日本代表:EAFF E-1サッカー選手権2019(4)韓国戦

 事実上の決勝戦となった韓国戦は2年前のE-1とほぼ同じ状況となった。
 歴史は繰り返すのか、新しい時代を作っていくのか、日本代表にとって運命の一戦となった。

◆マッチレビュー

日本代表 0-1 韓国代表

日本代表先発フォーメーション

()内は交代出場した選手

フォーメーション:3-4-2-1
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        上田綺世

     森島司   鈴木武蔵
           (仲川輝人)

 遠藤渓太         橋岡大樹
(相馬勇紀)

    井手口陽介  田中碧
    (大島僚太)

  佐々木翔  三浦弦太  畠中槙之輔

        中村航輔

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【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :51%
シュート数  : 6本
枠内シュート : 0本
パス成功率  :83%(507本)
オフサイド  : 2回
フリーキック :13本
コーナーキック: 4本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:釜山九徳スタジアム
観客数  :不明
天候   :晴れ
気温   :8.0℃
湿度   :56%

◆編集長の考察

 中盤の要だった橋本選手が負傷離脱したことで、スタメンは中国戦のメンバーから1人を入れ替えた形となった。
 香港戦で結果を残したメンバーが誰1人として起用されなかったのは疑問だったが、後半勝負なら戦術の1つとして考えると思いながら、試合開始を迎えた。

 試合開始から韓国のプレッシャーに後手後手になる日本代表。素早いプレッシャーで安易なミスが目立ち、球際でも分が悪いシーンが目立つ。

 先制したのは韓国だった。2年前と形は異なるが見事なミドルシュートを決められてしまい先制点を与えてしまった。

 1点ビハインドで前半を折り返すと、後半開始から遠藤選手に代えて相馬選手を投入、後半17分には井手口選手に代えて大島選手を投入して、1点を取りに行く姿勢を見せる。

 それでも要所要所は韓国が締めていたこともあり、決定的な場面を作ることが出来なかった。守備に追われる韓国が日本のミスからカウンターを仕掛けてきた時の方が、決定的な場面を作られてしまい、結果として0対1の敗戦となったが、スコア以上に内容で完敗だった。

勝負所で弱い国内組

 ピッチをワイドに使った縦に速いサッカーで、マイボールになれば素早いプレッシャーでボールを奪いに来る韓国を相手に日本代表選手はペースはつかめずミスが目立った。

 極めつけは韓国が前線に3枚残して、日本の最終ラインでボールを奪おうとハイプレッシャーを仕掛けてきた時に、日本の選手がバタバタしていた。Jリーグの公式戦では、あの位置でプレッシャーを仕掛けてくるチームは記憶にない。普段ならゆっくり最終ラインでボールを回せていたのが回せなくなった時に対応するまで時間がかかっていた。

 それにも関わらずディフェンスラインで回すパススピードに関しては、気になって仕方なかった。あれでは「どうぞ奪ってください」といっているようなパスだ。Jリーグでもそこから意識を変える必要がある。

ピッチ内でのアイデア不足

 なぜ足元ばかりでボールをもらいたがるのか?
 サイドに張ってスピードに乗っていない状態でボールをもらい、よーいドンでドリブルを開始しても抜き切れていない。完全に抜き切ってフリーにならないと次のプレーが精度のあるものが出来ないのは問題外だ。

 ウラへのスペースにフリーランしている場面も数えるほどで、抜け出したにしても完全にオフサイドポジションにいた。といった目を疑いたくなるプレーの数々。

 ドリブルでは抜けない、スペースに走ろうとしないからパスコースが作れない。そんな一瞬の停滞が韓国の選手に守る時間を与えてしまっていた。

 逆もまたしかり。
 韓国の選手は1対1の場面でも1,2歩早く動いているのでプレーがスピードに乗っていたため、日本の選手は守備で後手を踏んでいた。

 韓国の選手はサイドで高い位置を取っていた時、ドリブルで抜き切れないと見ると、即座にセンタリングを選択。日本の守備は中の人数は揃っていたが対応できないシーンが幾度もあった。ゴールポストに助けられたり、相手のシュートが精度を欠いたこともあってスコアには表れていないだけで、1対0で終わった試合ではない。

 攻撃陣に注文を付けたいのは、シュート6本のうち枠内シュート「0」だったことだ。

 仮に韓国のプレッシャーに耐えきり、スコアレスのまま試合が進んでいたとしても良くて引き分けだ。しかし、前半28分に先制されたのだからプラン変更が必要だ。

 負けているチームが枠内シュート「0」でどうやって同点に追いつくことができるのか?
 トラップしたボールが足元に入りすぎて精度を欠いたシュートになったり、トラップしたボールが大きく流れてシュートチャンスを失ったシーンもあったが、枠内にボールが飛ばなければ意味がない。

 近年では足元が上手い選手、器用な選手は増えてきている。今回のメンバーを見ても今後に期待したい選手は何人もいたのは事実だ。

 それでもこの日の韓国戦、引き分け以上で優勝とタイトルがかかった試合で、3試合を通して1番悪いパフォーマンスをしてしまったことはマイナス評価でしかない。

 1点ビハインドになってから、がむしゃらに1点を取りに行くために走っていた選手はいただろか。

監督だけの問題ではない

 2年前、E-1で韓国に完敗を喫し、ハリルホジッチ監督(当時)の解任論が沸き上がった。ロシアW杯を半年後に控えていたこともあり、この時は見送られたが結局2018年3月に解任されている。

 「歴史は繰り返す」というキーワードで深堀していくと、今回の敗戦で森保監督の解任論が沸き上がっても不思議ではない。A代表と五輪代表を兼任している森保監督は東京オリンピックを半年後に控えている。

 W杯とオリンピックで大会こそ違うが、状況は近いものになっている。

 U-23代表チームは、2020年1月9日からAFC U-23選手権大会に参加する。この大会は東京五輪出場権を得るために開催されるものだが、日本は出場権を得ているため五輪に向けて腕試しの大会でもある。

 もしAFC U-23選手権大会で日本が無様な結果に終わった場合、2020年春先までに森保監督解任。という負の歴史は繰り返されるのだろうか。

 E-1の韓国戦に限っていえば、森保監督を擁護することは難しい。
 確かに韓国戦はスコア以上の完敗だった。中国戦、香港戦と戦ってきて、結果を残した選手が韓国戦にスタメン出場していないこと。試合の中で修正が出来ていなかったこと。

 2019アジアカップ決勝でカタールに敗れたように、E-1では引き分け以上で優勝の状況で韓国に敗れた。大一番での勝負弱さを露呈した指揮官には不信感を抱いている。

 ただ今回は日本サッカー協会、Jリーグ側にも問題があるように思える。
 Jリーグ最終節から中2日でE-1初戦を迎える強行日程のため準備期間がなかったこと。12月21日に天皇杯準決勝を戦うチームの選手は招集を見送らざるを得なかったこと。

 国内組のベストメンバーさえ組ませてもらえない代表チームが宿敵韓国に敗れたことは必然だったのではないだろうか。

 現場レベルで責任を取るのは監督や選手達だが、日本サッカー協会、Jリーグにも責任を負う必要があると思っている。

ABOUTこの記事をかいた人

FOOTBALL NOTE編集長。1983年6月13日生まれ。岡山県出身。フットボールをテーマにした読者の知的好奇心を刺激するコンテンツ作りに着手し「FOOTBALL NOTE」を立ち上げる。コンセプトは「世界のフットボール情報がここにある」※お問い合わせはコチラからどうぞ