日本代表:Road to カタール(51)W杯アジア最終予選/中国代表戦マッチレポート

不動のセンターバックコンビだった吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(アーセナル)が負傷のため揃って招集外となった今回の代表戦。
ホーム2連戦でカタールW杯出場権獲得を自力で手繰り寄せるためには2連勝が絶対条件になるが、鉄壁のディフェンス陣の中にいた2枚看板を失ってしまい守備がどこまで計算できるか不透明だ。
板倉滉(シャルケ)、植田直通(ニーム)、谷口彰悟(川崎フロンターレ)と代役は揃っているが、先発メンバーを固定して戦ってきたツケが回ってきた印象を受ける。

さらに得点力不足の課題も残ったままだ。今シーズン海外組で最も得点を決めている古橋亨梧(セルティック)、2021年11月アウェイのオマーン戦で途中出場ながらMVP級の活躍をした三笘薫(ユニオン・サン・ジロワーズ)を負傷のため招集できない。
怪我から代表復帰を果たした久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)、2度目の海外移籍で試合開始4分後に移籍後初ゴールを決めた前田大然(セルティック)にかかる期待は大きくなる。

マッチレポート

スタートは4-3-3と2021年10月12日にホームで行われたオーストラリア戦からは日本代表の基本フォーメーションとなっている。
センターバックが板倉選手、谷口選手と日本代表では初コンビを組むこと、国内組はシーズン開幕前のためどこまでコンディションが整っているか、気になるところは多々あったが立ち上がりは守備からしっかり入る感じになった。

前半13分、相手のハンドから獲得したPKを大迫勇也(ヴィッセル神戸)が成功させて日本が先制した。それでもこのPKは相手ゴールキーパーに読まれていたけどボールが飛んだコースが良かったため無事成功。

先制後、前半のうちに追加点を奪えなかったことは次への課題になるが、最終予選では同じような試合展開になっているので見ている方はまたかという気持ちにはなった。

日本の攻撃の生命線でもある大迫選手への縦パスからのポストプレーは相手に完璧に読まれている。相手の対策としては2枚で挟んでボールを奪うことが多いため、大迫選手のところでボールロストが目立つようになっている。

大迫選手に当ててから連動して攻めるパターン以外のプレーがないのか見ていると1つ発見があった。
右サイドの伊東純也(ゲンク)がサイドライン付近で張って、トップの大迫選手がファーサイドへ流れることで生まれたスペースを左サイドからポジションを代えていた南野拓実(リバプール)や高い位置を取っていたインサイドハーフの田中碧(デュッセルドルフ)が突いたシーンは流れの中のプレーで1番得点の雰囲気を感じた。

得点力不足が叫ばれている日本代表だが、この試合は後半16分に途中出場の中山雄太(ズウォレ)からのセンタリングに伊東選手がヘディングで合わせて待望の追加点を奪った。

追加点を決めた伊東選手だが今の日本代表には欠かせない選手になっている。代表戦で3試合連続ゴールもそうだが、スピードに乗ったドリブルはアジアレベルでは簡単に止めることはできない。

伊東選手がボールを持つと対峙する相手ディフェンダーがボールを奪いに飛び込んで来ないのはそれだけ警戒している証拠だ。爆発的なスピードでの縦への突破だけではなく、ダイレクトやワンタッチパスからプレースピードを上げながらペナルティエリア内に侵入されると守る方からすれば1番危険な選手に映るだろう。

伊東選手のような圧倒的な個の力だけではなくチームとして準備しているデザインされたセットプレーなど、これまで見られなかったプレーも見ることが出来たので次戦も少しは期待して良いのかと思える内容だった。

マッチレビュー

日本代表 2-0 中国代表

【得点者】
前半13分;大迫勇也(PK)
後半16分;伊東純也

日本代表スターティングイレブン

【フォーメーション:4-3-3】

()内は交代出場した選手
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        大迫勇也
        (前田大然)

 南野拓実          伊東純也
(原口元気)          (堂安律)

    守田英正     田中碧

         遠藤航
       (久保建英)

長友佑都 谷口彰悟  板倉滉 酒井宏樹
(中山雄太)

        権田修一

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【日本代表スタッツ】

ボール支配率 :60%
シュート数  :16本
枠内シュート : 6本
パス成功率  :82%(601本)
オフサイド  : 3回
フリーキック :11本
コーナーキック:11本

【スタジアム/現地情報】

スタジアム:埼玉スタジアム2002
観客数  :11,753人
天候   :曇り
気温   :7.9℃
湿度   :20%

登録メンバー

[GK]

1.川島永嗣(ストラスブール/フランス)
12.権田修一(清水エスパルス)
23.シュミット・ダニエル(シントトロイデン/ベルギー)

[DF]

5.長友佑都(FC東京)
19.酒井宏樹(浦和レッズ)
3.谷口彰悟(川崎フロンターレ)
22.山根視来(川崎フロンターレ)
2.植田直通(ニーム/フランス2部)
16.中谷進之介(名古屋グランパス)
4.板倉滉 (シャルケ/ドイツ2部)
20.中山雄太(ズウォレ/オランダ)

[MF]

8.原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)
7.柴崎岳 (レガネス/スペイン2部)
6.遠藤航 (シュトゥットガルト/ドイツ)
10.南野拓実(リバプール/イングランド)
13.守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)
14.伊東純也(ゲンク/ベルギー)
21.堂安律 (PSV/オランダ)
17.田中碧 (デュッセルドルフ/ドイツ2部)
11.久保建英(マジョルカ/スペイン)

[FW]

15.大迫勇也(ヴィッセル神戸)
9.前田大然(セルティック/スコットランド)

[欠場]

浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)※体調不良

あとがき

日本代表では初コンビを組んだ板倉選手、谷口選手の評価については中国のシュート数が2本と日本の最終ラインが脅かされるシーンが少なかったため次戦へ持ち越し。

この試合は2対0で快勝して勝ち点3を獲得したことより、ゲームキャプテンを務めた遠藤航(シュトゥットガルト)が無事だったこと。イエローカードの累積が1枚あったため、中国戦でイエローカードをもらうとサウジアラビア戦が累積による出場停止になることも考えられた。吉田選手不在の中で、遠藤選手にも抜けられるとチームが大きく変わってしまうのでまずは一安心。