繋がらなかっただけというシーンが目立ちました。

この2選手を外す根拠もあります。柴崎選手の主戦場となるダブルボランチの1番手は余程のことがない限り遠藤航選手と守田英正選手で決まり。3番手に田中碧選手が控えており、原口選手、板倉選手もプレーすることが出来るので選手は揃っています。

山根選手の主戦場となる右サイドバックの1番手は酒井宏樹選手で決まり。2番手は冨安選手。センターバックとの併用になるかもしれないがアーセナルでポジション争いをしているだけにレベルが高い。3番手は左サイドバックが主戦場ではあるが長友佑都選手。所属クラブでは右サイドバックでの起用も増えているので問題はありません。

アメリカ戦、エクアドル戦をポジション別の序列確認作業に使われていたのが本当なら、柴崎選手と山根選手は落選になる可能性は高いと見ています。他にも常連組といえど安泰ではない選手は確認されていますが、外す根拠となる材料が少なかったため保留にしています。

これはあくまでW杯メンバー発表でドラマティックな展開になるならの話です。

編集長が考える奇策

アメリカ戦、エクアドル戦で日本のフォーメーションは4-2-3-1でした。アメリカ、エクアドルともに4-3-3がベースなので敢えて日本は4-3-3で真っ向勝負しなかったと考えます。

対戦相手によってフォーメーションを準備することや試合展開によって選手交代からフォーメーションを変えることは戦術の1つとして賛成です。

アメリカ戦の試合終盤、2点をリードした段階で5-4-1の5バックで試合を締め括る形を見せると、エクアドル戦の試合終盤にも、スコアレスの段階から3-4-1-2と3バックに2トップで攻撃に行く姿勢は見せましたが、試した時間が少なく機能していたかどうかの見極めが難しいところです。

先に代表チームが試合で見せたために後の祭りにはなってしまいましたが、私は今回の招集メンバーを見たときから、試合終盤に3バックにする戦術とは異なる3バックのプランを用意していました。

【フォーメーション:3-4-1-2】

        
    久保建英   伊東純也
   (前田大然)  (古橋亨梧)
   (上田綺世)   (堂安律)

       鎌田大地
       (南野拓実)

長友佑都          酒井宏樹
(三笘薫)         (原口元気)

    守田英正   遠藤航
    (田中碧)

 伊藤洋輝  吉田麻也  冨安健洋

       権田修一

提案の意図

私の3-4-1-2は、どうしても勝ち点3が必要になる試合で90分間を通して戦うフォーメーションです。エクアドル戦のような後半残り5分で試すものではありません。ちなみに選手の配置は9月の代表活動に招集された選手で構成しています。

勝つしかない試合に最も有効な奇策として3-4-1-2を提案したい。ダブルボランチは遠藤選手と守田選手。両ウィングバックは左が長友選手、右は酒井選手でスタート。

ラインを高く保ちながら守りながらも攻めるイメージで、ウィングバックの裏のスペースを3バックの左右がカバーする。前線は90分間プレスをかけ続けてショートカウンターからの攻撃を繰り返す。

2トップの構成はコンディション次第だがスピードタイプとポストプレーヤータイプが理想。1人が前線でボールを持てて、もう1人はスピードでプレッシャーを与えることが出来れば相手にミスは生じるはずです。

もし先制出来たらウィングバックは無理に上がらずに守る時は5バックに。攻撃も2トップとトップ下だけでシンプルにゴールを目指すようなプレーをする。

スコアレス展開が続くなら、ウィングバックに攻撃的な選手を入れて攻撃に厚みを増やす。交代枠は出来れば運動用の多い2トップ又は両ウィングバックで使用したいところ。引き分けも負けに等しい状況で、失点のリスクを恐れずに勝ち点3だけを狙う戦い方です。

コラム構成の1つに「カタールW杯での戦術リスト入りラストサバイバル」と題して3バックに2トップのオプションについて可能性を考えるつもりで準備していましたが、日本代表チーム本体がそれとなく見せてくれたので奇策にならなかったのが残念に思います。

あとがき

W杯本番までに調整試合として11月17日にカナダ代表と試合が組まれています。この試合ではあまり手の内を見せたくないので、前半、後半のどちらか45分で3バックや2トップにトライするのも陽動作戦としては面白いかと思います。

アメリカ戦、エクアドル戦で敢えて小出しにしたフォーメーションをカナダとの調整試合で完成形としてお披露目すれば相手も少しは警戒してくれるでしょう。

日本は守備重視で戦う時は4-3-3、バランス良く戦う時は4-2-3-1を採用するというのは相手に情報が入っているのはずです。インターネット全盛期だからこそ恐ろしい量の情報が溢れそうで怖いですが、メンバー発表後からW杯開幕までの情報戦はファン・サポーターにとって負けられない前哨戦になります。

カタールW杯

◆日本代表スケジュール(試合時間は日本時間)
11月23日22時:ドイツ
11月27日19時:コスタリカ
12月 2日 4時:スペイン

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