日本代表:コパアメリカ(2)グループリーグ初戦 チリ代表

 2019コパ・アメリカ グループリーグ初戦 チリ代表との一戦をマッチレポートにてお届けします。

◆マッチレビュー

日本代表 0-4 チリ代表

日本代表先発フォーメーション

()内は交代出場した選手

フォーメーション:4-2-3-1
===================

        上田綺世
       (岡崎慎司)

 中島翔哉   久保建英  前田大然
(安部裕葵)        (三好康児)

     柴崎岳  中山雄太

杉岡大暉 冨安健洋 植田直通 原輝綺

        大迫敬介

===================

【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :45%
シュート数  :11本
枠内シュート : 3本
パス成功率  :77%(376本)
オフサイド  : 0回
フリーキック :16本
コーナーキック: 8本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:エスタジオ・ド・モルトビー
観客数  :23,253人
天候   :曇り
気温   :18.0℃
湿度   :82%

◆編集長の考察

 東京五輪世代が中心なので3バックを予想していたが、4バックは予想外だった。
 チリが4-3-3で来ることは事前に公表されていたのもあり、3バックでは厳しいと判断したのかもしれない。

 前半から一方的に攻め込まれる展開も頭を過ったが、開始15分は互角の戦いを繰り広げていたと見ている。

 特に2列目は機能していた。
 中島選手、久保選手、前田選手の構成は、近いうちに本当のフル代表でも起用しても良いように思えた。

 前線からハードワークして守備にも顔を出したことで、簡単にチリのペースにさせなかった。「技術とスピード」なら十分通用していたように思う。

 それでも自力はチリの方が上だった。
 日本の両サイドのウラ、ボランチとセンターバックの間のスペースなどを有効に使い、スピードに乗った勢いのまま人数をかけて攻撃してきていたので、日本は守備に相当な力を使わざるを得なかった。

 前半41分に、コーナーキックからヘディングで決められてしまい先制点を許す。
 前半35分あたりから、決定機を作られるシーンが目立つようになり、なんとか踏ん張っていたが相手の高さにやられてしまった感じだ。

 それでもチリを相手に一方的にやられている印象はなく、先制されたとはいえ及第点といえるような前半だった。

 しかし後半は完全にチリのペースだった。
 後半9分に追加点を奪われたのは痛かった。冨安選手に当たってコースが変わったのも不運だったが、試合の流れからして仕方なかったと諦めるしかない。

 チリは2点リードしたこともあり、後半20分以降は抜いているプレーも目立った。
 日本が攻勢に出ている時間帯はここだったが、日本が良かったわけではない。南米特有の試合展開に付き合わされただけだ。

 FW上田選手が決定機を3度外してしまったのも、日本が勢いに乗れない展開を招いた。
 特に後半12分、柴崎選手からのアーリークロスにフリーでシュートを打った場面、FWなら決めないといけないところ。枠外は論外だ。

 さらに中島選手、久保選手が試合が進むごとに機能しなくなっていった。正確にいえば「消されていた」という方が正しいかもしれない。

 中島選手はドリブルを始める前に詰められ、シュートも左足ならOKというようなチリのディフェンスに対して、見せ場を作れず後半途中に交代。
 久保選手は個で光るプレーもあったが、周りのサポートが薄くプレーの選択肢が限定されたようにも思う。それだけ、ビダル選手、メデル選手の守備に手を焼いたということだろうか。

 ボランチは柴崎選手が攻守にバランスを取っていて、チームを牽引していた。
 今回のプレーがコンスタントに出来れば、ボランチ1番手でもおかしくないのだが、どうもプレーの質にムラを感じる。

 一方、コンビを組んだ中山選手には不安を感じた。
 中山選手が前半21分にイエローカードをもらってから、プレーの精度が一気に落ちたように感じる。球際を厳しくいけなくなるとボランチで起用するのは難しい。

 両サイドバックの原選手、杉岡選手も見せ場を作れなかった。
 攻撃に移る時にビルドアップの判断が遅く、守備は相手に合わせて後手後手に回っていたように感じる。

 どうしても両サイドバックについては、長友佑都選手、酒井宏樹選手と比べてしまうのだが、この2人のレベルまで行かないと世界と戦うのは厳しいと言わざるを得ない。

 結果的に4点を失った。グループリーグ突破を視野に入れているのであれば、4点目は明らかに余計な失点だ。
 ただ、後半37分にサンチェス選手のゴールで3点目を奪われた時点で試合が完全に決まっていたのは間違いない。

 もっと早い時間に1点を返していれば少し試合は変わっていたのかもしれないが、接戦の状態で試合が進んでいったとしても、この日の日本の守備強度では90分間耐えきれたかどうかは怪しい。

 タラればだが、後半30分まで0対1で接戦を演じていたとしても、残り15分で立て続けに失点してしまい、同スコアでの決着だった可能性もある。

 チリ代表との一戦は点差以上に力の差を感じた。東京五輪世代中心とはいえ、A代表はA代表。日本代表にとって「世界との差」を再認識させられたゲームだった。