【マリ代表戦総評への質問に回答】日本代表:2018ロシアW杯特集(16)編集長が答えました

 マリ代表との一戦を終え、この試合の総評「日本代表:2018ロシアW杯特集(15)マリ代表との国際親善試合【総評】」を掲載したことで多くの反響がありました。

 ロシアW杯を控え、サッカー日本代表への注目は高まってきています。今回のコラムに対して読者から2つ質問をいただきましたので、回答を記事にして掲載します。

読者からのご質問

【質問1】大島がいなくなったことと、宇佐美&久保の躍動が止まったことは関係があるのか?

(編集長の回答)
 おっしゃる通り、関係があったといえます。

 この試合、大島選手は中盤でボールを受けるとワンタッチ、ツータッチと素早く前線へボールを出すように意識していたと思います。長友選手、宇佐美選手のいる左サイドへパスを散らし、時には大迫選手へのタテパスを入れ、チームをコントロールしていました。

 左サイド、トップで起点を作ることで右サイドの久保選手がゴール前に侵入することが出来て得点のチャンスが生まれたように、チームとして連動できていたのは大島選手の存在があったからといっても過言ではありません。

 しかし、大島選手が怪我のためピッチを退いた後は、中盤でボールを持っても、1度最終ラインに戻して前線へロングボールを供給するだけのワンパターン攻撃になり、大迫選手のポストプレーに偏っていきました。

 この時点で全体的にチームが上手く機能しなくなったのは明確でした。後半になると前線で起点が作れない時間帯が増えたことで久保選手はさらに目立たなくなりました。ウラへのボールが出てこなかったのも問題ですが、全体的に間延びしていた印象は否めません。

 日本のストロングポイントは監督が代わっても左サイドから攻めるという系譜は残っています。前半の途中までは左サイドで、宇佐美選手、長友選手、大島選手のトライアングルが上手く攻撃をリードしていただけに、大島選手が交代してから、長友選手の攻撃参加も少なくなってしまったように、左サイドから崩せなくなってしまい、結果として宇佐美選手も久保選手もパフォーマンスが落ちてしまいました。

【質問2】中盤で落ち着かせ遠藤みたいなタイプが必要と書いているが、なぜ長谷部にはそれができないのか。落ち着かせるという意味なら、遠藤よりパススキルがなかったとしても長谷部ならできるのではないのか。

(編集長の回答)
 長谷部選手にもその役割はできると考えています。ただし、パスを回しながらリズムを落ち着かせるのではなく、チームを鼓舞して全体を落ち着かせることが出来るタイプと捉えています。

 これは「パススキル」ではなく「選手の個性」の問題だと考えます。

 長谷部選手はこれまで中盤、サイドバック、リベロ、どこのポジションに入っても遜色なくプレーしていました。その副作用みたいなもので『なんでも屋』扱いになってしまうこともありますが。

 代表でもザッケローニ監督時代の2014ブラジルW杯アジア3次予選のウズベキスタン戦(2011年9月6日)で、長谷部選手が先発でトップ下を務めたこともありますが、この時はあまりチームとして機能しなかったように記憶しています。ゲームメイク能力ではなく、高い戦術理解度と安定感でチームを落ち着かせることを長谷部選手には求めたいと考えます。

 今回のマリとの試合でいえば、以前、遠藤保仁選手が担っていた役割を担当していたのが大島選手でした。その大島選手が負傷交代となり、急遽ピッチに投入されたのが山口蛍選手。長谷部選手と山口選手はどちらかといえば守備的な選手で、パスでリズムを作るプレーをあまりしないタイプです。守備的な選手が2人並んだことで、中盤の底からパスの供給元がなくなってしまいました。

 長谷部選手が大島選手のいたポジションに入ってプレーしていましたが、機能したとはいえません。森岡選手が1つ下がって山口選手と横並びになり、長谷部選手が中盤の底(アンカー)に置く逆三角形の構成にしていたら、違った展開になっていたかもしれませんが、アクシデントとはいえ監督の采配ミスの感じは否めません。

 私の理想としては、ダブルボランチの構成は、1人は司令塔タイプの選手、もう1人はボール奪取に優れた選手の組み合わせが1番良いと考えています。一昔前ですが、イタリア代表のピルロ選手とガットゥーゾ選手の2人が並んでいたころの中盤が私の中での理想形です。

 「トップ下」がチームの司令塔と言われていますが、ボランチの位置からゲームメイクする「レジスタ」、ピッチ上での監督の存在が今の日本代表には必要なのかなと考えます。

 レジスタは現代サッカーではあまり存在しないタイプのプレイヤーですが、日本代表に関しては2010南アフリカW杯、2014ブラジルW杯と中盤に、日本の心臓と言われた遠藤保仁選手がレジスタタイプのプレイヤーとして君臨していました。

 遠藤選手の後継者として、マリ戦での大島選手のプレーが今後の可能性を見出してくれたように、怪我でメンバー外となっている清武選手も復帰したらこのポジションで試してもらいたい。また27日のウクライナ戦では柴崎選手をトップ下ではなくレジスタで起用しても面白いと思います。

あとがき

 掲載しているコラムの中で、気になることがありましたらコメントをいただけましたら、今回のような形で質問に答えていこうと思います。

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