オール海外組での構成。
2020年の日本代表を表す代名詞となった。
COVID-19の世界的な感染拡大を受けて、2020年の代表活動は大きく変更を余儀なくされた。カタールW杯アジア2次予選は延期され、海外開催での国際親善試合が4試合行われることで落ち着いたが、国内組の招集は見送られた。
2020シーズンのJリーグは開幕していたが、中断期間があったため日本代表戦が行われた10月、11月は週2試合の過密日程。さらに帰国してからも14日間の隔離措置が必要だったため、クラブ側が選手派遣に難色を示していたからだ。
こういった流れもあり日本代表がオール海外組での構成となったわけだが、海外組が合流した代表戦というのも、2019年11月14日にアウェーで行われたW杯アジア2次予選キルギス戦以来約1年ぶりだった。
では、異例となった2020年日本代表活動を振り返ってみよう。
海外遠征4試合を振り返る
入国制限もあり日本での国際親善試合開催が事実上不可能のため、10月のカメルーン戦、コートジボワール戦がオランダ・ユトレヒトで、11月のパナマ戦、メキシコ戦がオーストリア・グラーツで開催されることになった。
通常であれば海外開催の国際親善試合は稀なことだ。
W杯直前の強化試合や、ヨーロッパの強豪国とマッチメイク出来た時くらいしか記憶にない。
しかし、今年の4試合は良い前例を作ったと思っている。ヨーロッパのシーズン中(例年では9月~5月)に行われる国際親善試合は、2021年以降は海外遠征での開催にシフトすれば良いのではないだろうか。
スポンサーの問題が1番大きいのは重々承知しているのは明確だが、海外組が増えた現状と自由に海外を行き来することが難しくなっている情勢を考えると、海外開催の国際親善試合が今後主流になってもおかしくはない。
日本代表 0-0 カメルーン代表
久しぶりの代表戦ということで、基本フォーメーションとなっている4-2-3-1でスタート。スタメンもほぼ常連メンバーでの構成になっていた。
【フォーメーション:4-2-3-1】
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大迫勇也
原口元気 南野拓実 堂安律
柴崎岳 中山雄太
安西幸輝 冨安健洋 吉田麻也 酒井宏樹
権田修一
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この試合で特徴的だったことは、後半から3バックに変更したこと。
前半左サイドバックに入っていた安西選手を下げて伊東選手を右ウィングバックで起用。原口選手を左ウィングバックに下げ、前線を1トップ2シャドーの形にした。
【フォーメーション:3-4-2-1】
()内は交代出場した選手
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大迫勇也
南野拓実 堂安律
(鎌田大地) (久保建英)
原口元気 安西幸輝
(菅原由勢) (伊東純也)
柴崎岳 中山雄太
冨安健洋 吉田麻也 酒井宏樹
権田修一
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前半に守備で生じていたズレをシステム変更で修正したことで、後半からカメルーンのサイド攻撃を抑えることに成功していた。
一方で、どうも攻撃が物足りない印象を受けた。
3バックにすることで守備の安定をもたらすための代償かもしれないが、1トップ2シャドーが代表システムに合っていないと私は思っている。
代表チームなのでシステムが成熟するまでに時間を要することはあるが、このまま攻撃が停滞するようなら、2トップにトップ下を配置する「3-4-1-2」にもチャレンジしてもらいたい。
【マッチレポート】
日本代表:Road to カタール(33)国際親善試合/カメルーン代表
日本代表 1-0 コートジボワール代表
FWの大迫勇也選手が所属チームとの兼ね合いでカメルーン戦を終えて代表から離脱した。covid-19の感染拡大を受けて、例年にはない対応を迫られるなど試合以外に難しい場面も多かったように思う。
【フォーメーション:4-2-3-1】
()内は交代出場した選手
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鈴木武蔵
(原口元気)
久保建英 鎌田大地 伊東純也
(南野拓実) (堂安律)
柴崎岳 遠藤航
中山雄太 冨安健洋 吉田麻也 室屋成
(植田直通)
シュミット・ダニエル
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カメルーン戦からスタメンを7人入れ替て臨んだコートジボワール代表との一戦。まず攻撃の部分を注目していたが、全体的に間延びしていた印象で、選手同士の距離も遠かったと感じる。
選手を入れ替えただけでは、攻撃に変化は見られなかった。2列目の構成も普段とは違う形だったが機能していたとはいえない。
流れの中から得点が奪えなくても、試合終盤にコーナーキックから途中出場の植田選手のゴールでコートジボワールに勝利できたことは最大限の評価をしたい。
一方で守備陣は全く問題なかったように見えた。
イタリアでプレーしている吉田選手、冨安選手を中心とした鉄壁のディフェンス陣。さらに今シーズン所属先のシュトゥットガルトで好調を維持している遠藤航選手が中盤の底に君臨しているだけで、チームとして守備が機能していることをはっきりと認識できた。
【マッチレポート】
日本代表:Road to カタール(34)国際親善試合/コートジボワール代表
日本代表 1-0 パナマ代表
スタメン発表を見て驚いた。これまでの森保監督にない大胆なチャレンジに見えた。
A代表では先月のカメルーン代表戦のように試合途中からシステム変更で4バックから3バックにしたことはあったが、スタートから3バックだったのは2018年ロシアW杯開幕前にガーナ代表との壮行試合以来。
【フォーメーション:3-4-2-1】
()内は交代出場した選手
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南野拓実
(浅野拓磨)
久保建英 三好康児
(鎌田大地)
長友佑都 室屋成
(原口元気) (酒井宏樹)
橋本拳人 柴崎岳
(遠藤航) (中山雄太)
板倉滉 吉田麻也 植田直通
権田修一
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パナマ代表とは2018年10月に日本での国際親善試合で対戦し、この時は3対0で勝利していた。
森保監督になって2度目の対戦となったが、自分たちで試合を難しくしてしまった印象が残っている。特に中盤が安定しないと日本のペースで試合を進めるのは難しいことは明確だった。
後半16分に獲得したPKを南野選手が決めて先制し、これが決勝点となって勝利した。流れの中から得点を奪えないのが気になるが、守備陣は3試合連続で無失点と好調をキープしている。
センターバックは吉田選手と冨安選手が不動の地位を確立してはいるが、植田選手、板倉選手がもっと成長してポジション争いが激しくなることを願いたい。
【マッチレポート】
日本代表:Road to カタール(36)国際親善試合/パナマ代表
日本代表 0-2 メキシコ代表
強豪メキシコが相手ということもあって前半から見応えある内容でした。日本の前線4選手は、今季リーグ戦各所属クラブでスタメンに定着し、ゴールとアシストで明確な結果を残している選手で構成されていた。だからゴールには特にこだわってほしかった。
【フォーメーション:4-2-3-1】
()内は交代出場した選手
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鈴木武蔵
(南野拓実)
原口元気 鎌田大地 伊東純也
(久保建英) (浅野拓磨) (三好康児)
遠藤航 柴崎岳
(橋本拳人)
中山雄太 冨安健洋 吉田麻也 酒井宏樹
シュミット・ダニエル
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メキシコ戦は2020年の大一番になったが、結果だけ見れば完敗だった。自慢の守備陣も2失点と格上には通用しなかった。W杯でベスト8を目指すなら親善試合とはいえ勝利が必要な相手だったが、厳しい現実を突き付けられてしまった。
前半にあった決定的なチャンスをものにしていれば展開が変わっていたかもしれないが、流れを自分たちでもって来ないと、このレベルの相手に通用しない。
出場した各選手のピッチ上でのパフォーマンスに物足りない印象を受けたが、ベンチワークにも問題はあったのではないか。
2点ビハインドになって慌てて攻撃的な選手を次々に投入し、打開策としての手は打ったものの効果は出なかった。
個人的に希望していた2トップの形も守備の時だけ。追いかける展開になれば2トップにするプランはなかったのだろうか。
【マッチレポート】
日本代表:Road to カタール(37)国際親善試合/メキシコ代表
中島翔哉選手の不在で浮き彫りになった得点力不足
2020年の4試合を通してはっきりしたのは得点力不足だ。
・流れの中から得点が奪えない。
・シュートが枠に飛んでいない。
・数的優位になったのに追加点を奪えない。
これらは今に始まった課題ではない。私が日本代表の試合を見るようになってから常に思っていることだ。
特に中島翔哉選手(ポルト)の不在の大きさを痛感させられた。森保監督になってから背番号10を背負い、チームの攻撃の中心としてプレーしていた。
中島選手がいるといないでは得点力に大きく差が出ている。その理由は中島選手のプレースタイルにある。ボールを持てばドリブルで切り込んでいけるし、パスも出せる。状況によっては思い切りのよいミドルシュートもある。
相手側にしてみると非常に守りにくい選手に映るだろう。
マンマークは厳しいとみると、2枚で囲んで奪いに行かざると得ないので、フリーの選手を1人作ってしまうことになる。中島選手のプレースタイルが上手くハマったことで日本の攻撃の起点になっていた。
しかし今シーズンは所属クラブで出場機会を失い、日本代表メンバーに選出されることはなかった。攻撃の起点だった中島選手の不在で1番影響を受けたのは間違いなく南野選手だろう。
南野選手も移籍したリバプールでポジションを確保できず、ザルツブルク在籍時よりパフォーマンスがやや落ちた印象もあり、結果として日本代表のストロングポイントである2列目の連動性を欠いてしまっている。
さらに悪いことは重なり、不動の1トップに君臨している大迫選手もブレーメンから代表活動を制限されたこともあり、2020年の4試合で出場できたのは、カメルーン戦の1試合のみだった。またブレーメンでもポジションを確保出来ておらず、パフォーマンスも徐々に落ちて来ている印象も受ける。
中島選手を起点に、大迫選手、南野選手で作り出している三角形の形が、日本代表の攻撃を間違いなく牽引していた。三角形の中でも特に強烈な光を放っていた中島選手の不在が大きかったことは否定できない。
前線の軸と片側の翼を失った状態では、これまでの日本の攻撃力を引き出すことはできないのは仕方ないのだろうか。
ただ、日本代表の2列目は人材の宝庫でありストロングポイントである。若手にも良い選手が多いが、日本代表の軸になれる活躍が出来るかどうかはまだわからない。
2021年スケジュール発表
延期されていたカタールW杯アジア2次予選が再開する。
2021年3月25日(木)にホームでミャンマー代表、3月30日(火)にアウェーでモンゴル代表との試合が予定されている。現在4勝0敗とグループ首位に立ってはいるので、2次予選は全勝で突破してもらいたいところだ。
COVID-19の感染拡大の影響で今後開催地など変更がある可能性も十分に考えられるが、何事もなく無事に代表戦が開催されることを祈るしかない。
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